六月大歌舞伎(昼の部) 歌舞伎座 2024

6月の歌舞伎座は、萬屋さん親子三代の襲名(中村時蔵→萬壽、梅枝→時蔵、大晴くん→梅枝)と中村獅童さんの長男、次男の初舞台の公演ということで、行ってきました。

(中村獅童さんのご子息の出演は夜の部です)

 

■公演期間

  2024/6/1- 6/24

 

■昼の部演目

1.上州土産百両首(じょうしゅうみやげひゃくりょうくび)

2.義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)

  所作事 時鳥花有里(ほととぎすはなあるさと)

3.妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん) 三笠山御殿

 

■詳細はこちら

六月大歌舞伎|歌舞伎座|歌舞伎美人 (kabuki-bito.jp)

 

 

■個人の感想と見どころ

 

  上州土産百両首

■初演

 1933年9月

 

■作者

 川村花菱

 

アメリカの小説家オー・ヘンリーの短編小説「二十年後」(After Twenty Years)を基にした演目だそうです。

 

■個人の感想

隼人さんが悪役、ということで、どんな感じになるのかと思っていたのですが、思ったよりずっと良かったです。

錦之助さんと隼人さん親子が、兄弟分として最初から同じ場面で登場。

二人で登場できるからこの役なのかな、とも思いました。

短刀だから立ち廻りは無いのが残念。

途中、獅童さん、菊之助さんが客席に降りて、アドリブで話しながら舞台に戻る場面も。

菊之助さんはこういう役が合っているような気がします。

話の内容も分かりやすく、イヤホンガイド無しでも理解できると思います。

 

  義経千本桜 所作事 時鳥花有里

■初演

 寛永6年(1794) 5月

 

■所作事(しょさごと)とは

舞踊のことを指すそうです。もともとは女方の出し物でしたが、次第に立役も踊るようになったそうです。

 

 

■個人の感想

華やかな白拍子の舞が美しく、外国人にも受けがよさそうな演目。左近さん、米吉さんが綺麗で、染五郎さんは一瞬、隼人さん?と思うほどの美しいお顔。去年の陰陽師では、ひょろっとした若者という印象しかなかったのですが、一年の成長を感じました。(上から目線でスミマセン)

花有里は源氏物語の花散里から来たのかな、と勝手に想像。

 

 

  妹背山女庭訓 三笠山御殿 劇中にて襲名口上申し上げ候

初演:

 明和8年(1778)1月 (人形浄瑠璃)、8月(歌舞伎)

作者:

 近松半二・松田ばく・栄善平・近松東南・三好松洛の合作。

 

「大化の改新」を素材にした王朝物。蘇我入鹿の横暴を阻止しようとるする藤原鎌足を中心にしたお話で全5段12場の4段目。

 

■個人的な感想

見どころは、

 

仁左衛門さんの女方と襲名口上

 仁左衛門さんの女方は初めて見ました。その流れからの襲名口上。

 五代目・梅枝さんも立派に口上を述べられていました。

 

 

全員小川家の「いじめの官女」

言葉だけ聞くと悲惨な場面を想像してしまいますが、登場から笑いを誘う8人の官女。

隼人さん、獅童さんがデカい。歩き方が殿中松の廊下風?で女の人に見えない。

そして、ネタバレになってしまいますが、1階席の方も是非オペラグラスで隼人さん、獅童さん、官女たちの顔を見てほしいです。あの雑な眉隠しはワザと??

あの顔を間近で見ながら、お三輪を演じる時蔵さんも大変だろうと思います。

 

中村隼人さんのインスタ:

https://www.instagram.com/p/C8G3cGJvRom/?igsh=YmF0MnJvd3dsd3k4

 

官女を演じるのは、全員が萬屋、播磨屋の小川家の方だそうで、

官女たちが下がった後、奥から「おめでとうございます」が何度も聞こえるのは、親戚の皆さんからの襲名に対するお祝いなのですね。

五代目時蔵(萬壽)さんが時蔵を襲名された時に演じられた演目ということを知って、こんな悲しいお話をなぜ襲名公演で?と思っていたのですが、襲名公演として上演される理由がわかりました。

 

それにしても、最後はあまりにもお三輪がかわいそうでひどいお話だと思ったのですが、鱶七を演じる尾上松緑さんが筋書きで話されていた、”鱶七にとっては「大事の前の小事」。厳しい身分制度があった時代の物語です。”で、何となく腑に落ちました。

 

また、入鹿は父蝦夷が白い牡鹿の血を妻に飲ませて産まれたので超人的な力を持っている

設定や、「爪黒の鹿の血」と「嫉妬に狂う女の生血」を鹿笛にかけて吹けば、入鹿の力が衰えるという設定など、名前から連想されたのだと思いますがすごい設定だと思います。

入鹿、蝦夷、馬子って、、、昔から何故こんな名前?と思っていましたが、当時は精霊崇拝の思想があり動物の名前を好んでつける風潮があったとの説が。

本当かどうかはわかりませんが、名前が「入鹿」でなければ、このお話は成立しなかったわけで、そこから構想を得てこの物語を生み出した江戸時代の浄瑠璃や歌舞伎、それを見に行く人々の教養の高さをと改めて感じました。私はイヤホンガイドがある時代に生まれてよかったです。

 

■その他いろいろ

アクスタ:

 新・梅枝さんのかわいいアクスタは、地下の木挽町広場では入荷待ちで、1階の売店では1人2個までの制限がありました。やはり人気なのですね。

 

お昼ご飯:

 木挽町広場(地下)の「やぐら」でグリル梵「ビーフヘレカツサンド」を購入。

 幕間は35分、20分と2回あるので、最初の幕間で「ビーフヘレカツサンド」、2回目の幕間は「おめでたい焼き」を食べました。中に紅白のお餅が入っていておいしかったです。

 

お土産:

萬屋饅頭と、上州にちなんだ長野産はちみつ、びわゼリーを購入。

 

襲名おめでとうございます。

せひ、夜の部も見に行きたいと思います。