月に雁
定番のテーマです
冷たい空気を感じるのは、冬に飛来するイメージがあるから?
少し雲に翳ったお月様は
ほのかで、しかも、確かな光を放っています。
空間の広さが素晴らしい
現代日本画が見失った尊い世界がココニ
羽音が聞こえてきます
【秋宵】
秋の陽はつるべ落とし・・・夜長の始まり、秋の宵・・・・春の宵は、良く画題とされて、朧月、に桜の花びらを散らせる、とか。・・・・
作例が多いもの。しかし、秋の宵というのはごく少ないテーマです。
何故って・・・少し寂しいんですね。人恋しい季節ですから・・・あまりやらない。
春草は此の画題を寂しくないような表現としての模範解答を提出しました。
【松林月夜】
同じ月夜でも、これは思索的。何かの故事に出てきそうなロバにまたがる老師?? 黒い月はオソラク、銀が酸化した?のだと、思いますが・・・・春草のことですから、わざと黒く描いたのかも・・・実物を未だ観た事がないので断定は出来ません。
【夕の森】
これも、オソラク、秋の夕だと思います。巣に帰る鳥の群れ、杉林のこんもりとした重なりがいかにもわびしい・・・・澄み切った夕凪の空気がヒシヒシと迫ってきますね。
【紅葉山水】
コチラは明らかに谷間の秋景。明快な紅葉です。
赤味を引き立てるグレーの諧調が美しい。!!
野分のあと、いよいよ秋が深まって、芸術する心がときめく頃。
春草の菊慈童をもう一度採り上げて見ましょう。
仙境に住まう慈童のディテール・・・
水辺に佇むこのえもいわれぬ、不思議さ・・・・
不気味とも違うし、超越でもないし、この世のものとは思われず・・・
仙境に佇む。という言葉だけではいかにも軽い感じがしてしまうほどの深さ。
さらに拡大してみましょう。
足元の落葉は、おもいきり地味・・・
が、その地味さ加減が、慈童の神秘感を引き立てる・・
渓声が響き渡る奥山の仙境・・・
紅葉を観る?、朧な異次元を見つめる?
細部にはこんなに可愛らしい小菊が・・・・
もう一度全体像を・・・・・
弱冠24歳の作品ですよ!!!
これは、世界に冠たる大和絵の一頂点と言える名作です。
つまり・・・・・ ・・・・・・。
先回、美人画を少しご紹介しましたが、人物にしても、鳥、獣、・・・・・
何にしたところで・・・・・生命描き出せる菱田春草に、死角はないのです。
秋の気配をさせながら、要所に点景を込めて、おおらかに、堂々と、深々と、謳い上げてゆくそのお手並みを拝見いたしましょう、
いずれも、クローズアップした部分図ですが・・・・
筏(いかだ)流しの、重労働の帰りでしょうか・・景色にうっとりする気配がよーっく、感じられますね・・
紅葉のなかの、大瑠璃鳥・・・
芦辺に舞い降りようとする、シギ・・・・
子犬・・・これは春景ですが、
渓谷の野猿・・・・全体像ですね。
秋の渓間を良く感じさせてくれます。
月下の狐・・
命の不思議さを、余すところ無く描き出してしまうのです・・
【夕の森】
しみじみと暮れ行く気配を存分に楽しませてくれるではありませんか・・・