2020年10月31日、抵抗器のハンダ付け動画を追加

2020年10月08日のニュースを追記

前回の開腹に続いて、

プロケーブルで一躍有名になったパワーアンプ。

Thomann S-75MK2のネタです。

錆びていたスピーカーターミナルは結局、

導通部に影響なしと判断して

錆を取って錆止め剤みたいなケミカルを塗り込み、使い続ける事にしました。

(CAIG G5S-6 DeoxIT GOLD 5oz 接点復活剤)

 

 

この記事はThomann S-75Mk2のアイドリング電流をアップする内容に繋がっていきますが、

私は電気を習ったことがない素人ですので、とんでもない事をしているかもしれません。

真似されて何かあっても私は何の責任も持てませんでご注意下さい。

 

さて、せっかく沢山のネジを外して分解したので、

そのまま蓋を閉じるのは勿体ない。何かできないか考えました。

Thomann S-75MK2は普通に使っていてもちっとも暖かくなりません。いつも冷たい。

Parasoundのパワーアンプは100Vの使用時はぬるめのお風呂の温度、

120Vでの使用時には熱めのお風呂の温度まで天板温度が上昇しますし

熱が出てきます。それがThomann S-75MK2にはありません。

 

そんな訳でThomann S-75MK2の回路図を探してみましたが、ありませんでした。

仕方がないので写真を眺めてみます。裏から光を当てる透けて見えてパターンが綺麗です。

普通の写真

↓光を当てた写真

普通の写真

↓光を当てた写真

 

エミッタ抵抗

エミッタ抵抗の両端を測定すれば、アイドリング電流が分かるはず。

やってみました。

 

ステップアップトランスで昇圧した

120Vオペーション時 (0.5mV ÷ 0.25Ω = 2mA

 

ステップアップトランスを使わないでコンセントから給電した

102Vオペーション時 (0.4mV ÷ 0.25Ω = 1.6mA

なるほど・・・・

どーりで冷たいわけです。そして 100Vで使っても120Vで使っても

たいして音質が変化しない。割合的にはアイドリング電流は100Vと120Vとで

2割も違うのですが絶対値が小さい気がします。

 

なんとかアイドリング電流を弄れないものかとネットを検索してみると

ヤフー時代からS-75MK2をつかって遊ばれていた方が引き続きトランスタ交換までして遊ばれていました。

その面白い情報のなかからバイアス回路のヒントを頂けました。

Thomann S-75MK2のバイアスはオーソドックスなこんなの↓

図:[定本]トランジスタ回路の設計 鈴木雅臣 著 (現:Accuphase代表取締役社長) より一部引用

2020年10月08日のニュース:鈴木雅臣氏が代表取締役社長に就任

 

アイドリング電流調整の可変抵抗は既になんとMAX位置で・・・・

これ以上アイドリング電流を増やす事ができませんでした。調整不可能。

そこで固定抵抗の方を小さくします。

つまりトランジスタのベースにかかる電圧を小さくする。

CH1で該当するのはR1425.6kΩ

2.8kΩにしてみると、一気にエミッタ抵抗間の電圧が

可変抵抗を絞り切っても120mVで、最大にすると220mVを超えていきます。

アイドリング電流1Aはちょっと怖すぎる。

2.8kΩ、これは無理。

 

ここで、

目標のアイドリング電流をここで50mAと定めます。

これがこの薄型アンプの放熱を考慮にいれてほぼ最適な値と思われました。

普通に使っていて、アンプ底面(ヒートシンクが密着)がお風呂の温度程度になります。

可変抵抗で50mAを無理なく狙うには 5.6kΩの所を

4.7kΩにすればよい事がカット&トライで分かりました。

※写真は交換後,本当は1サイズ容量の大きい抵抗にしたかったのですが在庫なしで1608サイズの0.1Wを使用。

エミッタ抵抗間が12.5mVになるように可変抵抗を調整します。

(調整可能な範囲はだいたい5~20mVでした)

(12.5mV ÷ 0.25Ω = 50mA) 

