ヤマトタケル 

2024年2月の土曜日、新橋演舞場でスーパー歌舞伎「ヤマトタケル」

「ハヤトVer.」 を観劇。

 

2月は、中村隼人さん、市川團子さんのダブルキャスト。

3月からは市川團子さんのみの主演。

 

■公演やチケットの詳細は

スーパー歌舞伎 ヤマトタケル|新橋演舞場|歌舞伎美人 (kabuki-bito.jp)

(出演者の組み合わせでA~Fのパターンあり)

 

私が見に行った日はAパターンで、中村隼人さんの「ハヤトタケル」の日でした。

 

團子さん主演で、御園座、松竹座、博多座でも公演があるそうです。

 

■新橋演舞場 アクセス(電車)

銀座駅A3出口からみゆき通りを歩いて10分くらいでした。

東銀座駅6番出口からは徒歩5分です。

 

■お弁当

1Fドリンクカウンターで「ヤマトタケル」特製幕の内弁当を買いました。(1,550円)

30分前に入場して、5分くらい並びましたが無事買えました。開演10分前くらいには売り切れて他のお弁当1種類のみになっていたので、当日買おうとされている方は、早めに買われたほうがいいかもしれません。

美味しかったです。男性にはご飯の量がちょっと少ないかもですが、幕間30分で食べきるにはこのくらいでちょうどいいと思います。

 

■初演

スーパー歌舞伎シリーズ第一作の『ヤマトタケル』が新橋演舞場で初演されたのは、昭和61(1986)年2月4日だそうです。

38年後の同じ2月4日が初日でした。

 

~歌舞伎初心者の感想~

■ヤマトタケル

「第1幕」

 舞台で小碓命/大碓命の2役を1人でどうやって演じるのだろう?と思っていましたが

見事な早変わりで全然違和感はありませんでした。代役の方は顔を見せないようにうまく演じられていたし、隼人さんの小碓命は高めの声で純粋な少年らしさ、大碓命は低い声で少し威圧感を、とうまく演じ分けられていたと思います。

米吉さんの兄橘姫/弟橘姫も登場のたびに髪飾りも衣装も変わって、声の高さも兄橘姫は落ち着いた感じ、弟橘姫は可愛らしい声で演じ分けされていました。舞台上の米吉さんは声も含めて本当の女性にしか思えません。

 

熊襲の場面、舞台上の出演者が多くて、みんな楽しそうで、カリブの海賊を思い出しました。

小碓命が女性に化けて熊襲の宴に乗り込む場面の隼人さんの女装、実はちょっと心配だったのですが、ちゃんと美女でした。艶やかな真っ赤な衣装で舞う姿も美しかったです。

花道横の席だったので、美しいお顔も拝見できました。

 

建物をあんなに壊して午後の部までに修復は大丈夫なの?と心配になったり、樽だらけの舞台で立ち廻りして足元大丈夫なの?と思ったり、あちこち見るのに忙しくあっという間の1時間でした。

 

九州出身者としては、熊襲に親近感もあるので征伐されるのはちょっと悲しかったですが、

「ヤマトタケル」の名前の由来となるお話なのと、征服される側の哀しみと征伐する側だけが正義ではないというメッセージは伝わったと思います。

 

「ヤマトタケル」の名を授ける熊襲弟タケルは隼人さんの父、錦之助さんが演じられていました。38年前の初演にも出演されていたそうで、「ヤマトタケル」を演じられたこともあるとか。

錦之助さんは筋書きで、いつか錦之助の名を隼人さんに継がせたいとおっしゃられていましたが、隼人さんはTVでも活躍されて名前も売れてきているのでしばらく本名のままで、襲名されるにしても20年後くらいにしてほしいなと思いました。

 

「第2幕」

焼津、草薙の剣、弟橘姫の入水、と有名な神話の詰まった幕でした。

「焼津」の由来となる話の場面では、火を表現するトンボを切るどころではないアクロバット的なアンサンブルの皆さんの動きが圧巻。また途中で火の勢いとの闘いを表現するため、ヤマトタケルとタケヒコ(中村福之助さん)が大きな旗を振り回す場面は、そんなに振り回したら明日腕が上がらなくなるのでは?と心配になるほど長い時間続きました。2人とも体力がすごい。

