バランス接続のあるパワーアンプには大抵 GROUND LIFT スイッチがあります。
GND LIFT と書いてあるかもしれません。
通常、入力機器とパワーアンプのGNDは共通とする(接続する)のですが
それがアースループの発生が原因でノイズを招いてしまう場合のみ
LIFT側にスイッチを移動する感じのようです。
↓はTOA社のパワーアンプ P-60D の取扱説明書からの引用です。
図: https://www.toa-products.com/download/download/manual/p-60d_mt1j.pdf より
↓これは、バランス接続のピンアサイン(Thomann S-75mk2の取扱説明書)です。
※関係ないですがついでに・・・RCA→XLR変換ケーブルを使ってThomann S-75mk2と接続する際(つまり アンバランス接続)、その変換ケーブルのXLRコネクタ側1番ピン(GND)と3番ピン(コールド)は短絡(ショート)していないといけません。取説の通りです。ご使用の変換ケーブルを確認された事がない人は確認した方がよいかもしれません。短絡(ショート)しないからといって音が出ない訳ではありませんが、SN的に不利です。
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さて、GROUND LIFT これが家庭での使用時に何か関係あるのか?
ある場合としない場合をみてみます。
オーディオ機器の場合は、
AC電源の入力は3Pインレットになっていますが・・・・
実際のところ2Pになっているものが沢山あります。
marantz PM-10
marantz SA-10S1
SONY TA-A1ES
SONY HAP-Z1ES
ここまで全て、実際には2Pのインレットのご紹介でした。(前述の関係ない場合に相当)
3Pインレットなのだけど、内部では実は使っていない場合もあります。
真空管アンプが大抵そうですかねぇ。。。
図:サンバレーの真空管キット JB-300B Ver.3の回路図より抜粋 (3Pのアース端子はオープン)
日本メーカーの場合、
「オーディオ機器に感電防止の保安アースの接続は不要」
というポリシーがあるような気がします。逆にノイズを拾うから???分かりません。
Accuphaseは例外で、感電防止のアースを接続推奨です。※音質向上の為とは書いていない
で、
やっと Thomann S-75mk2 に帰ってくる (前述の関係ある場合)に話が戻ってきます。
業務機の3Pインレットのアース端子は強固に、その筐体(ケース)に接続されている事が常です。
図:ベンリンガー CX3400 より (ケース底面にネジ留め)
図:Thomann S-75mk2より (ケース底面にネジ留め,ここから更に、前面フロンパネル専用アースへ線が伸びている)
回りくどいのはやめて、結論から。
●GROUND LIFT スイッチが「GORUND側」 のとき、
3PインレットのGNDと、スピーカー端子のGNDとの抵抗値は約0.1Ωでした。
●GROUND LIFT スイッチが「LIFT側」 のとき、
3PインレットのGNDと、スピーカー端子のGNDとの抵抗値は約10.1kΩでした。
※グラウンド・リフトスイッチの位置によらず、
アンプの入力端子のGNDと、スピーカーのGND端子間は常に導通(0Ω)でした。
(入力端子3番ピン(cold)と1番ピン(gnd)をショートの状態で)
以上のことから、
GROUND LIFT スイッチは、感電防止の保安アース(大地アース)と
アンプ内部回路のGNDを接続するかしないかのスイッチでもあった訳ですね。たぶん。
そう考えると、AC電源の3PインレットのGROUNDを使わない日本メーカー製品は
大地アースを回路に接続しないことを意図しているようにも思えます。
一般的な考え方だと、グラウンド・リフトするかしないかというのは、
XLR端子のうち1番ピン(GND)を接続するか浮かすかの違いだろう・・・・
という認識で居たのですが・・・今回の結果は何だかちょっと
モヤモヤが残る気がします。そういうもんだと思って追求はしませんが・・・・