このページの囲み線などは「のりんちゅ」さんの情報を参考に作成してみました。

   ↓↓↓

 

 

さて本日も? プロケーブルさんで有名な Thomann S-75MK2 の 音質を、ツーランク?アップする方法の御紹介です。もったいぶるつもりは無いのですが、Thomann S-150MK2で成功していた外部電源(超ローノイズ LT3439)です。これにより・・・Thomann S-75MK2は S-150MK2にかなりのリードを許してしまっていました。

 

S-150MK2にはある種の粗暴さあったのですが、外部電源の導入や各種テコ入れによって力強さとクラリティを伴った音質になってしまったからです。

水をあけられた S-75MK2も どうにか挽回したいな・・・と思っていたのです。

 

S-75MK2にS-150MK2の低域の量感や音の力強さがあれば!!

これぞ最強!!

満足するのはまだ先の事にしておいて、外部電源(超ローノイズ LT3439)を投入したS-75MK2の音質はそれは力強くてS-150MK2を彷彿とさせます。

 
 

 

<入力部の電源の外部供給化>
  1. 入力部(オペアンプ駆動用)の電源
  2. 入力部の電源の改造手順
  3. 最終フィッティング
  4. おまけ

 

1.入力部(オペアンプ駆動用)の電源

↓入力部の電源の全体像(黄色囲み)

↓正電源側の電圧を生成していたと思われたツェナーダイオード(OnSemi 831B)

↓負電源側の電圧を生成していたと思われたツェナーダイオード(OnSemi 831B)

↓回路図に起こしてみれば

115Vに昇圧するとファイナル段は正負36.5V、入力段には正負10.7Vが供給されていました。普通に100Vを供給したときの電圧は、灰色文字の括弧()内に示しました。100Vでは入力段のオペアンプへの供給電圧が正負8.4Vにまで落ち込んでいました。

 

最初、

ツェナーダイオード(18V)で電圧を生成していると思い込んでいましたが、実際は違いました。


オペアンプにかかる電圧を測定してみるとずっと低い電圧で、しかも非安定です。ツェナーの降伏電圧18Vには達しないのでツェナーダイオードは仕事をしていない。そのため、ノイズも発生させません。なんと、入力部であるオペアンプの供給電圧は単なる抵抗器による電圧ドロップだったのです。(ツェナーは、100V設定状態のアンプに間違って230V供給して過電圧がかかったときに、入力段に過電圧がかからないようにする保護目的で、使われているようです。オペアンプ、4558の絶対最大定格が±18Vです。)

 

ツェナーが電気を捨てていないので、発熱が少ないのですねぇ。S-150MK2では12Vのツェナーで12Vを作っていたので、抵抗の温度が150°を超えて基板が黒くなる程でした。

ツェナーが電気を捨てない、働いていないということは、2ケの2.2kΩ(総合1.1kΩ)に流れる電流はオペアンプ類が使っている電流と考える事ができて都合が良いです。超ローノイズ電源モジュールの出力電流で間に合うかのかどうかの確認のために、計算してみましょう。

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オームの法則 電流 = 電圧 ÷ 抵抗

 

電流=(36.5 - 10.7) ÷ 1100

  = 24mA    ※小数点第一位切り上げ

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超ローノイズ電源モジュールの出力が

定格80mA(100mA.max)であったので余裕(^ー^。

下記は 超ローノイズ電源モジュールの購入ページより転載

転載ここまで

 

 

2.入力部の電源の改造手順

ツェナーが全く仕事をしていない事で、改造は実に単純明快となりました。抵抗器を取り除いて、代わりに負荷側に正負12Vを投入すれば良いのです。

↓除去した抵抗です。これで入力部への電源供給は絶たれました。

↓除去した抵抗器の空き地はもったいないので電解コンデンサーを追加しておきましょう。ThomannのアンプにはMUSER-KZがベストマッチです。空き地が茶色に見えるのは、空き地にポリイミドテープを貼って絶縁したからです。念のための措置。

ツェナーは、過電圧かかったときにオペアンプを保護してもらう目的でそのまま残しています。オペアンプ、4558の絶対最大定格が±18V。

↓電解コンデンサーを取り付けても・・・殆んど見た目に変わりありません。

↓外部から電源供給できるように、電源配線を引き出します

油性マジックで「CH1」「CH2」と書いているところは、間違ってテレコになっています。

油性マジックで、かかる電圧をパターンに書いているので追試する人は参考にしてみて下さい。

↓ついでにPMLCAPなんかも投入しています

.

