3月3日
木村永遠
初めて高校の門をくぐった時は
中学校の汗と埃が一杯の
小っちゃくて窮屈な学生服を着ていた
桜が満面の笑みをこぼし始めた頃は
ひと回り大きなブレザーの
後ろの仕付け糸を
切って来ることも忘れる位緊張していた
高校に慣れた頃に行った合宿では
海の青青青に負けない位の大きな声で
「3年間がんばるぞ!」心一杯叫び続けた
修学旅行では
くじけた時に励ましてくれたあいつと
消灯後の真っ暗な部屋で
「一緒に卒業しよう!」
心を込めて誓ったっけ
最後の1年間は とっても熱くて
汗も涙も一杯一杯流した
体育祭では土と一緒になる位
一生懸命走ったり踊ったり笑い転げたり
涙がとめどなく流れたり
文化祭では準備が大変で
心が折れそうになったとき
やっぱり あいつの笑顔が励ましてくれた
「精一杯がんばるぞ!」星星星の煌めきに
やり遂げることを約束した
最初は緊張していたのに
いつのまにか出てしまった勝手さは
先生にいっつも思いっきり叱られた
ブレザーが小さくなるにつれて
ズルさも覚えたからか
叱られることが少なくなった
そして卒業
3年間の汗と涙で一杯の川を
僕たちは やっと渡る
僕たちは もう渡る
アルバムの寄せ書きを見る度に
あの顔 あの時 あの思い出を
懐かしむのだろう
ありがとう
友だち クラスメート 部活の仲間
ありがとう 家族 親 先生
ありがとう あいつ
お雛様の優しさに包まれて
僕は あいつと一緒に 卒業する
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