● 窮理(『周易本筮指南』より)
大阪の易者 武部泰莞です、こんにちは。
柳下尚範先生の『易 占法の秘伝』でも触れられている、谷川順祐(龍山)先生の『周易本筮指南』の「窮理」の項を、先日周易講座で紹介しました。
柳下尚範先生の本では、現代語訳(?)されているので、本当はそちらの方が読みやすいのですが、最近東洋書院さんから復刻されましたので、そちらからの引用は止めておきました。
周易本筮指南の方は著作権が切れているので、国立国会図書館デジタルコレクションで読むことが出来ます。
『漢籍国字解全書(易経上・下)』という本の中にも『周易本筮指南』が収録されています。
(私はこの本を持っています)
さて、この「窮理」の項は柳下尚範先生も大切なものとして書かれている通り、占う際に大切なことです。
加藤大岳先生の一派では「筮前の審事」という言葉で示されているもののようです(厳密には違うのかもしれません、浅学でお恥ずかしい)
何を尽くさねばならないのか、下に窮理の項を打ち出してみましたので、読まれてみて下さい。
(言葉が古いとか、「。」がなくて読み辛いと感じられるかもしれませんが)
窮理
窮理は筮占の柱礎にして、窮理を知らざれば、其占的當すといへども、皆偶中となりて、占の法とすべからず、窮理とは、必ず先づ其事物を詳にし、其情状を察し、而後筮して得卦の象を以て、其窮理に校勘して、其失得を決する、これを占と云ふ、此れ古昔、聖人卜筮を設けたまひし本旨なり、故に、書に曰、官占は先志を蔽(さだ)めて昆(のち)元龜に命ずと、蓋し、志を蔽むとは、所謂窮理なり、夫れ筮は、事物の理を推明して、未然の吉凶を問ふ、故に大傳の辭に由て、窮理と名づく、原ぬるに夫れ、卦は文字の如く、象は音義の如く、窮理は讀法の如し、三のものを明にして、始て筮占を謂ふべし、夫れ六十四卦を以て、天下の至錯を占考するものは、窮理の讀法あるを以てなり、又古今の書たる、三萬餘字を以て宇宙の至動を曲成するものは、其讀法あるを以てなり、譬へば大の字、おほいなりと訓じ、又尊称音泰に轉じ、見を見ると訓じ、轉じてあたるとし、長をながしと訓じ、轉じておさとするが如き、此れ文章の主意と語勢とに由て、四聲の音義轉ずるものは、此れ筮占に於ては、其窮理と得卦の象に由て、其取象の讀法、轉ずるが如きと異らず、夫れ文章は、虚字の斡旋にあり、占事も亦卦象の斡旋にあつて、其用を成せり、然れども、卦は唯六十四卦を以て萬象を盡すの妙文にして、韓柳(かんりゅう)といへども及ぶこと能はず、又彼の文字に比すれば、其義廣し、故に先づ象理に通じて、以て占を玩ぶべし、且夫れ、六十四卦に四千九十六の變あり、生涯の筮占、何ぞ是を盡さんや、然れども、窮理を詳にして得卦に照せば、未試ざる卦といへども、必ず其占を能くすべし、譬へば字書一紙の中に於て、其識得するの字僅なりといへども、其載籍に在りては大體讀むべきが如き者は、此れ文辭の語勢を知ればなり、此れ占は窮理を以て、柱礎とする所以なり、今左傳に於て之を言へば、畢萬(ひっぱん)と孔成子(こうせいし)と同じく屯の卦を得るといへども、其窮理異るが故に、占も亦異なり、又觀の否に之を得て、敬仲齊に往て、繁昌ならんことを占す、今庸人これを得て、敬仲と同からんや、南蒯(なんかい)坤の比に之を以て、大吉とすれども、子服惠伯却って凶とし、秦伯王を納んことを筮して、大有の睽に之を得て、大有の義を取て、睽の義を取らず、又蠱の卦を以て、我が軍の勝利なることを知るが如き、皆是れ窮理に由て占するなり、夫れ觀否は吉に非ずといへども、窮理に由て吉とし、坤の比に之、凶に非ずといへども、窮理に由て凶とし、睽蠱はそむきやぶるの義ありといへども、窮理に由て吉とす、知るべし、占に常義なく、卦に常象なく、吉凶に常轍なきことを、是故に窮理に由るに非ざれば、其象を采擇して、以て疑を決すること難し、凡そ窮理に六あり、事なり身なり位なり地なり時なり勢なり、事とは、其筮する事物を知るを云ふ、身とは、其人の賢愚品行を知るを云ふ、位とは、富貴貧賤及生理の務を知るを云ふ、地とは、其國の風俗又は政教の異るを云ふ、時とは、天時人時又は其人の老若を知るを云ふ、勢とは、其人の盛衰又は遇不遇を知るを云ふ、此六を統て窮理と云ふ、古昔は此窮理を詳にして筮し、且英才あつて占事に達せるが故に、能く将来の吉凶を謀りて、神に通ぜり、若し窮理を推さずして筮すれば、卦象を觀て、思慮百端すと雖ども、占に通じて疑を決する能はず、左傳に載する所、周史史蘇卜楚邱卜徒父晉史の如きは、其占皆神明の域に至れり、然れども皆窮理に由らずと云ふことなし、此れ窮理は、占の柱礎たることを知るべし、猶圓蓍筮法指南窮理の條に其大略を擧げ、且左國易一家言に詳説すれば、此條と互考して、筮占の要なることを察すべし、
運命学実践家・易者 武部泰莞
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