直流の電圧は説明するまでもない事ですが、
交流やノイズの電圧については理解している人は極一部だけ。
今日取り上げるのは「Vp-p」と「Vrms」の違いです。
ちなみにコンセントの100Vはrmsの方です。
注:私は学校で電気を習った事がないド素人です。
間違い勘違いの可能性を、考慮下さいますようお願いします。
コンセントの話を少し具体的に説明してみます。
コンセントはご存知の通り交流ですから電圧は常に変化し続け、
一定である事はありません。周期的に電流の向きが変わるので
その境界では0Vですらあります。※ゼロクロス
その常に変化する電圧を、どうやって100Vという固定値で表現するのか?
それを理解している人が極一部という訳です。
さて「これが、交流100Vの波形ですが、どこからどこまでが100Vですか?」
図:現場を支えるネットストアMonotaroのホームページ「3.テスターの基礎講座:3-4家庭用電源の電圧測定」より
驚いた事に、
その名を天下に知られる大メーカーでさえ、その100Vを
「最大値」や「ピーク・ピーク値」の場所だと回答する人が
全体の2/3程度だったというのです。
※イラストでよむノイズと交流電源のはなし 伊藤健一[著] 8頁より
大メーカーですらそうなので、
そこらへんを歩いている一般人を不作為に捕まえて
この問題をぶつけても正答は返ってこないだろうというのが
極一部の意味でした。
もったいぶりましたが、正弦波でありますコンセントの場合・・・
100VrmsをVp-pで表せば 282V にもなります。
Vrmsは、波形の山を削りその砕土で谷を埋めて平らにならす。
そうやって直流と同じ電圧で表現できるようにした便利なものです。
「直流に換算したらこれくらいだ」という訳です。
勘の良い人は気付いたと思いますが、Vp-pに比べVrmsは値が小さく出ます。
特にノイズの場合は。
下図は、とあるモバイルバッテリーに510Ωの負荷をかけた際の観測です。20mV/div。
図: 5V電源の観測 (画面右下に Vpp=112mV と表示)
うまく説明できませんが、
これほどのノイズでも rms で表記したならば 低ノイズ に化けてしまいます。
具体的には上の図のスパイクノイズは Vrms=10mV程度になってしまうでしょう。
Vp-p=112mVと比較すると、実に1/10以下です。
Vp-pは電圧波形のピークからピークまで、
Vrmsは波形の描く面積を、直流と同じように四角形に均した場合の電圧。
スパイクノイズは大した面積を持っていません。
スパイクノイズには正弦波のような電力、パワーがありません。
電子ライターの火花はピーク値で電圧が数千ボルトか・・・あるいは数万ボルト。
しかし電流は僅かで、電流が流れる時間も一瞬なので電力、パワーは僅か。
人体にも影響がありません。ピークは大きくても rms は小さいのです。
だからといってピークの電圧を無視してしまってよいものか?
無視されている・・・というのが現実かもしれません。
ノイズ波形は正弦波ではありませんが、ノイズの指標に rms が使われる事が多いからです。
図:秋月電子通商より超ローノイズLDOのスペックを引用
図:アナログ・デバイセズより超低ノイズリニアレギュレータLT3045のスペックを引用
繰り返しますが、rms は積分で波形の面積を評価するようなものなので
スパイクノイズなど面積の小さいノイズは無視されてしまいがちです。
正弦波ではないもの・・・例えばノイズに rms を適用すると、
実態とはかけ離れた低ノイズを指してしまう恐れがあります。
それが狙いなら話は別なのですが・・・。
可能な事ならノイズの評価に代表例でもいいので Vp-p の併記のある
レギュレーター製品が信頼できそうです。話は飛びますが、
そうして・・・手にいれました、Vp-p表示のLine EMI Meterです。
ヤフーブログ時代に、
ヤフーブログ界隈で見かけた Made in Chinaの製品と似ていますが微妙に違います。
アメリカはソルトレイクシティから送られてきました。
プリントにはMade in USA。
家庭にありますテスターのACレンジは rms です。正弦波専用。
電源ノイズを評価するなら Vp-p だけでは駄目。Vrms だけでも駄目。
そんな簡単なものではありません。
負荷は一定なのか?それともパルスなのか?etc
Line EMI Meter は数多くある評価のファクターのうちの
ただ一つを与えてくれるに過ぎません。
というわけで遠回りしましたが・・・・、
基礎の基礎なのに、
大メーカーにお勤めの方々でも半数以上が間違える
電圧のお話でした。