前回、福島県南相馬市原町区の中心部にある昔ながらの映画館をご紹介しました。

 

 映画館であった旧「朝日座」は地元の人々にとって娯楽の殿堂であり、文化の発信基地でもありました。大事な存在だったのですね。今回はこの映画館を舞台にした愛情いっぱいの映画「浜の朝日の嘘つきどもと」(タナダ・ユキ監督 2021年)を紹介します。

 

 

 

 

 「朝日座」はかつて地元の一大娯楽場であったところです。でもテレビ番組など多様な娯楽の隆盛に押されて観客が減り続け、支配人は廃業の準備をしています。でもそこに茂木莉子(高畑充希)と名乗る女がやって来ます。閉館は待ってくれ、私がこの劇場を建て直すと宣言、それから町の人々を巻き込んで、彼女の大活躍がはじまります。でも地元の人でもない彼女がなぜこの映画館に思い入れるのでしょうか、いったい映画館はどうなるのでしょうか。

 

 

 

 

 

 非常に映画館に対する愛情であふれた映画でした。主演をつとめた高畑充希は映画の中ではつらつと輝いており、いっぺんにファンになりました。それに彼女の高校の恩師役の大久保佳代子、映画館の支配人の柳家喬太郎など、芸達者が大勢出演。映画では南相馬市原町区や郡山市周辺の風景もたくさん登場。フクシマ愛と映画館愛にあふれた映画でした。

 

 

 

 

 でも昔ながらの町の映画館はいいですね。朝日座は昭和の郷愁であふれています。映画の中でも溝口健二監督や小津安二郎監督の作品、「男はつらいよ」シリーズなど、往年の日本映画の名作をこの映画館で見てみたいですね。また「ニューシネマパラダイス」では最後に映画館は取り壊されますが、「朝日座」は残されています。いつまでも残してほしいです。そして機会があればまた見に行きたいですね。