【歌が上手いって何?】
「徹底的に考えてみた」
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僕自身、実は文を書くより歌の方が得意であり、
何より大好きなんです。
でも、アドラーとか自己啓発を伝えるには文が
最適なので、こんな風にブログをやりながら
趣味で細々と歌っています。
一応、Youtubeで『歌ってみた』をやってるので、
興味があれば聴いてみてください。
今のところは当ブログより遥かに不人気ですが、
相応の経験もあって、多少の自負もあります。
先日、「昔の歌手の方が上手い」と言う意見と
「上手いのは今」と言う意見の対立を見ました。
テレビで昭和歌謡の特番が増えている影響で
昔の歌手が再評価されてるのは確かですね。
僕は率直に、アイナ・ジ・エンドとかYamaの
(敬称略)アニメソングを聴くと「すごいな」、
「敵わないな」、って思います。
ネット界隈では意見が大きく分かれてますが、
皆さまはどうでしょうか?
無論、昔と今を区切る境界線によって判断が
変わるのでなかなか答えは出にくいと思います。
仮に今を21世紀と捉えるならば、より期間の長い
昔の方が上手い歌手が大勢いたでしょう。
仮に21世紀になって全体のレベルがアップしたと
すれば、今の方が上手いと言えそうですね。
31日は恒例の紅白歌合戦が見物となりますが、
一応、今年のラインナップを以下に掲載します。
【紅組】
・アイナ・ジ・エンド (初)
革命道中-On The Way
・あいみょん (7)
ビーナスベルト
・ILLIT (2)
Almond Chocolate
・幾田りら (初)
恋風
・石川さゆり (48)
天城越え
・岩崎宏美 (15)
聖母マドンナたちのララバイ
・AKB48 (13)
AKB48 20周年スーパーヒットメドレー
「フライングゲット」
「ヘビーローテーション」
「恋するフォーチュンクッキー」
「会いたかった」
・aespa (初)
Whiplash
・CANDY TUNE (初)
倍倍FIGHT!
・坂本冬美 (37)
夜桜お七
・髙橋真梨子 (7)
桃色吐息
・ちゃんみな (初)
ちゃんみなSPメドレー
「NG」「SAD SONG」
・天童よしみ (30)
あんたの花道 ~ミャクミャクダンスSP
・乃木坂46 (11)
Same numbers
・HANA (初)
ROSE
・Perfume (17)
Perfume Medley 2025
「ポリリズム」「巡ループ」
・ハンバート ハンバート (初)
笑ったり転んだり
・FRUITS ZIPPER (初)
わたしの一番かわいいところ
・MISIA (10)
・MISIAスペシャル
・水森かおり (23)
大阪恋しずく ~紅白ドミノチャレンジ2025
・LiSA (4)
残酷な夜に輝け
【白組】
・&TEAM (初)
FIREWORK
・ORANGE RANGE (3)
イケナイ太陽
・King & Prince (6)
What We Got ~奇跡はきみと
・久保田利伸 (2)
紅白スペシャルメドレー
「1, 2, Play」「Missing」
「LA・LA・LA LOVE SONG」
・郷ひろみ (38)
2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-
・サカナクション (2)
怪獣・新宝島
・純烈 (8)
いい湯だな
・SixTONES (4)
6周年アニバーサリーメドレー
「Imitation Rain」「バリア」「こっから」
・TUBE (3)
紅白 夏の王様メドレー
「シーズン・イン・ザ・サン」
「恋してムーチョ」
「あー夏休み」
・Number_i (2)
GOD_i
・新浜レオン (2)
Fun! Fun! Fun!
