もう随分前の話になるが、2021年度に行われた検定で、高校の歴史教科書で、竹島・北方領土・尖閣諸島について「固有の領土」が徹底されなかった。一方、地理と公民では、「固有の領土」と書かなかったものには検定意見が付き、全社が「固有の領土」と書いた。

なぜ、このような違いが生まれたのだろうか。それは、学習指導要領の規定の違いにある。

地理総合と地理探究では、

「竹島や北方領土が我が国の固有の領土であることなど,我が国の領域をめぐる問題も取り上げるようにすること。その際,尖閣諸島については我が国の固有の領土であり,領土問題は存在しないことも扱うこと。」(抜粋)

となっている。

公共と政治経済でも、

「我が国が,固有の領土である竹島や北方領土に関し残されている問題の平和的な手段による解決に向けて努力していることや,尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題は存在していないことなどを取り上げること。」

となっている。

一方、歴史総合と日本史探究では「領土の画定」などに関連させて「北方領土に触れるとともに,竹島,尖閣諸島の編入についても触れること。」とあるのみである。

この違いは、中学校でも同じである。

高校で「固有の領土」が徹底されなかったという事実は、中学校での領土記述後退につながる懸念もある。

そこで、学習指導要領の規定を改善し、「我が国の固有の領土である北方領土に触れるとともに,竹島,尖閣諸島の編入についても触れること。」等の改正を行うべきではないか。

すぐに行えるよう、次期学習指導要領まで待つのではなく、一部改正方式をとるべきである。当然、中学校でも同様の改訂が求められる。

合わせて小学校や中学校の教科書には「日本固有の領土というのが日本の立場です」と、明らかにおかしい書き方をしている教科書(教育出版)がある。これも、同様に改善していくことが必要だ。

領土教育の充実は教育改革への第一歩だ。

教育問題を考えるブログ」より。