押しかけ女房 | 土の黙々日記

押しかけ女房


子供の頃には確かにあったのに、今は全く聞かなくなったものに「押しかけ女房」という言葉がある


俺が子供の頃には お見合い結婚が普通だった


お金持ちの家では 親同士が子供たちを将来結婚させる約束をした「許婚(いいなずけ)」なんてものも実際にありました


中学生の頃に「許婚(いいなずけ)」がいるというお坊ちゃまが同じクラスでした


お金持ちは こんな風に子供の頃から将来の「結婚」という事にすら困らなかった時代の話し



一般人は親戚やら近所の世話焼き好きのおばちゃんに縁談を持って来てもらってはお見合いをする


しかし あまりにも貧乏すぎて自分からお見合いをする勇気の無かった青年達は どうやって結婚したのだろう?


これは 実際にあった話しなのですが


私が小学校の低学年の頃に よく遊びに行っていたお兄ちゃんがいたのです


彼は田舎から大学受験で東京に出てきて その後 大学院に進んだのですが 住まいは都営住宅の一軒家


1軒家とは言っても 台所・風呂場・4畳半の和室が2つというものだった


彼はお金が無いらしく 私が暇な日曜日・夏休み・冬休みは必ずと言って良いほど家にいた


私は彼の家の縁側に座り 珍しい本を見せてもらったりしては暇を潰していた


ある夏休みの事 いつもの縁側で なにやら歯車のいっぱい書いてある本を眺めていると


彼の家に 見た事の無いお姉さんが入ってきた


彼も驚いていたが その女性はかばんから手紙を出すと そのお兄さんに渡した


手紙を読んだお兄さんは 「私なんかで良いのですか?」などと言っていたが、子供ながらに遠慮して席を外したので詳しい展開は知らない


翌日 そのお兄さんの所に行って見ると そのお姉さんもそこには居た


やがて 「私 買い物に行ってきますね」と言ってお姉さんが居なくなったので、俺はすぐに「お嫁さん?」と聞いてみた


お兄さんからの説明では 大学を卒業しても働かずに東京でブラブラしている息子の身を案じた田舎の両親が適当に見繕った嫁を送って来たというのだった


ははーん これが噂に聞く「押しかけ女房」という奴か と思った


本人曰く 「ブラブラしているんじゃ無くて博士号をとりたいだけなんだがな」


しかし 彼は田舎の両親に感謝していたようだった


今 こんな事をする女性がいたら ストーカーとして逮捕されてしまいますし


見たことも無い男と結婚するなんて想像も出来ないでしょう


まあ 後にも先にも 「押しかけ女房」登場の場面を見たのはこれが最初で最期でした


昔はこんな事が珍しく無かったと聞きました