・Vaundy (3)
Tokimeki
・back number (2)
どうしてもどうしても・水平線
・BE:FIRST (4)
夢中
・福山雅治 (18)
クスノキ-500年の風に吹かれて-
・布施明 (26)
MY WAY
・Mrs. GREEN APPLE (3)
GOOD DAY
・三山ひろし (11)
酒灯り~第9回 けん玉世界記録への道
・M!LK (初)
イイじゃん
・RADWIMPS (3)
20周年スペシャルメドレー
「賜物」「正解」
以上、今昔が入り乱れた大混戦、って印象で、
まさに多様性が溢れていますね。
次は、『みんなのランキング』を参考にして
歌手の今と昔を分けてみたいと思います。
【歌唱力の高いアーティストランキング】
1位
MISIA(デビュー:1998年)昔?
2位
久保田利伸(1988年)昔
3位
美空ひばり(1947年)昔
4位
大森元貴 Mrs. GREEN APPLE (2015年)今
5位
越智志帆 Superfly(2007年)今
6位
吉田美和(1988年)昔
7位
玉置浩二(1982年)昔
8位
布施明(1965年)昔
9位
TAKA~ONE OK ROCK(2003年)今
10位
草野マサムネ~スピッツ(1987年)昔
11位
稲葉浩志~Bz(1985年)昔
12位
尾崎紀世彦(1970年)昔
13位
ASKA(1978年)昔
14位
小田和正(1969年)昔
15位
藤原聡~Official髭男dism(2011年)今
16位
中森明菜(1982年)昔
17位
米津玄師(2009年)今
18位
宇多田ヒカル(1998年)ギリ昔
19位
島津亜矢(1986年)昔
20位
平井堅(1995年)昔?
以上、やはり圧倒的に昔の人が多いですね。
でも、これだけで「昔が上手い」と決めるのは、
何かモヤモヤします。
もしもMISIAを今の代表として昭和の歌手が
挑んだら、誰も敵わないかも知れません。
美空ひばりと比べたら意見が分かれそうですが、
タイプが全く違うので簡単には比較できません。
同じくTAKAは布施明とも父親の森進一とも全く
別物で、昔に存在しないタイプかと思います。
逆に、宇多田ヒカルを産んだ藤圭子、青江三奈
ちあきなおみ、八代亜紀や中森明菜みたいに
歌う女性も今では特に見当たりません。
つまり、今と昔の優劣は付けられないものの
両方に何か違いがあるのは間違いないのです。
…ってな訳で、その何かについて鋭く長く考察
するので、もし暇ならば一緒に考えてみましょう。
【目次】
1.カラオケで変貌した歌社会
2.白熱のカラオケバトル
3.カラオケが生んだ今風の歌
4.地声と裏声の中間とは?
5.大きければ良いとは限らない?
6.今や当たり前のピッチ補正
7.CD音源と生音源のギャップ
8.プロとアマの違いとは?
9.声の質が育む個性と実力
10. 昔の歌手は個性的?
11. 歌手のポテンシャルは手本?
12. 埋めがたい西洋人との差
13. 停滞する音楽シーン
14. 上手いと美味いは同じ?
15. ジャパンのカワイイ
16. 人は世につれ歌につれ
1.《カラオケで変貌した歌社会》
かつて昭和の頃、流しと呼ばれるプロの歌手が
ギターを片手に夜の酒場を出入りしていました。
客の歌をギターで伴奏したり、リクエストを受けて
自ら歌うなどしてギャラを得ていた人たちです。
その多くはデビューを目指す一般の歌手であり、
過去には、藤圭子、北島三郎、五木ひろし、
井上陽水などが流しからプロデビューしました。
そんな流しも、バーやスナックがカラオケを導入
して以降、急激に数が少なくなったようです。
今も都会では居酒屋を中心に回っているよう
ですが、自分の地元(新潟)では既にいないかも
知れません。
今やカラオケの普及で、あたかも国民の全員が
アマの歌手になったような状況になっています。
無論、昔は人々に歌う機会も機械もなかった分、
