すごいドキュメンタリー映画を見てしまいました。

 

 大阪が主舞台なのですが、なんと刑務所や少年院で先行上映されたという前代未聞の映画が先週から大阪・十三の第七芸術劇場で公開されています。

 

『おまえの親になったるで』(監督:北岸良枝氏)

 

 本作はテレビ大阪のドキュメンタリー映画として企画されたもので、主人公は大阪で建設会社を営む草刈健太郎氏。草刈氏は少年院や刑務所での元受刑者に住まいや仕事を提供、更生を促し、再犯を防ぐ「職親プロジェクト」の参加者でした。

 

 彼は全国の刑務所や少年院をまわり、受刑者に手を差し伸べています。世話をした受刑者にはまるで肉親のように慈愛に満ちた態度で接していますが、決して平坦な道ではありません。それでも窃盗や詐欺、薬物に再び手を染める元受刑者たち。でも彼は諦めず、見守り、待ち続けます。

 

 神や仏でもなければ考えられない粘り強い彼の行動の裏には、彼自身の過去がありました。最愛の妹をアメリカ人の夫から殺されたという悲劇があったのです。

 

 

(感想)

 この映画は衝撃的な映画でした。裏切られても裏切られても、諦めずに手を差し伸べる行為。世話した人間に裏切られたら、私なら絶縁してしまいそうです。でも決して見捨てず、人の可能性を信じて手を差し伸べる、これこそ無限の愛の行為だと思いました。

 

 映画でも紹介されているように、日本での元受刑者の再犯率は5割近くになるそうです。少しでも更生し、社会で真っ当に活動してもらえるようにすることが大事ですね。それがまさに安全な社会を築く基礎となり、個人の幸福を実現する近道ですもの。

 

 もし育った環境が異なれば、誰が過ちで人を傷つけていたかも知れません。人を傷つけないようにすることが一番ですが、もし人を傷つけてしまった場合も、立ち直る環境があるのは重要ですね。考えさせられることの多い映画でした。