突入電流対策のメモです。

 

一般に自作ユーザーとしては、電源投入時に抵抗で受けておいて

一定時間経ってからこの抵抗をリレーでバイパスする方法を採る事があります。

私もそうでしたが一つ不安がありました。

理屈上、リレーが故障した場合は、その抵抗が発熱するはずなのですね。

記憶が曖昧ですがその程度を知るためにリレーをONさせないでおきましたが、

音楽を普通に聴く程度では抵抗の発熱は素手で触れる程度で

問題なかったような記憶があります。※LM3886アンプにて

しかしA級アンプではそうもいかないでしょう。

図:取り付け金具付きの便利なセメント抵抗

リレーが壊れないで正常に動作しておれば、

抵抗に電流が流れるのは電源投入後の数秒だけ。それ以外は電流が流れないので

巨大な100W型のセメント抵抗などを突入電流対策に投入するのは無駄になります。

しかしA級アンプでもリレーの故障を考慮したいとなると・・・・。

 

そこでTDKの情報に頼ります。

 

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PTCサーミスタ

https://product.tdk.com/info/ja/products/protection/current/ptc-limiter/technote/apn-ptc-thermistor.html

 

図1 スイッチング電源における突入電流制限(PTC)(TDKのページより引用)

 

PTCサーミスタを使用すると、抵抗を使用した構成の弱点(リレーが故障したときの発熱)を克服できます。

TDKのページより一部引用 ここから

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電源スイッチが閉じられて充電プロセスが開始されると、充電されていないコンデンサは短絡のようであり、したがって非常に高い突入電流を呼び込みます。このとき、サイリスタは高オーム状態(または、メカニカルリレーがオープン状態)であるため、平滑コンデンサに直列に接続されたPTCは、突入電流(コンデンサの充電電流)を望ましい低レベルに制限します。コンデンサが充電されると、サイリスタはPTCを短絡し、電気的負荷が印加されます。
場合によっては、サイリスタ(またはメカニカルリレー)が誤動作する可能性があり、PTCが短絡しないことがあります。この場合、回路に負荷がかかり、高い動作電流がPTCを加熱します。すると、PTCは高オーム状態に入り、誤動作電流を危険ではない低レベルに減少させます。PTCサーミスタは、損傷を受けることなく、そのような負荷に耐えることができます。
過去に一般的であったように、固定抵抗を突入電流制限に使用すると、高い動作電流によって抵抗が過熱され、抵抗器の破壊や火災の発生を招く可能性があります。

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引用ここまで

 

負荷が大きいとリレーが故障して抵抗をバイパスできない時、抵抗の過熱を招くという訳ですね。

PTCならその場合高Ωとなって電流を制限するので大丈夫。賢い

 

最近、

OMRONのタイマーリレーを検索すると最近はカッチン!と音の出る

旧来のモデルはどんどんディスコンになっていて無接点リレーになっている様子でした。

プリウスじゃあないけれど、音は出てほしいな・・・、

https://www.fa.omron.co.jp/products/family/196/itemlist/

 

 

NTCサーミスタ

簡易的な突入電流対策では、前述のPTCではなくNTCが使われるようです。

https://product.tdk.com/info/ja/products/protection/current/ntc-limiter/technote/apn-ntc-limiter.html

TDKのページより一部引用 ここから
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電子機器の電源として、小型・軽量・高効率の各種スイッチング電源(SMPS)が多用されています。SMPSでは、電源ON時に、平滑コンデンサを充電するために、高いピークをもつ突入電流が流れます。この突入電流はコンデンサの寿命への悪影響、電源スイッチの接点の損傷、整流ダイオードの破壊などを起こすおそれがあり、何らかの対策が必要になります。

下図に示すように、SMPSの突入電流をNTCサーミスタの挿入で制限する方法は、電源機器における低コストかつ簡便な突入電流防止回路として広く採用されています。NTCサーミスタの接続位置は、整流回路の後段でも同じ効果が得られます。
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引用ここまで

図1 スイッチング電源における突入電流制限(NTC)(TDKのページより引用)

PTCと比較して特性が逆なのでサイリスタ(リレー)を省略でき、低コスト。

NTCは、

大喰らいのA級アンプでなければ十分にアリな方式だと思います。

図:某メーカーのNTC採用例(トランス一次側)

 

多くの突入電流対策の回路の例はコンデンサーの手前に配置されていますが、

正負電源の場合には回路が正側と負側の2個必要になって面倒です。

上記の某メーカーのように電源トランス一次側に配置するのが良さそうです。

一次側で制限しておれば、二次側も自ずと制限されるでしょうから。

「PTC+リレー」の構成ならリレーをONする時間を自由に設定できるのでセッティングは簡単ですが、

NTCの場合は使用個数や定格なんかを計算して選定するのが面倒です。

おすすめは「PTC+リレー」ですかね?たぶん。

 

自分はA級アンプを作らないので・・・↓これでもいいかな・・・・

 

 

 

参考:

●アンプ修理工房さん「突入電流」

http://amp8.com/etc/amp-inho/rush-i.htm

※アンプ修理での実例です

●お気楽オーディオキット資料館さん「整流回路の突入電流を解析してみよう! 2018.1210」

http://www.easyaudiokit.com/bekkan3/PeakCurrent/PeakCurrent.html

※私の原典です

●われこわれこさん「【ワレコ電子工作】LM3886で4chパワーアンプ自作【突入電流防止回路】(3)」

https://www.wareko.jp/blog/lm3886-4ch-power-amplifier-self-made-with-inrush-current-prevention-circuit

※トランス一次側に突入電流対策を施した場合のシミュレーションです

●new_western_elecさん「トランスの突入電流」

https://nw-electric.way-nifty.com/blog/2013/03/post-6586.html

※トランスの突入は2次側に何もぶら下がっていない状態でも流れますので大きなトロイダルの場合は注意が必要です。