産経新聞国民の憲法講座第70講「国際法と憲法の関係を考える」について | 日本世論の会 本部

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産経新聞東京本社社会部教育班 御中

ご面倒ながら、下記意見を浜谷先生宛、ご回送願います。
湯澤甲雄、
三重中央大学名誉教授
浜谷 英博 先生
湯澤 甲雄 横浜市南区大岡3-41-10 TF045-713-7222
                                                                                            yuzawa.motoo@rainbow.plala.or.jp

産経新聞国民の憲法講座第70講「国際法と憲法の関係を考える」について(意見その2)

 日本国憲法第98条2項「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」と規定されているのであるから、covenantsとconventionの内容を正確に理解することによって、これを誠実に遵守する必要があります。
 その意味において次の2点を追加して意見を述べさせていただきます。

1、「条約優位説」と「憲法優位説」とがあるとされていますが、「条約優位説」は「自由民主主義の原理」を述べているcovenantsと、「自由と権利」の普及を目的としたconventionの両規約を正確に理解しないことから発生している一切排除すべき説であり、誤った説であると思います。「憲法優位説」のみが正しい説であると思います。
<covenantsは、自由民主主義の原理の中核に据えた「国民である家族や共同体の人々の基本的人権」と「国民個人の自由」、その「国民個人の自由」を確実なものにすべく創設された条件としての「国民個人の自由と権利」に関し規定しています。その核心にあるものが、「国による家族や共同体の人々の基本的人権の尊重」であり、「国による個人の自由と権利の保障」であります。この両者の間には、「常に後者の個人は前者の人々につくし、増進・擁護しなければならない」とする法秩序を設けています。>
「基本的人権」と「自由と権利」は互いに対極にある概念であるのであって、現行憲法解釈はこれを一緒くたにした誤りを犯しています。そのうえに、conventionまでも憲法第11条の「基本的人権」と一緒くたにする過ちの上乗りをしています。
国民も公務員も特に法曹界、憲法学界も、このように国際法の内容を正確に理解するならば、自ずからconventionは憲法第12条に属することが鮮明になって、憲法第98条2項に規定する「誠実に遵守する義務」を果たすことができることになるのであります。

2、国際法と憲法との関係を考える場合に決定的に重要なことは、covenantsの第2条が「国が国民に尊重し保障する」と規定し、憲法第11条が「国民に永久に保障する」としているthe rights recognized in the present covenant(本規約で認定された権利、即ち基本的人権)と基本的人権の内容が不明であるからその内容を法律として定める必要があることです。
早急に、現行の憲法第11条(基本的人権の享有)の下に、日本国の規範(standard)となる国民が享有すべき基本的人権の内容を認定(recognition)する法律(憲法第10条の下に在る「国籍法」のような法律)を制定し、担当行政機関を設けるべきであります。斯くして、憲法改正の礎を固めるべきであります。以上