自分にとってPMLCAPは無味無臭なので気分的なものです。

 

3.最終フィッティング

この電源モジュールの取り付け穴は中央に1個だけなので加工も簡単。上図のモジュール固定穴。

秋月電子さんから購入していたペテットを採用します。

 

 

 

↓取付穴のすぐ横にはインダクターがありまして

ペテットの円筒部とぶつかるので、円筒部をカッターナイフで削ぎ落とす必要がありました↓
上下が平らになっています。というか平らにしました。
 

↓いきなり完成 (電圧計も追加したので少し配線がごちゃごちゃしています)プ駆動用)

 

 

↓外から見た感じです

完全にフリーハンドで加工したので傾いているし雑な仕上がりです。

 

後日、電圧計がノイジーなのか? あるいは電圧計が電気を食べ過ぎて(電源モジュールはmax.100mA定格80mA、電圧計は1個あたり10mA以下の消費電流)電源モジュールが悲鳴を上げたか? 左ch(CH1)スピーカーに耳を当てると僅かにピーという発振音が聞こえました。電圧計を外すと静かになります(汗)。仕方がないのだクリーンな正負12Vを測定するのはやめて、ダーティな入力5Vを測定するように配線を変更しました。使用している5VのACアダプターは2.3Aの容量があるので数十mA程度は平気です。電圧計は2個から1個へ減らしましま。クリーンな所に電圧計ぶち込むよりも、こちらの方が音も良い感じ。もともと、電源モジュールにはランプがなくて動いているのかどうか外見からは分からない。5V電源が投入されているか否かを確認するための手段としての電圧計だったので、最低限、光りさえすればオッケーなのでした。

 

この外部5Vは、

アンプのメインスイッチをONする前には必ず供給していなければなりません

後から5Vを供給するとスピーカーから ボン! っと、大きなポップノイズが出ます。

電源を切るときは アンプのメインスイッチを切ってから 5VをOFFです。

(プリアンプとパワーアンプの電源入り切りの作法と同じです)

 

↓省電力&ノイズフィルター電源基板から省電力回路のトランスとリレーを除去しました。基板裏でジャンパー飛ばして短絡させています。(リレーは残した方がよかったかも。SSRだとトランス唸 る? って音質劣化しました。)

 

↓装着してみた赤茶色のSSR(ソリッドステートリレー)

通常時は大丈夫ですが条件によっては スライダックやトランスが唸 るよう りますです。

ですので、SSRややめて元のリレーに戻して5VでリレーONする方が良いかも?。面倒なら直結。それに、SSRにはオン抵抗があって、若干ですが電圧がドロップ するようです します。更には音質も曇り、音質が2割ダウンする事が分かりました(私の感想です)。良い事が何もない。 うーん・・・ 見たまえ、沢山購入したSSRがゴミのようだ(笑)。

 

 

直結ではなくてリレーを装備するのは、5Vを先に供給し忘れてアンプ電源のメインスイッチを入れた場合に電源が入らないようにするためです。つまり、電源投入の順番を間違えても大丈夫なようにする対処です。忘れない自信があれば直結でOK。
5Vの供給を忘れていた場合はメインスイッチがOFFな事を確認してから、5V の供給 → メインスイッチON、この順番で操作します。
(プリアンプとパワーアンプの電源投入の順番と同じです。5Vがプリアンプ。)

 

ERPスイッチの穴はDCジャックの入力に、スピコンの穴は電圧計に流用しました。

↓スピコンは心許ないので無くてもいいでしょう。

 

 

4.おまけ

解体したついでに各所を写真で撮影していたので、それを掲載しておきます。

↓S-75MK2電源トランス

↓今回仕入れたS-75MK2の四桁の数値 「2208」前2桁が製造年、後ろ2桁が製造週らしいです。この個体の場合は2022年の2月13日~19日に製造された製品という事になります。