流しと素人の歌唱力には大きな差がありました。
しかし、今や巷はプロ並みに歌える素人で溢れ、
まさにプロとアマの境目が曖昧になっています。
つまり、上手いからプロ、って訳でもないのです。
2.《白熱のカラオケバトル》
いつしかカラオケに点数を付けて競う風潮が
広がって、アマが熱唱する番組がテレビで
目立ちました。
元は個人の主観で計られていた歌唱力が数字に
変換され、今やカラオケはEスポーツと同じような
扱いです。
テレビに出るアマの多くが90点台の後半を出し、
100点を弾き出す猛者が称賛を集める状況…。
普通に観て「おっ、すごい!」と思いますが、
冷静になると「だから何?」って気分です。
自分が普通に歌うと平均で92点ほどは出るので
真剣に練習すれば90点代後半は出そうですが、
だからと挑む意欲はありません。
まんま譜面と同じに歌うのも面白みに欠けるし、
フェイクすると点数が下がる部分に納得できない
のです。
(フェイク:メロディやリズムを変えて歌う)
現在はカラオケの普及で難易度の高い曲が
増えて、これらで高得点を出すのがステイタス
みたいになっています。
多分、YOASOBIとかAdoとか鬼滅の刃の主題歌
なんて、キーを下げてもピッチもリズムもボロボロ
になって、人前で歌う気にはなれません。
(ピッチ:単純に音程を指すが少し意味合いは
異なる 音程は曲の全体を指し、ピッチは一部を
指す例が多い)
歌メロがクラシックのバイオリンやピアノみたいに
速く、もはや人の声でマスターするのは無理だと
思います。
恐らく多くの昭和世代が今の歌に着いて来れず、
昔のばかり歌ってるかも知れませんね。
異邦人や学園天国は歌えても、うっせぇわとか、
アイドルや紅蓮華はさすがに難しいと思います。
3.《カラオケが生んだ今風の歌》
昨今、難曲に人々が順応して得点を重ねる中で
昔とは違う新たな歌唱法が現代の主流と化して
います。
それは、ピッチとテンポが合いやすい声を出し、
ビブラートの多用で加点するスタイルです。
さらに、プロも昔みたいに地声を実直に出さず、
裏声を多用するようになってますね。
それも、高い声がステイタスのようになってる
からです。
また、高いキーの曲を原曲のままで歌うのも
ステイタスで、これに呼応して裏声を使う歌手が
増えてるような気がします。
例えば、星野源は主にストレートな地声ですが、
高い部分は明確な裏声になってますよね。
昭和では尾崎豊も同じでしたが、同様の歌手が
現在は女性も含めて非常に多く見られます。
この地声と裏声が分離したタイプが今の主流で、
その切替えができる人が上手いと言われている
ようです。
4.《地声と裏声の中間とは?》
元来、地声(ストレートヴォイス)ではない声を
ファルセットと言い、細かくはミドルヴォイス、
ミックスヴォイス、ヘッドヴォイス、ベルティック
ヴォイスなど、より細かく分類されています。
(ヘッドヴォイス:パワフルな裏声、
声楽のソプラノ)
(ベルティック:パワフルなミドルヴォイス)
以上はヴォイストレーニングの便宜に過ぎず、
声の出し方を明確に細かく分類しようとしたら
言葉が20あっても足りないかも知れません。
単純に言うと、喋るのに使う地声はストレート、
ミドル~ミックスヴォイスは地声に裏声を混ぜた
ものを指し、歌うには非常に使い勝手が良い声
なのです。
元々、人の声は出し方によって地声と裏声の
配合が変わり、それが人それぞれの多様な
個性を作り出しています。
そのため、配合によっては同じ音でも地声に
聞こえたり、裏声と思われる場合もあって明確に
分類できないため、両者の中間としてミックスや
ミドルの概念が作られました。
実は、地声より裏声の方がピッチが合いやすく、
それだけに裏声を混じらせた声は点も出やすく
なります。
そのため、カラオケで95点が普通に出る人は、
ミドルヴォイスを使っている可能性が高いです。
高音で高得点を出すのが自慢となる現代では、
