岐阜で「ゴリ集会」という由緒は正しいが、妙な名称の研究会を開催した時のこと、日本で手にはいるマスの仲間の食べ比べをした。

 条件を統一するため、それぞれの魚の研究者がこれぞという季節に魚を手に入れ、一度、マイナス60℃のデープフリーザーに保管する。そして、研究会の当日に、ルイベとしてみんなで食べて、どれが一番美味しいか、どの魚がなにかを当てるというものだ。

それぞれのエントリーは以下の通り。
・サクラマス 北海道  小宮山さん
・ビワマス  琵琶湖博 桑原さん
・ニジマス  高原川(岐阜県)徳田さん
・イワナ    同   
 イワナとニジマスは神岡のチンカブ会というグループが渓流の清水で飼育したもの。
・サツキマス にいむら
であった。

 ゴリ集会は魚類研究者のなかで、ヨシノボリとカジカの専門家が参加している。
それぞれ、われこそはというメンバーだが、40名ほどが参加して、2名しか魚の名前が当たらなかった。
 イワナはかなり味が違っているのでほとんどがわかった。
 ニジマスは多少、身の色が違っていることから、正解率が高かった。
 問題は、残りの3者である。
 サクラマス、ビワマス、サツキマスは互いに近縁で、亜種と言う関係。しかも、全てを食べたことのある人間は、当日には誰も参加して居なかった。

 ところで、ボクはというと、サクラマスとビワマスを取り違えた。
 サクラマスと思った方が、脂がのって味わいが深いことから、そう思ったのだが、その魚はビワマスだった。サクラマスをよく食べる北大のメンバーによると、その時のサクラマスはすこしだけ時期遅れで小振りだったという。ベストならもっと美味しいそうだ。
 結果は満を期してベストサイズを送ってくれた、桑原さんのビワマスの方が美味しかったんだ。

 さて、サツキマスである。
 その時、気が付いたのだが、サツキマスには特有の臭いがあった。神岡の徳田さんは、
 この臭い、異臭魚と紙一重とちがう。 
 とのたまうた。

  参加した魚の中で、最も流域の人口の多い川で獲れたサツキマスは、たしかに、特有の臭いがした。
 ただ、それは、不快なものではなく、いろいろな成分からなる。深い味わいとも言えるものだった。

 にいむら
 
この項、つづく