こんにちは。ご訪問ありがとうございます。結城蜜柑です。

「ドラゴンクエスト5」の二次創作小説を書きました。

伴侶はデボラ、主人公の名前はエシィズです。

よろしければご覧ください。

 

 

 

  あなたと一緒にいる理由

 

僕はぼんやりしていると言われているけれど、本当にそうなのだろうか。

結婚しなくちゃいけなくなったときは、これでも真剣に悩んだんだけどな……。

デボラさんがお風呂から戻ってくるのを待ちながら、僕はそんなことを考えていた。

アルカパの宿屋にある、懐かしい部屋。風邪を引いたお父さんがここで休んで、その目を盗んでビアンカとおばけ退治に行ったっけ。

デボラさんが戻ってきて、僕の隣の寝台に座った。

「悪くない宿ね。もともとビアンカの両親の持ち物だったんでしょう?」

「うん。おじさんの具合が悪くなったから、引き払って引っ越したんだって。この部屋ね、すごく懐かしいんだ」

僕はおばけ退治の話をした。デボラさんはつまらなさそうに聞いている。

僕が話し終わると、デボラさんは言った。

「隣のサンタローズがあんたの故郷なんでしょ。どうして先にアルカパに来たの?」

「うんと……サンタローズに行く前にデボラさんに話しておきたいことがあって」

「何よ」

僕は居住まいをただした。

「あのね、どうして僕がデボラさんと結婚したのか、ちゃんと話してなかったなって思って」

「話さなくても分かってるわ。わたしの美しさにもともとまいってたんでしょ」

「うん。確かにはじめて会ったときからすごく綺麗な人だなって思ってたよ。ただ、それで結婚して貰おうって思ったわけじゃなくて」

僕は頭の中で整理していた自分の気持ちを口に出しはじめた。

「僕、そもそもサラボナに言ったのは、お母さんを助け出すために勇者を見つけなきゃいけなくて、そのためには伝説の盾が必要だからだった。フローラさんの花婿に立候補したのは、成り行きというか、偶然というか、本当にフローラさんが好きだったからじゃなかった。でも、ルドマンさんちのお婿さんになれば盾が貰えるし、フローラさんって優しそうで素敵な人だから、結婚してもいいかなって思ってた。まあ、フローラさんが僕でいいならだけど。それで、指輪を集めたから、フローラさんと結婚することになるんだろうなって思ってたら、あんなことになっちゃって」

今でも、ビアンカが僕のことを本当に好きだったのか、僕には分からなかった。僕にとってビアンカは小さな頃一緒に遊んだお姉さんのような存在だったから、まさかビアンカに想われているだなんて、全然考えていなかったのだ。

その可能性をフローラさんに示唆されても、僕にはぴんとこなくて、いまだにはっきりとはしない。ビアンカは、本当に僕が好きだったんだろうか。

「僕はビアンカのこと、姉のように思っていたから、結婚するっていう考えに至ることができなくて。盾のこともあるし、フローラさんを選ぶしかないなって思って、あの日の朝になったんだけど……」

デボラさんはただ、まっすぐに僕を見ている。

「僕はフローラさんのこと、嫌いじゃないけど好きなのかどうかよく分からなかった。そんなんで僕と結婚しなくちゃいけなくなったら、フローラさんが可哀想だったんだけど、決めなくちゃってフローラさんにしようと思ってたら、デボラさんが来てくれたんだ」

あのときのデボラさんの言葉を思い出すと、体が浮き上がるような心地よさを覚える。

「わたしにしなさいよって。求婚されたときは驚いたけど……」

そのとき、思い出したのは、お父さんのこと。あの遺跡で、お父さんが言ったこと。

「僕、思ったんだ。お父さんの最期の心残りは、お母さんを助け出せなかったこと。それを僕に託して死んでいった。その僕にも、結婚すれば子供ができるかもしれないでしょ。授かるかどうか分からないけど、授かるかもしれない。その子供に、仕方なかったからお母さんと結婚したんだって知られちゃったら、そのお母さんも、生まれてきたかもしれない子供にも申し訳ない。お父さんみたいに、ちゃんと好きになった人と結婚して、幸せな家庭を持ったほうがいいんだって、デボラさんの求婚を受けて気付いたんだ。それで、僕が本当に結婚したいの誰だろうって考えた。フローラさんもビアンカも嫌いじゃないけど、思ったのはデボラさんは僕のことを褒めてくれたこと。炎の指輪と水の指輪を手に入れる男がほんとにいるなんてって。その僕に結婚してあげるって言ってくれたってことは、この人、僕のこと認めてくれて、好きになってくれたんだって思ってうれしかった。僕、まだ人のこと好きになったことないけど、先に僕のこと好きになってくれたデボラさんの側にいれば、人を好きになるってどういうことか分かるような気がして……それで、デボラさんにしたんだ。まあ、デボラさんはフローラさんのお姉さんなんだから、フローラさんと結婚しなくても、ルドマンさんが盾をくれるかもしれないって打算もあったんだけど」