曲のキーも全体的に高くなっていますね。
しかし、昭和の人は地声の配合が多い歌唱で
今の歌だと高い部分が出しにくいと思います。
反対に、今の人は裏声の配合が多い歌唱法で、
キーが高くても高得点が出やすいでしょう。
とすれば、カラオケを歌うアマチュアに関しては
単純に昔より今の方が上手いとも言えますね。
5.《大きければ良いとは限らない?》
今の歌手は高音や声域の面で優れていますが、
声量では明らかに昔の方が明らかに上です。
設備のない昔は生声で広い会場に響かせる
だけの豊かな声量が必要だったからですね。
マイクがあっても、狭いクラブやライブハウスで
生の演奏に合わせるには相応の声量がないと
歌になりません。
どんな環境でも歌のクオリティーを保つために、
歌い手にとって大きな声はマストだったのです。
そんな大きな声を安定させるには腹式呼吸を
会得し、豊かで響きのある地声を身に付ける
必要があります。
腹式呼吸は声量が出しやすく、のどの負担も
少ないので、各地をツアーで回る歌手としては
基本中の基本でした。
元は声楽の発声法なので歌謡曲とは違う点も
ありますが、昭和の歌手は自分なりに上手く
使いこなしていたようです。
現在、日本の若い歌手は大半が胸式呼吸の
発声が主体で、腹式呼吸を基本とする歌手は
少数派となっております。
実際、声楽家の歌声は太くて厚い印象ですが、
今の歌手は細くて軽い声の人が多いですよね。
でも、音響テクノロジーが整った今の時代では、
これでも会場に十分な歌声を響かせることに
全く問題ありません。
同様に、一般人がマイクでカラオケを歌う際も
無理に腹式呼吸を会得する必要はないのです。
そのため、多くの人が喋ると同じ胸式で歌唱し、
軽くてカン高い歌声が主流になっています。
まさに、ハードの進化で時代の歌が大きく変化
したのです。
6.《今や当たり前のピッチ補正》
以前、小室哲哉が「機械に歌声を合わせねば
ならない今の人は可哀想」などと語っていた
そうです。
彼も音楽を機械化した一人ですが、その功罪
についても、しっかり熟知しているのでしょう。
生楽器も人の声も機械とは違い、周波数の
レベルで完全に音を合わせるのは実質的に
不可能となります。
それでも、個々のズレが全体で平均化されて
馴染むので聴いても違和感はありません。
一方、デジタル機器の正確な音源で歌う場合、
声だけがズレて大きな違和感が生じます。
そのため、それなりにピッチが安定していないと
なかなか人前で歌えない時代になった訳です。
一般では、喋る程度の小さめな音量で裏声を
多用し、抑揚がなく実直に歌う人が多いですが、
これもカラオケの音源が機械だからでしょう。
昔の歌手みたいに、大きな地声で細かい抑揚を
付けてエモく歌うと高得点が取れないのです。
なので、小室哲哉が言うように、ズレを気にして
思い切り歌えない今の人は可哀想と言えるの
かも知れません。
現在、プロもアマもCDや配信でレコーディング
する際は、機器でピッチを補正するのが常識に
なっています。
(ピッチ補正:歌の中で音がズレた部分を伴奏に
正しく合わせる)
それも、カラオケ採点の功罪(?)と言えます。
人々が高得点を目指してカラオケを練習する
状況で、基準となるプロの歌唱がズレてる訳には
いかないのです。
カラオケ採点が盛り上がってなかった時代では、
音のズレなど大して問題ではありませんでした。
昭和の音源を注意して聴けば分かるでしょうが、
個人差はあっても多少のズレは確かにあります。
しかし、今やピッチはピチッと合って当然であり、
補正しないと逆に批難する人もいるようです。
まさにデジタル化が産んだ功罪と言えます。
ITで人々の耳が敏感になってしまった訳ですね。
7.《CD音源と生音源のギャップ》
昨今、生放送の歌番組を見ると、聴くに堪えない
ほど音を外しまくっている例が多く見られます。
機械の音源だからかも知れませんが、あまりに
