前回の修繕の記録「①」は実は VP-7721A の 3号機でした。

 
今日の日記は 歪み率の指示値が高く出る。
しかも、年々状態が悪化している1号機が対象です。初めてのの歪率計。
結論から書くと、
少しは歪率を改善する事ができましたが根本解決には至りませんでした。
(0.003%くらいあった歪み率が0.002%を切るくらいに改善!(30kHz LPF))
 
 
  ~ 以降、だらだら作業の記録です ~
 

根本問題は、残ってしまう歪み成分(2次高調波と3次高調波)です。

これが ANALYZER基板AとBのどちらかか両方?で 発生している様子なのです。

何故分かるのかというと、2号機から ANALYZER基板AとB を 1号機に移植すると

0.0005%前後の歪率を叩き出すからです(30kHz LPF)。

これは2号機でも同様です。2号機と3号機はほぼ一緒の挙動と値を指します。

1号機だけ 値がオカシイ。

ANALYZER基板AとBの取り外し方を備忘録として残しておきます↓

底面を開腹して ANALYZER基板Bのネジ6か所を外すと

「A」と「B」「 INPUT」の3階建ての ANALYZER基板がごそっと外れます。

ANALYZER基板Bからハンダ直付けの「緑」「黄」「赤」の3本は取り外しの邪魔になるので一旦切断して、私は延長しています。ちょっと不細工ですが継ぎ足し部のハンダ付けが見えてますね。 ※完全に基板を外したいときはハサミでちょっきん。 

 

さて、1kHzのとき 歪み成分は 2kHz と 3kHz でした。

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①これはいつもそうなのか?

②それとも 基本波に対して2倍と3倍の周波数が歪みとして出て来てしまうのか?

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確認してみました。

歪み成分を出力してくれる・・・

OUTPUT端子を VP-7721Aは装備しているのでその信号をオシロで観察します。

図:1kHz 歪み成分 (5ms/div)

 

図:10kHz 歪み成分 (5ms/div)

 

図:10kHz 歪み成分 (5ms/div)

 

答えは②の 『2次・3次の高調波が歪み』 でした。

同じ自蔵発振器(オシレーター)で、別のANALYZER基板ならこの高調波は見えませんので、この歪は発信器(オシレーター)の歪ではなくて ANALYZER基板のの不調によってもたらされている いわゆる『問題』です。

 

また、「周波数によって歪み率がほとんど変わらない」。 言い換えれば

「特定の周波数だけ悪いのではない」事から、いつも経路にあるコンデンサー

または 抵抗器 あるいは トランジスタ? などに問題がありそうです。

特定の周波数だけ悪い場合は、

リレーの劣化またはフィルムコンの容量変化が原因の事が多いらしく?

簡単に解決できそうなのですが・・・

周波数によらない全体的な問題の場合は 解決するのが難しそうです。

 

最初(2021年02月)は、

ひたすら電解コンデンサー交換・リレー交換を頑張って・・・・

結果、何の解決にもならず(笑)途方に暮れていましたが、

基板の入れ替え試行によって今年になってやっと

問題個所がANALYZER基板と分かりました。。

 

しかし 何処で 2次高調波 3次高調波 が 生まれているのか?

あちこち信号を覗いてみましたが そもそも 0.00x%オーダーの

とっても 小さい 歪み は オシロスコープでは見えません。

便利な歪出力やメーターは、その歪をオペアンプで 増幅して 見せています。

しかも・・・基本波除去の回路は大きくて しかもオーバーオールで

正帰還?がかかっていたり、かと思えば真ん中に帰還を入れていたり解析が困難でした。

というか私の能力で太刀打ちできませんでした。

そんな中、不思議な電圧を出力するオペアンプがありました。

なんと DC4.2V

入力は微小です。それなのに直流を出力している。

電源電圧は±5Vなので、Rail-to-Railでないオペアンプだとギリギリなんじゃないか?

もしかしたら歪み波形の少し頭の潰れた波形はこれのせい?

光明が見えた気がしました。

シングルオペアンプなんてMUSE03しか持ってないぞ・・・

でもな、オペアンプが壊れているのかもしれないしMUSE03と交換してみよう!!

