酒飲みの殿堂!通称おやじビルで小津安二郎監督を偲び飲む <酒蔵 ダイヤ菊> | 還暦過ぎて料理生活家<旧:口中の幸い>

酒飲みの殿堂!通称おやじビルで小津安二郎監督を偲び飲む <酒蔵 ダイヤ菊>

ちょっとした物語を傍らに飲むと、酒もことさらに味わい深くなりますな。別れ話を切り出された時に飲んでいた酒、なんていうのは10年位は思い出を熟成させないとほろ苦くて飲めないでしょうが(笑)


さて、小津安二郎監督の話です。盟友の脚本家野田高悟と共に晩年の作品のシナリオを書き上げた蓼科の別荘。一年に一作品のペースで映画を撮っていた小津監督は、冬になると二人でその別荘こもって夏に撮る作品のシナリオを書き上げました。で、シナリオ一つ完成させるのに、一升瓶が30~40本空いたそうですね。その一升瓶は部屋に(廊下だったかな?)キレイに並べられていたそうです。ま、シナリオ完成の証拠といったところでしょうか。


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その並んでいた酒というのがダイヤ菊。長野県・茅野の酒です。実はそのダイヤ菊酒造の酒を取り揃えたその名も「酒蔵 ダイヤ菊」という飲み屋が東京にあります。場所は酒飲みの殿堂、別名おやじビルとも呼ばれるニュー新橋ビルの地下。


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地下へ降りるエスカレータに乗ると、頭上に現れる「憩いの地下街」の看板(笑)。いやー、ここからは本当に別世界だ! 酒蔵 ダイヤ菊は、蔵元直営というわけではなく、提携の飲み屋だそうだ。しかし日本酒はダイヤ菊のみ。ほとんど全てのラインナップが揃っている。


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この日は男三人、小津監督を偲んで監督が野田高悟と共に飲んでいたであろう一級酒に最も近いダイヤ菊 金印の四合瓶をまず頼みます。別に本醸造もあるので、これは普通酒になるのかもしれませんが、糖類などは入ってない模様。最初やや冷えた状態で飲んでみると、冷えているにも関わらずちゃんと旨みも甘みも感じる良い酒でした。アルコールの浮きも全然感じない。温度が常温に近づくにつれ、よりふくらみがでてくる。小売価格1800円(1.8L)はかなりコストパフォーマンスが高い! 安くて旨い酒。それこそ小津監督ならではなのでしょう。


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野沢菜や馬刺しなど、長野のつまみをやりながら、今度は純米酒の四号瓶を。こちらは金印と基本的に同じキャラクターながら、より透明感のあるのど越し。旨みもよりナチュラル。これといって際立った個性があるわけではないのだけれど、安心して飲める旨みとコク、酸のバランスの取れた酒です。


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この純米酒の四号瓶も程なくして空き、煮穴子や出汁巻き卵なぞとともに今度は本醸造を熱燗で。小津監督はダイヤ菊を決まって55度の熱燗で飲んでいたと、俳優の三上真一郎さんが証言しています。実は後で資料を調べてみると、この本醸造が当時小津監督が飲んでいたダイヤ菊に一番近い味なんだとか。うーん、酒好きな小津ファン冥利に尽きます。


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そんなこんなで、至福のひと時を過ごしたというわけですが、最後はこの店のはす向かいにある「世界の洋酒立ち飲みの店」三番館というところであまり聞いたことの無いスコッチのブレンディッドをロックで。この三番館、女将さんのキャラクタも含め、小津映画に出てくるバーの雰囲気を少しばかり髣髴とさせ、小津デーの締めにはまったくぴったりのバーでしたとさ。


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帰ったら小津のDVDの特典映像でも見ながら一杯やろうかと思ったのだけれど、シャワー浴びればあえなくベッドへ直行。3人で一升2合と、そこそこ飲みましたな。これでいいシナリオならぬ、いいブログ・エントリが書ければ言うことないのですが。。。


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酒蔵 ダイヤ菊

住所:新橋2-16-1ニュー新橋ビルB1F

電話:03-3580-5375

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