外し過ぎで、これではプロの実力を疑われても
仕方ありません。
しかし、今やライブでもリアルタイムで合わせる
技術が普及しつつあります。
今後は、歌手がピッチを気にして歌声をセーブ
する必要がなくなり、遠慮なく持てる技術を駆使
して歌いまくれることでしょう。
生楽器が主流だった『ザ・ベストテン』では、
生でも大して外さず歌える人も普通にいました。
(中には外しまくる人もいた…)
その分、レコードと生の差が少ないどころか、
生の方が上手い例も珍しくありませんでした。
逆に生が不安な歌手には『口パク』なる手段が
あり、テレビ放送では多用されていたようです。
その点は今も変わりませんね。
ライブ会場では新技術があるので問題ないし、
もう何が何だか訳が解らない状況です。
実に、Youtubeで人気の『ファーストテイク』でさえ
ピッチが操作されています。
カラオケと同じく初めから通しで歌ってるだけで
本当にリアルな歌声ではない訳です。
もはや、本当の実力を知るにはカラオケに行って
みんなに聴いてもらうしかないかも知れません。
僕がやってる『歌ってみた』界隈でもピッチ補正
は必須となっております。
それにより、ほとんどプロのCDと差がない安定の
歌声を誰でも気軽に作れる状況なのです。
でも、昭和を長く生きていた僕には納得し難い
ものが多少あります。
ほぼ100%正確な今時の歌声に、何か不自然で
異質な印象を抱いてしまうのです。
なので、どうしてもズレてしまう難しい部分だけ
ピンポイントで補正するようにしています。
仕上がりとしては80年代っぽく微妙にズレた感じ
になってますが、それで十分な気がします。
8.《プロとアマの違いとは?》
昔よりも上手いアマが増えたのは確かですが、
だから実力がプロ並みとは断言できません。
現在は踊りながら歌うスタイルが全盛であり、
そのハンデがあっても一定のクオリティーを
発揮する力が今の歌手には求められます。
実際、テレビでカラオケ採点に挑む歌ウマの
素人は、単に直立不動で音だけ合わせてる
だけの例が多いです。
技術面でプロに匹敵するアマの歌ウマさん
は大勢いてもが、個人的に「もっと聴きたい」
と思わせる歌声に出会ったことは今までない
かも知れません。
一方、売れっ子のプロには人々を感動させ、
陶酔させるだけの魅力ある歌声があります。
この歌声の質は、単に声量やハイトーンや
ピッチの安定、ミドルヴォイスの使い分けなど
技術とは無関係の部分です。
例えば、生で歌う宮本浩次はピッチが危うく、
ビブラートや裏声の技量も高くはないですが、
歌声だけで人々を感動させる魔力があります。
同じく、ポルノグラフィティの岡野昭仁だって
ビブラートなしで実直に歌っているだけなのに
あれだけ多くのファンを魅了している訳です。
つまり、上手いかどうか、ではなく好いかどうか、
ですね。
歌手はアスリートではなくアーティストであって、
技術より芸術的な部分を先に身に付けないと
そもそもプロとして成立しないと思います。
過去に放送された日テレの歌唱王を観れば
分かるでしょう。
優勝者の中でデビューしたのが僅か一部に
過ぎないように、カラオケばかり練習しても
プロでは簡単に通用しないんです。
9.《声の質が育む個性と実力》
お気づきかと思いますが、昔の方が上手いと
言う人たちは声の質で判断しているようです。
だからこそ、ハイトーンや裏声の使い分けなど
なくても、鍛え上げた地声で実直に歌う昭和の
歌手の方が上手い、と言うのでしょう。
単純に現在より昭和や平成の歌手を上手いと
思うのは腹式呼吸の重厚で柔和な歌声が好き
だからかと思います。
反対に胸式の軽快で明るい高音が好きな人は、
技術面で今の方が上手いと言うはずです。
恐らくですが、アダルトな地声で歌う布施明や
尾崎紀世彦と、少年のようなハイトーンを出す
大森元貴や藤原聡では、人々の好みが両極端
に分かれると思います。
