牧師邸でのパーティ、というか飲み会というか、食事会には、そこそこの人数が集まった。
スリランカ協力隊OBを中心に、家主や乳児も含め、総勢13名。
僕は、妻と娘をつれてゆき、タイチくんも奥さんと息子を連れてきた。
牧師、タイチくん、僕には子供がいて、実は全員昨年生まれたいわゆる「同級生」なのである。
牧師とタイチくんのところは、昨年4月に生まれ、わが娘は8月生まれ。
同じゼロ歳児ではあるが、この4か月の差は大きく、体格が全然違う。
わが娘はひとりで座ることもできないが、牧師とタイチくんところの子たちは、余裕で座っていられる。わが娘と比べると「おとな」の風格を感じる。
しかし、我々本物のおとなたちは、ミルク代わりに酒を飲んだ。
牧師がいろいろ準備してくれて、サラダとか、チーズとか、酒とか。
あとは、家の中でBBQできる機械もあって、海鮮焼き。
サザエやエビやホタテなどを焼く。焼いて食う。
家まで焼いてしまおうかと思ったが、ひとまず食う方を優先。
うまいうまい。
ソーセージもウマい。
牧師は、奥さんとともにまめまめしく立ち働き、酒まで注いでくれる有様。
普段と比べて、ヒジョーに謙虚。
常識的なことしか言わないし、ツマラナイことしか言わない。
しかし、これは別に珍しいことではない。
牧師は、奥さんの前ではとてもおとなしくなってしまう。
以前、奥さんと一緒に牧師が我が家へ立ち寄ってくれたことがある。その時、我が妻も違和感を覚えたらしい。
「なんかいつもと様子が違う」
と。
僕は我が妻に教えてあげた。
「あいつ、奥さんといる時は、いつもああだよ」
と。
いわゆる「飼い犬」という状態。
ちなみに僕も飼い犬ではある。
タイチくんは、あまり飼い犬ではないようで、奥さんにしっぽを振っていなかった。
ちなみに、今回の牧師宅での飲み会を振り返り、我が妻は
「大人しいし、いい人だった」
と牧師の様子について表現した。
それはつまり、普段は「大人しくないし、いい人でもない」のだが、奥さんと一緒にいるので
「大人しくなり、いい人を装っていた」
ということを意味している。
なにも牧師を責めているわけではない。
それに、そうなってしまうのは牧師に限ったことでもない。
世の中の「夫」と呼ばれる種族の人間は、つまりはそういうものなのだ。タイチくんは違ったけれど。
さて。
子ども連れでの牧師邸訪問であったので、さすがにベロンベロンになるまで飲むわけにもいかなかったため、スローペースでの飲酒。
とはいえそこそこ酔っぱらったので、うっかり牧師の家を燃やすことを忘れてしまった。
次回訪問時には必ず燃やそっと。
木造建築なので、よく燃えそうだ。
そうなったら、牧師には灰になった家と、ローンだけが残ることになる。
頑張って返済してもらいたいものである。