前回の長期保管したリレーやばい!!の続編です。

今日は、

長期保管して接点不良を起こしたリレーに電流を流して叩き起こしてみます。

 

 

その前に、パワーリレーを微少信号で使っていると何がおきる?

OMRONの情報を最初にご紹介。https://www.fa.omron.co.jp/guide/faq/detail/faq04907.html より

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リレー 微小負荷開閉時の酸化皮膜による接触不良

FAQ番号:FAQ04907

 

回答

■故障状況
開閉を繰り返すうちに酸化皮膜が生成され、主に微小電流開閉時に接触不良となります。

■対策
金メッキまたは金クラッド接点の使用をご検討ください。
金は比較的酸化しにくく、銀接点と比較すると、微小電流開閉時には信頼性が向上します。


■補足説明
開閉を繰り返していると、磨耗すると同時に接点ば酸化し、酸化皮膜が生成されます。

通常、ある程度の電流、電圧(目安として48V以上 100mA以上)が印加されると、アークによる

接点のクリーニング作用で酸化被膜が破壊されるため、接触性にはあまり大きな影響は及ぼしません。

しかし、微小電流開閉時は、接点の清潔さが重要なこととなります。
不導電物質の付着や不導電皮膜が主な接触不良の原因となります。
一般的に使用される銀接点は容易に酸化してしまいます。

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次に、Panasonic ALA2Fシリーズの3Aタイプの仕様を見てみます。

 

最小運用負荷がポイントです。

今度は Panaonicのサイト https://ac-faq.industrial.panasonic.com/jp/faq_detail.html?id=5836 から

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メカリレー:接点定格の最小適用負荷が参考値としてありますが、この意味と注意すべき事は何でしょうか。

ID:
5836
公開:
2014年06月16日
更新:
2019年04月23日

メカリレー:接点定格の最小適用負荷が参考値としてありますが、この意味と注意すべき事は何でしょうか。

回答

1.最小適用負荷を表示している背景について。
   接点表面に、大気雰囲気により酸化皮膜や硫化皮膜等が生成される事があります。
   負荷の電流や電圧が低いと皮膜を破壊する事が出来ません。
   接触不良となる可能性がありますので、最小適用負荷を参考値として記載しております。

2.Ag(銀)とAu(金)の効果について。
   接点表面がAg合金であると皮膜が生成されやすいので、微小負荷の使用に適しません。
   接点表面に、耐食性に最も優れたAuがある事により、
   微小負荷に対しても接触安定性を得る事ができます。

3.最小適用負荷(以下)で使用した時におきる不具合の可能性について。
   接触不良となる可能性がありますので、安定した接点の通電性能を得る事が出来ません。
   最小適用負荷は、そのリレーが開閉可能な下限の目安となる値で保証値ではありません。
   この値は開閉頻度、環境条件、要求される接触抵抗の変化、絶対値により
   信頼性水準が異なりますので、最小適用負荷付近(以下)では実機によるご確認をお願い致します。

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なるほど。

皮膜ができても最小運用負荷を守れば

アークによる接点のクリーニング作用を期待できるのか~♪

 

拙宅にはまだ、

長期保管の接点不良リレー在庫が残っていました。

さきほどの Panasonic ALA2F24 です。今日はこいつの・・・・

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①.接点不良度合い

②.5V/0.5A電流を接点でON/OFFさせて

  アークによる接点のクリーニング作用

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を確認してみます。動画にしました。

 

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・接点不良を起こしているので測定はテスターで十分です。

・動画左側からリレーコイルに対してDC24Vを供給しています。DCプラグの抜き差しは手動。

 ※動画の電解コンデンサーの耐圧=16Vで完全にオーバーしてます

・リレーの接点(主に下側の極の接点抵抗をテスターで確認しています)

・ICクリップの接続具合が結果に影響しないように動画中では

 取り付けたり外したりして何度か確認しています。

00分00秒 ~ 02分45秒 まで

 ひたすら、接点不良を起こした長期保管リレーの

 接点抵抗を測定しています。

 ICクリップを付けたり外したり、リレーをつついたり机に落としてみたり

 外乱による影響を確かめながら・・・・です。

 <考察>

 ・数kΩ~数百Ωの接点抵抗があります。

 ・接点をONにしたタイミングによって値は毎回異なります。

 ・接点をONにしているあいだは、抵抗値が下がる傾向があります。

 

03分00秒 ~ 06分00秒 まで

 0.5Aを接点でON/OFFさせてクリーニング作用を働かせます

 2極あるうちの下側の極です。

 <考察>

 ・クリーニング作用のせいでしょうか?

  接点抵抗が2Ω程度まで改善しました。

 

 08分50秒 ~ 最後 まで

 2極あるうちの上側の極にICクリップを接続します。

 クリーニング作用を働かせなかった方の極ですね。

 こちらは80Ω以上でした

 電流を流さなくてもカチカチやっているうちに多少は接点抵抗が復活するようです。

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以上のことから、

パワーリレーはある程度の電流をON/OFFさせないで放置あるいは運用すると

接点抵抗が高抵抗を示すようになる可能性があるようです。

OMRONの技術解説 ( https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/36/288/ ) によると・・・

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また、接触抵抗の値はカタログなどに記載していますが、こ
れらの値は、標準的な試験方法で規定した初期値にすぎませ
ん。実際は、それぞれ装置に合った接触抵抗が必要になりま
す。一般には、負荷インピーダンスについてのどの程度まで
許せるかということになりますが、
音声電流の伝達のように
歪み、減衰が問題になるような特殊な場合
を除けば、接触抵
抗の値は負荷インピーダンスの1~5%までは許容できるよ
うです。

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赤文字にした部分から、

OMRONはオーディオ用も意識していることが伺えます。

でも 「特殊な場合」 という扱いなのですね。

確かに金貼りのリレー G2R-2-AUL の仕様は非公開です。

 

 

 

 

2020/04/29追記:

Accuphase E-650 の特徴より引用 ここから

高音質/長期安定性に優れた、信号切り替え方式
切り替えが必要な、その場所にリレーを設置し、最短でストレートな信号経路を構成しました。使用するリレーには通信工業用の密閉型リレーを採用し、その接点は金貼り・クロスバーツイン方式で、低接点抵抗・高耐久性の極めて信頼性の高いものです。

Accuphase E-650 の特徴より引用 ここまで

 

↓の写真はアキュフェーズのフラッグシップ C-3850 の AAVAアッセンブリーのうちの1枚です。

 ここには OMRON の 「G6S-2」リレーが採用されています。

 G6S-2での最小運用負荷に相当するであろう「最小適用負荷」は、

 故障率がP水準(参考値)を満たす目安として「DC 10mV 10μA」がデータシートに記載されています。

https://www.accuphase.co.jp/cat/c-3850.pdf

 

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2020/04/29追記ここまで