中学受験・涙と笑顔の奮闘記〜中高6年間と大学受験を経て大人になって今振り返る景色の備忘録〜

中学受験・涙と笑顔の奮闘記〜中高6年間と大学受験を経て大人になって今振り返る景色の備忘録〜

『普通』の権化である母と、そこからかけ離れたところにいる息子の中学受験バトルの記録から数年、息子は中高6年間と大学受験を駆け抜け家を出て大人に。
当時あんなに涙し笑顔で奮闘した日々の答え合わせが、今ようやく…

阪神タイガースのセ・リーグ優勝、
おめでとうございます!

昨年とはまた違う、困難を乗り越えて掴み取った道のり、だからこそ胸が熱くなります。
ここからさらにクライマックスシリーズ、そして日本シリーズへと続く挑戦も、応援しています。

今回は、そんな大興奮の最中だからこそ書きたい、「野球大好き・我が家の息子の深海魚シリーズ①」です。

第一章
森下翔太選手のある気持ち

先日、スポーツ紙のネット記事で目にした阪神・森下選手のインタビュー記事は、その言葉の奥深さに、深く心を揺さぶられました。

> 「輝さんがホームラン を打った直後、私がベンチ裏に下がるのは、ファンの間でも話題になっていた。『俺の方が野球が下手くそだな』って思う。普通に悔しい。輝さんから『人の成績は見るなよ』と言われているけど、見ざるを見ない。でも、輝さんは私の成績のことでどうこう言わないから凄い。
>
> 小学1年から始めた野球。自分が『一番』だと思ってやってきた。そしてプロ野球の世界に入った。だけど、目の前に確実に上のレベルの選手がいたら悔しい。ここまで真摯に野球と向き合い、真剣に取り組んでいた。ここまでやってきた自信があるのに、それをポンって上回られた。……(中略)……感情を隠せないぐらい、悔しい。」
> (※スポニチアネックス・森下選手インタビューより抜粋)

阪神タイガース・森下翔太選手の簡単な経歴は、
神奈川県出身。名門・東海大相模高校から中央大学を経て、2022年のドラフト1位で阪神タイガースに入団。ルーキーイヤーから勝負強い打撃で頭角を現し、チームの主軸として躍進を続ける若ざかりの強打者です。そんな彼にとって、チームメイトであり圧倒的なアーチを描く佐藤輝明選手は、常に大きな刺激であり、越えるべき「大きな壁」となっています。

プロの世界で、自分の無力さや圧倒的な実力差を直視し、「悔しい」と素直に表現する、批判を受けることもあるかもしれませんが、私はこの姿にこそ、「さらに上へ上がっていくための原動力」の正体を見た気がします。

自分をごまかしたり、言い訳をしたり、拗ねたりせず、目の前の現実と自分の感情を真っ直ぐ受け止めること、その冷静さと素直さこそが、本当の成長を生むのだと確信します。

そしてこの森下選手のこのコメントから、かつて中学受験を終え5年間「深海魚」として深い海の底で眠り続けた我が息子が、高3夏に浮上する時の姿を思い出したのです。

第二章
「アイツはきっと、また深い眠りに入る」

息子が中学受験を終え、小6から中1へ進む春のことです。長年お世話になった朝倉算数道場の朝倉先生に、お礼の挨拶へと伺いました。

朝倉先生は、小3の授業で息子を見て即座に「灘か東大寺が向いている」と見抜き、浜学園へと導いてくださった恩師です。その先生が、息子のいない場所で、静かにこう予言されたのです。

朝倉先生 「ママ、〇〇は、これからまた深い眠りに入ると思う。そして次に目覚めるのは、6年後の大学受験の時になる。それまで、〇〇を信じてそのままにしてやってほしい。」

私 「それは長い冬眠ですね……」

朝倉先生 「そう、我慢が続くからママは大変だと思う。そして灘という学校は、先生が冬眠に入った子を無理やり起こすことはない。ひたすら目覚めるのを待ち続けてくれる、あそこはそういう学校だから。」

先生の言葉通り、灘中・高へと進んだ息子は、見事に(?)、深い海の底へと潜っていきました。
そして高校受験もない環境で、完全に「深海魚」としての生活が始まったのです。