デボラさんは僕を見た。綺麗に巻いた髪を指先でいじっている。

「えっと……何が言いたいのか分からなくなったけど、ちゃんと僕の気持ちを話してから、サンタローズに、僕の故郷に行って、そのあと、お父さんの最期の場所に行こうと思ったんだ」

デボラさんは何も言わない。ただ僕を見ている。

「今の話の関係ないけど、デボラさんってやっぱり綺麗だよね。あ、もしかすると、僕、綺麗な人が好きなのかもしれない。デボラさんが僕と同じ黒髪なのうれしいな。綺麗な伴侶とお揃いなんだもんね。デボラさんは僕の黒髪好き? 手入れ頑張ってるんだけど。お父さんと同じ髪の色だから、大切にしたくて」

なんだかペラペラしゃべってしまっていると、デボラさんは少しだけ嫌そうに言った。

「あんたっておしゃべりな男なのね。意外だわ」

「そう? 直したほうがいいかな?」

「そんなこと言ってないわよ。あんたはあんたのままでいいわ。寛大なわたしが主人だからこそ、許されることね」

「うん。ありがとう」

そして、デボラさんはそっぽを向いていった。

「あんたがどんな気持ちでわたしを選んだかなんてわたしには関係ないわ。わたしが選べって言って出てきたんだから、選ばれるのは当然のことだったし。ただ、そうね、ぼんやりしてるように見えて、いろいろ考えてるってことは認めてあげてもいいわよ。わたしはしもべの頑張りを認められないような心の狭い主人じゃないもの」

「うん、ありがとう! じゃあ、休もうか。ちょっと緊張するな……サンタローズに帰ろうとすると、脚が震えちゃうんだ」

少し弱音を吐くと、デボラさんは小さな声で言った。

「辛かったら泣いてもいいのよ」

僕を見てはいなかったけれど、確かにそう言ってくれた。

うれしい。僕、これからデボラさんに尽くして、僕のこともっといっぱい好きになって貰いたい。そして、僕もデボラさんのこと、ちゃんと好きになりたい。

お父さん。

まだときどき寂しいけど、僕は今、こんなに幸せです。

 

 

 

いかがでしたでしょうか。

 

29日に「ドラクエ11」が出ましたね。

わたしはゲーム苦手だし、他に欲しいものがあるので今のところ遊ぶ予定はありませんが、

ゲーマーの父(72)にその話を振ったら、すごく興味を示されました。

そして、その「11」が出た日、ゲームってよく分からないと言っていた母(64)が

生まれてはじめてRPG、「ドラゴンクエスト5」をやりたいというので、

ソフトを貸し、遊び方を教えました。

「ニンテンドッグス+キャッツ」「わがままファッションガールズモード」

「クマ♡トモ」を経て、ついに母がゲームらしいゲームを遊ぶ日が来るなんて……!

順調に進めることができたとしたら、母がどの人を伴侶に選ぶのか楽しみです。

そして、わたしが理解できない伴侶選択の問題について、母に解説して欲しい……。

SFC版を貸してくれた妹は、フローラを選んでいたのですが、貸してくれたときに「結婚前夜のビアンカの台詞は心が揺らぐよ」と言っていた。

わたしが借りた後で妹に同じSFC版を借りた父は、ビアンカを選び、どうしてかと聞いたら、「可哀想だから」と言っていた。

……結婚前夜のビアンカの台詞で、どうして心が揺らぐの? ビアンカのどこが可哀想なんだろう?

本当に分からないので……結婚前夜のビアンカの台詞に対しては、ふーん、そうなの、くらいにしか思わなくて……。

ビアンカを選ぶようにという圧力を感じるという意見もよく見かけるのですが、わたし、それも感じなかったし……。

性格(おとなしくておしとやかそうなところ)と外見(SFC版の画面、ウェーブがかった紺色の髪と、白いドレスを着た姿)が可愛らしくて好きだったので、SFC版ではためらいなくフローラを選びました。

そして、久しぶりにDS版を遊んでみたら、デボラになりました。Sっぽい女性とMっぽい男性が好きだから。床で寝てねって台詞、いいよなー。

ビアンカを選ぶべき、ビアンカを選ばないのは間違っているという意見、母は分かるのだろうか。妹も父も分かったんだし、分かるのかな。わたしって鈍いの?

その前に、母が結婚イベントまで辿り着けるのかどうかまだ分からないんですよね。とりあえず、一人で戦闘ができるようになるまで指導しないと。

それにしても、今、朝起きてみたら母が一人でゲームをしていることがあるのですが、

昔はそんなことは絶対起こらないと思っていました。人は変わるものですね。

 

それでは、最後まで読んでくださって、どうもありがとうございました。

 

結城蜜柑