※電源投入から温もっていくとアイドリング電流も上昇するので5分ほど放置して調整。

 蓋を閉じて通電すると更に温度上昇してアイドリング電流も上昇するので蓋を閉じての通電1時間後に再調整。

 

同様に反対側のCH2も作業していきます。

CH2で該当する抵抗はR242です。

R242交換前↓

R242変更後↓

可変抵抗でエミッタ抵抗間電圧を12.5mVに調整。

(12.5mV ÷ 0.25Ω = 50mA) 

※電源投入から温もっていくとアイドリング電流も上昇するので5分ほど放置して調整。

 蓋を閉じて通電すると更に温度上昇してアイドリング電流も上昇するので蓋を閉じての通電1時間後に再調整。

 

蓋を閉じました。

Thomann S-75MK2のヒートシンクは上↑の写真のように、

底面のから上面に空気が抜けるように設計されています。

 

ケース底面とヒートシンクはネジで密着固定されています。

ケースの上面、蓋はヒートシンクとは密着しておらず3mmほどの隙間があります。

ここを非接着型の熱伝導シートで密着するようにすると更に放熱が良くなりそうです。

図: https://www.tglobalcorp.com/jp/tg2030-ultra-soft-thermal-conductive-pad より

高熱伝導シリコンシートははんぺんみたいに柔らかく、

色々な厚みが選択可能です(0.5㎜/1.0㎜/2.0㎜/3.0 ㎜/4.0㎜/5.0 ㎜)。

Amazonでも販売されているので、隙間を埋めて放熱したい場合に便利です。

 

 

さて、

アイドリング電流50mAにアップしたアンプの音質は、イイです。

若返ったようなフレッシュな音に近くなりました。

そしてアンプの天板は少しだけ暖かい程度(底面はお風呂と同じくらいの温度)。

 

 

今回は手持ちの抵抗が0.1Wしかなかったので抵抗サイズが既設より小さくなってしまいました。これは要交換だろうと思います。(2020/04/20確認:4.7kΩの両端電位は0.55Vでしたので消費電力は0.064mWに過ぎず問題なさそうでした)

もし真似しようとされる方がいましたら、あくまでも自己責任でどうぞ。

私は何の責任ももてません。

 

2020/10/31追記:

上記は古いS-75mk2だったので4.7kΩでしたが、

第4世代で 50mA のアイドリング電流を得るは、5.6kΩのチップ抵抗を4.7kΩではなくて

3.9kΩにする必要があります。第4世代より前は対になる抵抗が12kΩだったのですが

第4世代では4.3kΩになっているからです。

 

チップ抵抗の変更作業ですが、表面実装部品のハンダ付けに不安のある人がいます。

そこで、普通のラジアルリードの抵抗器を付与する方法も提案してみます。

5.6kΩのチップ抵抗に、13kΩを並列に接続すれば、約3.9kΩになります。

さっそくやってみました。

 

んーー。やってみると、チップ抵抗の方が作業が確実で簡単な気がします。

2020/10/31追記ここまで

 

 

あ、そうそう。窓際システムのDALI Zensor1は引退して

Opticon1になっていたのでタイムアライメントを測定してみました。

OmnimicV2による測定です。なかなか優秀(^^

 

 

 

 

アイドリング電流の増量の効果↓

https://ameblo.jp/nightwish-daisuki/entry-12632214886.html

 

 

 

 

図:再び [定本]トランジスタ回路の設計 鈴木雅臣 著 (現:Accuphase代表取締役社長) より一部引用
  黄色で番号を追記。ただし、これは想像です。事実とは限りません。

 

 

 

 

 

図:第4世代 の R142の変更。  5.6k → 3.9k これで、 VR絞って約50mA。

  電流が大き過ぎる場合は4.3kΩを使用するとVR上げて約50mAの調整範囲になります。

 

図:第4世代 の R242の変更。  5.6k → 3.9k これで、 VR絞って約50mA。

  電流が大き過ぎる場合は4.3kΩを使用するとVR上げて約50mAの調整範囲になります。