これは[製造年月]だという噂がありますが・・・それにしては早過ぎなので[出荷年月]なのかもしれません。

↓電源部に10μFのPMLCAPを装着するも・・・耐圧25Vだった事に気付き ボツ。このあと取り外してWimaに置換されました。

↓Wimaに交換後。銀色に光っているのは銀めっき銅線です。スピーカーの黒(GND)をバルクコンデンサーの足に直付けしています。こうすると、低音の量感が減って低音の解像度がぐぐっと増します。左右の共通インピーダンスが減ることでか?音像定位が極めて明快になります。これは気持ちいい(^ー^)Wimaの効果は分かりませんが、見た目はいいです。

↓交換前のR142(5.6kΩ)この後3.9kΩ か 4.3kΩに 交換します。

標準ではバイアス電流が少なすぎるので、アイドリング電流を増すと一気に歪み率が減少して、オーディオアンプのような上質の音に変化します。教えてくれた SUS日記さん に感謝です!!(^ー^。

↓交換前のR242(5.6kΩ)この後3.9kΩ か 4.3kΩに 交換します。

 

↓なんだか フロントパネルの一部が曲がっている。手前に出っ張り、膨らんでいる(レベルメーターのLEDの脚が長過ぎたようです)。

↓LEDの足の長さを短くしてみました。パネルの膨らみは注意して見ないと分からない程度に小さくなりました。

↓ボリューム(可変抵抗)は一般のものと違って? 外気が少しでも直接入り込まないように、半透明のカバーが装着されていました。これは初めて見ました。中央のLEDはレベルメーターです。

↓前面パネルの基板

↓メイン基板の1点アース(塗装で接触が妨害されている? この塗装に導通はありません。)

↓研磨後

↓研磨後の拡大

↓同様に省電力&ノイズフィルター部(4か所あるネジ留めのうち、省電力、ノイズフィルター部それぞれに1つずつケース導通が用意されています。しかし、ケース側は塗装があって電気的な接触が妨害されているように見えます。)

↓ここも研磨しておきます

↓省電力&ノイズフィルター基板(斜めから)

↓省電力&ノイズフィルター基板(メモ)

 

↓裏面の油性ペンで書いた電圧メモ

↓裏から光を当てて(左側)

↓裏から光を当てて(右側)

 

↓S-150MK2のツェナー(827B)12Vでした。 S-150MK2ではツェナーで正負12Vを作っていました。ツェナーが仕事をするとインピーダンスの低い電解コンデンサーでも除去が不可能なノイズを発生させます。

 

https://www.onsemi.com/pdf/datasheet/1sma5913bt3-d.pdf

 

↓S-150MK2の ドロップ抵抗? は、もの凄い発熱でした。 良い状況ではありません。 ※AC115V供給時で150℃オーバー

 

↓S-75MK2のツェナー(831B)18Vですが通常は仕事をしていません。印加電圧が18Vよりもかなり小さいので。

https://www.onsemi.com/pdf/datasheet/1sma5913bt3-d.pdf

 

 

 

 

おわりに

低音の充実や力強さを得た S-75MK2は 改造後の S-150MK2と張り合える頼もしい奴になりました。完全に、標準状態とは異なります。単純に性能が増しただけなので、この音を嫌う人は居ないとも言えます。アイドリング電流を50mA程度にアップする事でオーディオアンプに、入力部の電源を抵抗ドロップからLT3439超ローノイズ電源にする事でパワフルに、誰でも分かるツーランク上の音質が手に入ります

LT3439はDC-DCだからアナログ電源にしたらもっと音が良くなるかも???と思うのは誰しもですが、結果はS-150MK2では良くありませんでした。簡単なアナログ電源(LM317/LM337正負電源)では・・・期待に反して天井が低く抑圧されたような音質で、イマイチでした。ツェナーの方がマシかも? それでも1次側と2次側に大きめのオーディオコンデンサーを投入すると改善されました・・・が、電源が大きくなります。 

一般に低ノイズなだけの電源は音質が良くないらしいのですが、今回のLT3439は別物。丁寧に作ったアナログ電源すら超えて行く!? 聞かないと信じられないかもです。 下手なアナログ電源は20世紀の遺物。 

strawberry linuxさんは本当に良い電源を世に出してくれました!!

 

 

2022/08/18追記:S-150MK2のツェナーの回路 と S-75MK2 

追記ここまで