森進一と息子のTAKAも甲乙つけ難いですが、
今の人はTAKAに軍配を上げるでしょうね。
でも、TAKAのように歌える人は海外だとザラに
おり、逆に森進一みたいな歌声は海外どころか
国内でもなかなか見当たりません。
その辺が今と昔の大きな境界線と言えそうです。
年末の歌番組を観て感じたのですが、多くの
歌手が自分の曲を歌い切れていないように
感じました。
それは、自分が余裕を持って歌える音域を
原曲のキーが超えているからでしょう。
事実、プロ音源は調子の良い状態で出した
歌声を編集したベストな仕上がりとなって
います。
つまり、生で歌う時に好調な状態じゃないと
必然的に音源より劣化した歌声になる訳です。
声が出ない状態で無理に出すと、発声が乱れ、
いわゆるプロの声質を発揮できなくなります。
辛らつに言えば、NHKのど自慢で素人が無理に
原曲キーで挑んで鐘2つ、みたいな状況です。
一方、昭和の演歌歌手がのど自慢のゲストで
歌う際は何の問題にも至りません。
昔の歌番組でも、多くの歌手が自分の曲を
歌いこなし、無理に必死で声を出すような
場面はほとんど見られなかった気がします。
この無理して劣化した発声はピッチ補正では
直せません。
その辺りも今と昔の大きな違いと言えそうです。
10.《昔の歌は個性的?》
昔の歌を好む人は、今時の歌を「個性がない」、
「みんな同じに聞こえる」などと口を揃えます。
それは既に述べたように、裏声を前面に出す
歌手が多いからでしょう。
(楽曲のパターン化も影響?)
実際、サザンの桑田佳祐、エレカシの宮本浩次、
中島みゆき、郷ひろみ、美空ひばり、など地声で
歌う有名歌手は、個性的で唯一無二ですよね。
他、高音が自慢のクリスタルキングの田中昌之、
八神純子らは地声の比率が高いベルティック
ヴォイスの使い手であり、非常に個性的で似た
声を持つ歌手は他に見当たりません。
ミックス&ミドルの専門家と言える小田和正や
徳永英明、草野マサムネや平井堅なども同じく
唯一無二ですね。
裏声を混ぜた声は個性の差が出にくいですが、
彼らは元の地声が鍛えられており、声の共鳴や
混ぜ方が絶妙で他の追随を許さないようです。
現役の歌姫だと、宇多田ヒカルや椎名林檎は
個性的かつ魅惑的で聴き手を引き込む歌声を
持っています。
しかし、この2人と似ている歌い方をする歌手が
今のシーンでは意外に多いのです。
いずれもミックス~ミドルヴォイスの使い手で、
割りとマネしやすい発声なのかも知れません。
あと、EXILEのATUSHIも美しいミックスヴォイス
が評価されてますが、同じような歌手が後から
続々とデビューしてる気がします。
反面、林檎と同じ姓で椎名恵と言う昭和の歌手
がいましたが、豊かな声量と美声の持ち主で、
同じように歌える人は今のシーンでなかなか
見当たりません。
シティーハンターのオープニング曲で知られる
小比類巻かほるも深みのある美しい声ですが、
後に続く人はいないようです。
まさに、時代の変化で人々の歌声が変化した
証拠と言えます。
11.《歌のポテンシャルは手本?》
上記の通り、昔の歌手は個性のある地声が主体
でしたが、それも腹式発声が時代の標準だった
からです。
例えば、美空ひばりや越路吹雪の歌声が魅力的
なのは、彼女たちが聴いていたレコードや生歌が
腹式の発声で、これらを手本に幼少時から歌を
磨いたからに他なりません。
ならば、カラオケが普及して胸式が主流になり、
軽い地声に裏声を交える歌手が全盛の昨今、
同じような個性のない歌手が増えるのも当然
となります。
また、幼少時に今のJPOPから発声の影響を
受けた若者が後で昭和の懐メロに填まって
歌声を変えようとしても、同じように歌える
可能性は低いかも知れません。
現在、かつての深みと個性ある大人の声を
出せるのは、生き残った昭和と平成の歌手、
これらを聴いて育った中高年の素人たちしか
いないのではないでしょうか?
