地下鉄の中で子猫を抱える男性
感染拡大が止まらない新型コロナウイルスの影響で、先行きに不安を感じ、自身のことで精一杯になっている人も多いだろう。 そんな中、SNSで伝えられたあるエピソードが、人々に心の安らぎと豊かさを与え、多くの共感を集めている。
膝の上に子猫を乗せて
米国ニューヨークで動物支援団体「ペットレスキュー・スクワッド」を運営するジリアン・ロジャースさんは、ある日ニューヨーク市内の地下鉄に乗って帰宅していた。しかしそこには、いつもとは違う光景があった。
向かいの席に座る1人の男性にふと目をやったところ、男性は膝にタオルで巻かれた何かを大事そうに抱えている。よく見るとタオルの中にいるのは、小さな子猫。男性はその子猫に哺乳瓶をくわえさせていたのだった。
日ごろから動物を保護し里親を探すなどの支援を行なうジリアンさんは、その男性の行動に目が釘付けになったという。声をかけずにはいられなくなったジリアンさんはおもむろに立ち上って男性に近づき、その子猫について尋ねた。
すると男性は、その子猫を偶然にも建物と建物の間の狭い場所で見つけ、温めてあげようと抱きかかえて餌をあげているのだという。そう答えた男性はその後も優しそうな眼差しで猫に哺乳瓶をくわえさせ、一方の猫は、男性を見上げ哺乳瓶を飲み、互いの間に穏やかな時が流れていた。
ジリアンさんは、男性の名前を聞こうか迷ったが、その愛おしい光景をただ眺め、彼にそっと「ありがとう」とだけ伝えて電車を降りた。
1万3000シェア!Facebookに感動の嵐
ジリアンさんは10月28日、男性と子猫の写真をFacebookに投稿したところ、1万3000人以上もの人々にシェアされ、「なんて美しい話!」「私の心も温かくなりました」などと感動するコメントが1000件以上も届いた。
中には海を越え、ドイツなど外国からのメッセージもある。 これほどまでに反応を貰えると思っていなかったジリアンさんは、この貴重な出会いが多くの人にも感動を与え共感されたと感じたという。『Dodo』のインタビューに、男性と猫の様子に胸が熱くなり、「大変思いやりのある人を見て、思いが溢れました」と語っている。また、「私たちは皆、私たちを元気づけるために何かが必要だと思います」とも。
今年、世界に広まった新型コロナウイルスの影響で、世界は大きな変革をみせた。
不安と悲しみに明け暮れるそんな時こそ、誰かにそっと手を差し伸べる人の温かさが身に染みるのではないだろうか。