2015年9月15日、
日中友好協会会長の丹羽宇一郎前駐中国大使
は日本記者クラブで記者会見し、集団的自衛権を行使する安保法案について「戦後の歴代内閣が数十年にわたり築いてきた「日中平和友好」の歴史をたった数カ月でひっくり返す権限はない」と安倍首相を批判した。また中国主導のアジアインフラ銀行(
AIIB)に言及し、日本にとってプラスになるなら参加すべき
だ、との考えを示した。
安倍首相は日米同盟強化には熱心だが中国に冷ややかで敵国視している、と中国は懸念している。日本国内の言動であっても、あっという間に中国はじめ世界中に伝わる。「米国について地球の裏側まで出ていこうとしている、いよいよ南シナ海まで米国に代わって出ていくのか」と思われてしまう。
イラクに派兵された米兵の自殺者は戦死者より多い。イラク・サマワで活動した自衛隊員のうち21人が自殺している。私は、できるだけ「戦争」に近づかないでほしいと思う。日本は(戦争をしない) 「違う国」として、世界の信頼を得るようにすべきだ。専守防衛で抑止力を堅固にするのは必要だが、集団的自衛権を行使する安保法案によって、戦後の歴代内閣が数十年にわたり耐えがたきを耐え築いてきた「日中平和友好」の歴史をたった数カ月でひっくり返す権限はない。平和憲法を(一つの内閣の)一存で変える権限はない。安倍首相には、歴史の重みを考えてもらいたい。
AIIBに、日本にとってプラスになるなら参加した方がいい。あまり悲壮的に考えなくていいと思う。大きなプロジェクトは中国が独自にやる。日本も同様で、アジア開発銀行(ADB)を通じてではなく独自に行う。AIIBは中央アジア諸国の開発や海洋諸国の港湾プロジェクトが中心となる。心配するほどの影響力はないだろう。(八牧浩行)