その辺は紅白歌合戦でそれぞれ聞き比べれば、
直に分かると思います。
一般的に、歌手の潜在力は影響を受けた歌手
で決まり、その実力も手本と当人で似かよる
場合が多いようです。
持って生まれた声は天性でも、歌声は後天性で
発声や共鳴や裏声の配分で大きな差が出ます。
従って今のヒット曲ばかり聴いている今の人は、
必然的に今風のスタイルに定着するのです。
そうなるのが悪い訳では決してありません。
それで歌を磨いた歌手が現にプロでブレイク
しており、人々に興奮と感動を与えています。
ただ、生まれ持った地声を磨いて他と差別化
しないと、それだけ人々から注目されにくい
状況であることも確かですね。
そのため、個性を出すには同様に個性的な
歌手を手本に、自分らしい地声を磨き上げる
必要がある訳です。
12.《埋めがたい西洋人との格差》
今より昔の歌手が上手いと思ってる人の多くは、
日本人より西洋人の方が上手いと言うでしょう。
それは、西洋人の言語が腹式の発声だからで、
元から深く厚い地声を持っているためです。
一方、日本語は胸式の発声なので、初めから
声が軽く、西洋人から見ると幼くて可愛い歌声
になってしまいます。
それでも、洋楽を手本にしていた昭和世代は
日本語でも深みのある声を出せていました。
実際、80~90年代までは洋楽に影響を受けた
日本人の歌手が国内で活躍していたのです。
いわゆる、シティポップは典型的ですね。
山下達郎と竹内まりや、松原みきなどは今の
歌手と明らかに別の声で歌っています。
玉置浩二、稲垣潤一、久保田利伸、大橋純子、
五輪真弓、ASKA、デーモン閣下、人見元基、
浜田麻里、NOKKO、など洋楽に影響を受けた
痕跡のある人たちの歌声も同様です。
ほとんどレジェンドと呼べる人ばかりですね。
現在のトップ級であるMISIAや宇多田ヒカル、
越智志帆、吉田美和、稲葉浩志、TOSHI、
HYDEなども明らかに影響を受けてます。
こう見ると、洋楽の洗礼を受けた歌い手は
今の令和でメガヒットを連発する大森元貴や
米津玄師やAdoとは別物と言えるでしょう。
恐らくですが、英語で洋楽の曲を練習すれば、
カラオケ世代の人も相応に歌声を変化できる
と思います。
昭和の実力派に習って日本語で歌うよりも
直に西洋を真似た方が効率的でしょう。
よって、洋楽を手本にする若者が増えてくれば
レジェンド級の逸材が続出するかも知れません。
売れるかどうかは別の話ですが、個人的には
期待しています。
13.《停滞する音楽シーン》
現状、JPOPシーンでは実力よりもルックスと
若さが重視され、男子も女子もアイドル系や
ダンス系ばかりがセールスを上げています。
確かな実力がある昭和や平成の現役シンガーは
一部しか注目されず、日本の業界に歌の多様性
を拡げる気はなさそうな印象です。
見ての通り、昭和スタイルの歌い手は消えゆく
ばかりで、これから新たな逸材が出てくる兆しも
ありません。
それより、既に浸透している今の嗜好に合わせ、
層の厚い今風の若手を次々デビューさせるのが
セールス的(テレビ)には無難なのでしょう。
現在、昔の歌手と懐メロが若者に注目されては
いますが、ご存知の通り現在のシーンに影響を
与えてはおりません。
それは、このように「今と昔でどっちが上手い?」
と比べられてる点からも明らかです。
日本人の多くが現代のJPOPを聴いて育っている
状況では、昭和スタイルの歌声が音源でしか
存在しなくなるのは、時間の問題かと思います。
即ち、歌声の多様性は今後も広がらない可能性
が高いのです。
14.《上手いと美味いは同じ?》
ランキングだと、MISIA、大森元貴、越智志帆、
宇多田ヒカル、TAKA、稲葉浩志、平井堅、
小田和正、草野マサムネ、米津玄師、など、
ハイトーンが自慢だったり、ミックスヴォイスを
多用する歌手が多いのが気になります。
現在、低い声が売りの歌手が見られないの
何故でしょうか?