また、草薙の剣の由来となる、剣で草を薙ぎ倒す場面も。

 

そして、有名な走水での弟橘姫の入水の場面へ。

嵐と雷で船が進まないのは、タケルが討った人々の怒りのためで、タケルの一番大切なものを海の神に捧げないと船が沈むとの占いの結果。タケルの一番大切なものは、弟橘姫。

弟橘姫は、自分が海へ飛び込む理由を、「皇后が寝る時は8枚の畳だけど私の畳は1枚。大和に戻っても姉の兄橘姫が皇后なので、私はあなたの皇后にはなれない。でも海の神のもとに行けば、私を皇后になれる。私は海の神の皇后になるのだから8枚の畳を敷いてくれ」、とと懇願。タケルはそんな申し出は聞き入れようとはしないが、さらに海は荒れ狂い、雷も轟き、船は沈没寸前に。とうとう、タケヒコだけでなくタケルも畳を海に投げ入れ、そこに身を投げた弟橘姫は波に運ばれていきました。脚本だから仕方ないですが、畳のエピソードは不要だったのでは?ここは神話の通り、ヤマトタケルのために弟橘姫が海に身を投げる、で良かったのでは?と思いました。

弟橘姫を失ったヤマトタケルの心からの叫び。喉は大丈夫?と心配になるほどの隼人さんの熱演でした。本当に涙を流して泣いていたような。。。

 

團子さん休演中は、これを1日2回も演じたのか、と思うと、隼人さんのすごさを感じました。

 

「第3幕」

草薙の剣がなぜ熱田神宮にあるのか?の理由がわかる話でした。

東国を平定したタケルは、大和への帰還の途中、尾張の国造のところに立ち寄り、その娘のみすず姫と祝言をあげることに。帝がタケルの功績を認めていると伝えられ、ようやく父に認められたと喜ぶタケル、そして帝の命で伊吹山の山神退治に向かう時に、山神退治など容易いことと、草薙の剣をみすず姫に預けてしまいます。

この油断が命取りとなり、山神の妻の姥神の術で雹に打たれて深手を負い、山神の化身の白イノシシに噛まれ瀕死の重傷を負うタケル。白イノシシが本当に生きているかのような動きで、中の人すごい!と思ってしまいました。(筋書きにもお名前が載っていますので、中の人は存在するようです。)

 

そして、タケルの最後の時。。。ふるさとの大和に帰りたいと願いながらたどり着かなかった悲しい最期でした。

 

最期の場面は、タケルのお墓。立派な墳墓が築かれ、その前に兄橘姫とヤマトタケルの息子のワカタケル。従者だったタケヒコとヘタルべ。そこへ帝の従者として團子さん登場。(体調不良から復帰されてよかったです)。ワカタケルが日継ぎの皇子に決まったと伝える。

皆で大和に向かい、誰もいなくなったヤマトタケルの墳墓。

中から白鳥となったヤマトタケル登場。絢爛豪華な衣装が良く似合う。宝塚のように階段を1歩ずつ下りてくるのではなく、階段の真ん中がエレベーターのようになっていてスーッと下まで降りてきたのにはちょっとびっくり。

「天翔ける心、それが私」と言って宙乗り。

途中まで行って、2回最初の位置に戻ったときは、故障?とちょっと心配になりましたが、演出?だったみたいで安心しました。、最後は無事鳥屋へ。観客全員が目が合ったと思ったに違いないと思います。

 

「カーテンコール」

出演者が順番に出てきて、米吉さんは弟橘姫として登場し、一度戻って、兄橘姫としてワカタケルと共に再登場。帝が登場し、最後に墳墓からヤマトタケルが登場。

父である帝と手を取り合い、和解する場面もあり(隼人さん少し涙ぐんでいたような)、無事閉幕となりました。

全員が舞台にそろうと、圧巻です。

 

■全体の感想(というか隼人さんの感想)

隼人さんの主役感がすごいと思いました。圧倒的な華があります。

絢爛豪華な衣装にも負けない、圧倒的な主役の華。

今後、様々な役を演じられることを楽しみにしています。

 

神話でなんとなく知っていた程度のヤマトタケルですが、いろいろな場所に神話が残っていることを改めて知りました。ヤマトタケルの神話が残る場所をいつか巡ってみたいと思います。