高年齢者雇用と就業規則「継続雇用の3つのやり方を理解しよう!」~新潟の社会保険労務士・社労士が解
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■「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の改正
65歳までの雇用確保措置導入の義務化などを定めた「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」が改正され、高年齢者の安定的な雇用確保のため、65歳までの定年の引き上げ、継続雇用制度の導入などが平成18年4月1日から義務化されています。
これは、少子高齢化の急速な進展等を踏まえ、少なくとも年金支給開始年齢までは働き続けることができるようにするため、定年の引上げ、継続雇用制度の導入等による65歳までの雇用機会の確保、高年齢者等の再就職援助の強化等、所要の措置を講ずることとしたものです。
なお、継続雇用等の義務化年齢は年金(定額部分)の支給開始引き上げ年齢スケジュールにあわせ、平成25年4月1日まで次のとおり段階的に引き上げていくとされています。
平成19年4月1日から平成22年3月31日まで 63歳
平成22年4月1日から平成25年3月31日まで 64歳
平成25年4月1日以降 65歳
■法律をクリアするための3つのやり方
さて、この法律をクリアする方法としては、次の3つの方法があります。
(1) 定年自体を廃止する。(定年制の廃止)
(2) 法律上の雇用義務年齢(原則65歳、ただし経過措置あり)まで、定年を引き上げる。(定年年齢の引き上げ)
(3) 一度現行の定年年齢(60歳)で退職してもらい、継続雇用を希望する社員のみ雇用継続義務年齢まで再雇用する。(継続雇用制度の導入)
さらに、(3)の継続雇用制度には、
・定年に達した時点でいったん雇用契約を終了させ、新規に契約を結びなおす。(再雇用制度)
・定年に達したときに、これまでの雇用契約を終了させることなく継続する。(勤務延長制度)
の2つに分かれます。
それでは、それぞれの措置のどのやり方を自社で採用すればいいのでしょうか? 中小企業の立場で考えれば、(3)の「継続雇用制度の導入」を選ぶ企業が大多数です。厚生労働省の就労条件総合調査(2007年)においても、一律定年制を定めている企業において、継続雇用制度(勤務延長制度及び再雇用制度のどちらか又は両方の制度がある企業数割合)は90.2%となっていて、9割以上の企業が「継続雇用制度」を導入しています。
では、なぜほとんどの企業が「継続雇用制度」を選んでいるのでしょうか?なぜなら、他の2つには、次のような問題があるからです。
(1)定年制の廃止
定年制がなくなれば、辞めてもらうタイミングがありませんので、それでは不都合がある、という会社が多いのでしょう。
(2)定年年齢の引き上げ
定年年齢そのものを引き上げるので、60歳を過ぎても60歳以前と同じ条件で雇用することになります。つまり定年そのものを引き上げた場合、労働条件を変更することは、本人の同意がなければ原則的にできません。中小企業においては高年齢者を同じ条件で雇用し続けることはコスト的に困難が多いため、定年年齢を引き上げる会社は少数にとどまっています。
また、定年自体が引き上げるので、60歳の時点で退職金を支給することができません。引き上げた年齢まで退職金の原資を積み立て続けなければなりませんし、60歳以降も当然勤続年数にカウントされますので、非常に高額な退職金をしきゅうしなければならなくなります。
ですから、現在9割以上の会社が「継続雇用制度」を採用しているわけです。
さて、継続雇用制度には 再雇用制度 勤務延長制度 の2つがある、とさきほど申し上げました。今度は、この2つの中でどちらを選べばよいか、というお話になります。
厚生労働省の就労条件総合調査(2007年)によると、「勤務延長制度のみ」の企業数割合は12.6%、「再雇用制度のみ」は66.7%、「両制度併用」は10.9%となっており、7割程度の会社は?再雇用制度を採用しています。現状では再雇用制度の方が多く選択されています。その理由を、見てみましょう。
まず、勤務延長制度 ですが、この制度は定年はあくまでも60歳ですが、それまでの雇用契約を終了させることなく継続させるわけですから、定年年齢の引き上げを同じように、基本的には定年前と同じ条件で雇用し続けることになり、コスト的に困難があること、また、退職金を60歳の時点で支払えず、勤務延長が終了するまで退職金の原資を積み立てなければならないこと、などの問題があります。
再雇用制度 ですと、定年の時点で一旦それまでの雇用契約を終了させるので、その時点で退職金を支払うことができます。そして、継続雇用終了時には退職金を支給しなくてもよいので、その間退職金の原資を積み立て続ける必要もありません。
また、再雇用制度の場合は労働条件を見直せるので、再雇用者の能力や気力、体力等に合わせ、多様な働き方を選択することができます。
例えば、必ずしも正社員と同じフルタイムで雇用しなければならない、というわけではなく、その人の体力・気力に合わせ、週に数日だけきてもらったり、1日の所定労働時間を短くしたりすることも可能です。
また、雇用保険や在職老齢年金などの本人が公的制度からの受給を最大限に受けつつ、コストダウンを図れるなど、柔軟な賃金設定を行うことができます。
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