昭和の頃は低音で聴かせる歌い手も注目
されていましたが、今も世界では低い声の
歌手が普通に活躍しているのです。
個人的には、ささきいさお、水木一郎、
フランク永井、洋楽の、フランク・シナトラ、
ビング・クロスビー、デヴィッド・ボウイ、
リック・アストリーみたいな低い声が魅力の
歌手がシーンを賑わせてくれたら、多くの女子が
萌えて新たな需要が拡がる気がします。
(現在は、メディアがLGBTっぽい中性的な
トレンドを推してる印象…)
あと、八神純子みたいなクリスタルヴォイスの
歌姫も表に出てきたら嬉しいですね。
しかし、それは現代のJPOPシーンが心を入れ
替えて、人々が多様な歌声に耳を傾けない限り
難しいでしょう。
15.《ジャパンのカワイイ》
日本人の可愛くて幼い感じの歌声が悪い訳
ではありません。
何故なら、YOASOBIやAdoが海外でブレイクした
ように、日本の今風が世界に評価されています。
昔から西洋は成熟した歌声で溢れた状態なので
真新しい日本の可愛いスタイルが注目されてる
のです。
もちろん、歌が上手いからではないと思います。
多分、軽快で可愛い高音に萌えてるのです。
(MISIAや宇多田ヒカルは注目されない…)
つまる話、「上手い」の基準は誰もが同じでは
ありません。
一般には、声量があり、裏声やハイトーンが出て
それなりの音程が合っていれば上手いと言われ
ますが、それだけでプロとして通用する訳では
ありません。
結局、プロには人々を魅了する魔力が必須で、
そのための技術や声の質が求められるのです。
例えば、同じくハイトーンと声量が自慢のMISIAと
浜田麻里のどちらが上手いでしょうか?
恐らく評価は大きく二分されると思いますが、
最終的な決め手は個人の好みに他なりません。
結局、好きかどうかが全てなんですね。
16.《人は世につれ歌につれ》
音楽や歌を上下や優劣で判断する必要はないと
思います。
そもそも、今も昔も国内も海外も関係なく何でも
聴いて、好きな歌や素敵な歌い手に出会えたら
それこそ万々歳…、じゃないでしょうか?
現在、海外で日本の歌が注目されているように、
日本人も海外の歌を聴けば良いと思います。
西洋人が日本の昭和レトロに興味を持つように
日本人も70~80年代の洋楽に耳を傾けたら、
時代と地域を超えた歌の多様性が世界に拡がる
ことでしょう。
個人的には、多くの需要を操作して利益を得る
ばかりの業界には何も期待していません。
CDを買わなくてもネットで自由に音源を得られ、
今時のヒット曲も世界のレトロでも何でも自在に
コレクションできる時代になっています。
歌う側も、業界に入ってプロモーションに乗って、
テレビ番組やライブでチラホヤされる必要もなく、
地域のカラオケ大会や夜の酒場などで歌ったり、
SNSで歌声を配信したりすれば、必ず誰かしら
聴いてくれて、それなりに充実した歌ライフを
誰もが気軽に満喫できるのです。
ギターで弾き語りできるならば街角で歌えるし、
思い切って流しになるのも楽しそうですよね。
もちろん、野心があるならプロデビューを目指し、
全くの無欲ならば普通に家族でカラオケで歌う
だけでも悪くありません。
無論、自らは歌わずに好きな歌を聴きまくるのも
全然OKです。
もはや、上手い下手とか、どうでもいいですね。
長い容量を使って、この極論が結局の答えです。