図:LM318P +4.2V出力している状態での歪み成分

 

図:MUSE03 +4.2V出力なくなったけど、歪み成分大きくなった(^^;

 

U1(LM318P)を抜いて、オペアンプ無しならどうなるかな?

図:オペアンプ無し, MUSE03と変わらん!!

 

図:LM318のデータシートよりピンアサインLM318

 

図:LM318のデータシートよりsymbol

 

 

図:秋月電子通商さんのHPよりMUSE03のピンアサイン

 

オペアンプが無くても動いてしまう。信号がちゃんと出てくるのは・・・・

出力と入力が抵抗器で繋がっている(正帰還?)回路の特徴ですよね。

その昔、中華の真空管アンプで・・・

『真空管を抜いてもちゃんと音が出る!! → FAKEだ!!』

みたいな記事がよく目に留まりましたが・・・

回路によっては不思議ではなかったのかもしれません。

 

回路図をみる限りでは LM318 の BAL は 使われている形跡は見られなかった。

だからこそ MUSE03 と 差し替えをしてみたのだけれど・・・・

MUSE03では +4.2V のオフセットが出なかった & 歪み率は逆に悪化した。

そんな結果からみると、VP-7721Aでは LM138を単なる

シングルオペアンプとしてではなくて特別な仕事をさせていたのかもしれません。

(実物の回路を追う元気は残っていませんでした)

 

少し話は飛びます。下図のフォトカプラ。

 

図:ANALYZER基板AのRT1(発振器のRT1ではないよ)

 

図:ANALYZER基板AのRT2

 

経年で歪み率が劣化してくる場合、真っ先に疑われるのは発振基板のRT1です。

モリリカMCD527。電流に応じて抵抗値をリニアに変更する部品で、

かつてはエフェクターのコンプレッサー?などエフェクターによく使われたようです。

発光素子を用いる部品はどうしても経年で光量が減ってきますから。

LED照明も光ファイバー関係の素子もどれも、これも です。

 

今回、発振器(オシレータ)は無罪ですので ANALYZER基板の

モリリカMCD527を疑います。幸い、ここは可変抵抗器で

モリリカMCD527の差異を吸収できる造りになっていました。

モリリカMCD527はディスコンで甚だ入手難なので、ラッキー!!

RT1に関係するのが「REJ1」、RT2に関係するのが[REJ3」のようでした。

「REJ2」は±15Vのセンターを出すための調整で歪み率には影響しませんでした。

歪み率を観察しながら、歪み率が最低になる場所に調整してみました。

そうすると・・・ 0.003%ほどだった歪み率が、0.002%まで戻りました!!

完全解決とはなりませんでしたが、少し 改善できました。

 

作業は集中してやっていたので写真も動画はありません。

仕上がりをみているところだけ動画にしてみましたので紹介してみます。

この歪みが ANALYZER基板の何処で発生しているのか、見当つく人いませんか???

 

歪みはもともと小さい信号なので、

テスターでもオシロでも見つけられません(^^;

 

 

2023/10/03追記:

歪み成分をVP-7721Aがどんどん拡大して絞り込んでいく過程をみていて、

ふと、ゼロクロス歪みを思い出しました。ThomannのS-75MK2の標準で歪み率がふるわない原因でした。↓はS-75MK2@90kHz

ゼロクロス歪は文字通り、ゼロをクロスするときに歪みます。

信号の立ち上がりでも立ち下がりでも両方で。

歪み成分をVP-7721Aがどんどん拡大して絞り込んでいく過程は?

立ち上がりでは歪んでいません。

立ち下がりでのみ、歪んでいます。

ゼロクロスでは無いけれど上下トランジスタの非対称が原因でこんな事になるかな?ならないかな?

2023/10/03追加ここまで

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参考情報1 :JEMIMA 3-6-3 ひずみ率測定器 より 引用ここから

引用ここまで

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参考情報2 :カタログ( 山脇電子工業株式会社さんのHPより。「仕様書ダウンロード」へのリンクを開くとカタログが開きます。

 

 

 

 

 

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.参考情報3 :colorkonan16様のblogリンク (現時点で最強のVP-7720A修理blog)

 

VP-7721AとVP7720Aの違いは

フローティング入力できるか否かだけらしいので

colorkonan16様のblogはVP-7721Aユーザーにとっては非常に有難い。

colorkonan16様に感謝!!

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