第三章
高3の春、訪れた「E判定」という現実からの岐路

そして、息子の高校3年の春のことです。
返ってきた模試の結果は、東大理一も京大工学部も、見事に「E判定」のオンパレードでした。

……そりゃあ、そうですね。
他の高3生たちがこれまで高校2年間を着実に積み上げてきたのに対し、息子は中学から5年間も深海魚として深い海の底で冬眠していたのですから。E判定が出て当然の現実でした。

そして、ここで息子は人生の大きな岐路に立たされたのです。
・このまま流されて、合格できそうな大学へ行くのか?
或いは、
・E判定を覆すために、今ここから本気で勉強するのか?

7月上旬、息子は自ら「朝倉算数道場」の朝倉先生を訪ねたいと言い出しました。
そこでどんな会話があったのかは私には分かりませんが、そこからの息子の変化は、目覚ましいものでした。

それまで学校にも満足に行けていなかったはずが、毎日塾に通い、夜遅く帰宅する日々がスタートしたのです。

・夏休み〜第一段階のギアチェンジ、数万円をかけて必要な問題集や赤本を購入。
・二学期〜学校のあとに通塾、
・12月〜雰囲気そのものがガラリと変化
・1月(共通テストの頃)〜目つきや表情にかつての鋭さが戻る
そして迎えた
・2月(国立前期)〜そのままラストスパート

合格発表までの長い待ち時間、息子は6月の岐路につい次のようにこう語ってくれました。

「あのまま流されて合格できそうな大学へ行くのも、なんか自分が悔しくて。だから、本気で挑戦することにした」

それはまさに、朝倉先生が予言していた「大学受験を前に本気になる」という、その完璧な答え合わせでした。

第四章
「悔しい」をどこに向けるか?自分?それとも他人?

この一連の出来事を通じて、私は確信したことがあります。
それは、人生の大きな壁を越えるために必要なのは、次の2つの条件が揃っているかということです。

1. 自分が「悔しい」という感情を、真正面から受け入れることができるか?

2. その感情が芽生えるまで、焦らず見守ってくれる環境があるか?

ここで注意しなければならないのは、人は「悔しい」と感じた時、そのエネルギーを「他人を攻撃する」「誰かを下げる」といった方向に使ってしまうケースが少なくないということです。

例えば、自分より優れた人を見て嫉妬して「あいつは大したことない」「裏でずるをしているんだ」と陰口で引きずり下ろそうとしたり、相手の足を引っ張ろうとしたりすることです。

なぜ、これが絶対にダメなのか?
それは、意識が「他人」に向いた瞬間から、「自分自身の成長のためのエネルギー」が悲しくも失われてしまうからです。

他人のアラを探したり攻撃したりしている時間は、自分自身が努力したり実力を磨いたりしている時間から完全に削り取られています。
つまり、他人を下げても、自分の能力や価値が1ミリも上がることはなく、ただただ自分が「成長のチャンスを逃して堕落していく」だけの結果になるのです。

その点、阪神の森下選手は違います。壁である佐藤輝明選手をリスペクトし、「自分は悔しい」と純粋に自分の胸の内に矢印を向け、そこから這い上がるための努力に変えています。

そして、我が家の息子もまた、灘校という恵まれた環境――ひたすら黙って待ち続けてくださる先生方と、壁のようにすでに高い位置にいる友人や、共に高みを目指す友人たちに囲まれていたからこそ、他人に目を向けるのではなく、自分自身と向き合って深海から浮上する決断ができたのだと感じます。

そして、その最高の環境へと導いてくださったのは、他でもない、あの日の朝倉先生でした。

深海の奥底の中から浮上し、自分の心と向き合って、そこから挑戦した息子の姿に、私は心からの拍手を送りたいと思います。

「悔しい」からこそ、今、上を見る。

阪神タイガースが、クライマックスシリーズでも、そして、その先にある日本シリーズでも、
素晴らしい試合を見せて、そして日本一になりますように。

そして、私自身も今、来月の検定試験に向けて、上を見て頑張ろうと思ってます…「悔しい」からこそ。


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