ユノヒョンと別れ、自室へと入るとジェジュヒョンがまだ起きていた。
「ユチョン・・・・その・・・大丈夫だったか?・・・・ユノ、キレると怖いから・・・さ。」
「あ、うん。大丈夫。・・・俺、泣いちゃったけど。」
「え?」
「ジェジュヒョン。今まで、付き合ってくれてありがとう。俺、これからはちゃんとするから。」
ちゃんと、ジェジュヒョンの目を見据えて、笑ってみせた。
「そう・・・わかった。」
これだけで、ジェジュヒョンは俺を理解して微笑んでくれた。
「あの、ジェジュヒョンは・・・・大丈夫?」
先程の、傷ついたヒョンの表情が頭を過ぎる。
「え?何が?」
「あ、ううん。なんでもない・・・・・俺、もう寝るよ。おやすみなさい。」
「うん。おやすみ。」
電気を消して、ベッドに潜り込んだ。
ジェジュヒョン・・・・ごめん。
俺、ヒョンのユノヒョンへの気持ち、・・・・素直に応援できなくなっちゃった・・・かも。
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あんな事があったにも関わらず、珍しく、朝早く目が覚めてしまった。
外は快晴、睡眠時間が少なくても、清々しい気分。リスタートするには最高の朝だ。
隣のベッドを見ると、もうジェジュヒョンはいなかった。
もう起きてるんだ。早いなぁ・・・
自室から出て、リビングへのドアを開けようとして、止まった。
リビングから声が聞こえたのだ・・・
この声は、ジェジュヒョンと・・・・・ユノ・・・ヒョン?
俺は、いけないと思いつつもドアを少し開け二人を盗み見た・・・
「ジェジュン・・・悪かったって、昨日のことは謝るから・・・な?機嫌直せよ~。」
キッチンとリビングのテーブルを朝食の準備で行ったり来たりするジェジュヒョン。
そして、その後ろを着いて回るユノヒョン・・・
・・・・・なんなんだ、これは・・・・
あんな情けない顔のユノヒョン初めて見た。
「おい。ジェジュン!俺の話を聞けって!!」
「うるさいなぁ。聞こえてるよ。」
「聞こえてるんなら無視すんなよぉ。」
向き合い見つめ合う二人・・・
「俺、傷ついた。」
「うん。悪かった。お前がユチョンの為にやってたことは分かってたから・・・」
「俺、傷ついた!」
「だから~悪かったって!どうしたら許してくれる?」
「ん。」
ユノヒョンに向かい両手を広げるジェジュヒョン。
「ハイハイ。」
当然の流れのように抱きしめるユノヒョン。
「ユノ。ポポ。」
「何だよ。甘えただな。」
「うっさいの!早く!!」
「ん。」
抱きしめたまま、おデコに、頬にキスを落としていく・・・目を閉じてそれを受け止めるジェジュヒョン。
「はい。おしまい!」
抱き締めていた腕を離し、ジェジュヒョンの頭をぐしゃぐしゃにするユノヒョン。
「どぅわ!!バカ!ユノ!!やめろ~!!」
・・・・・二人って・・・まだ付き合ってないよな?なんだ・・・これ・・・
俺は混乱して呆然と二人を見つめていた。でも、俺は見てしまった。
「さ~て、コーヒーでも飲もうかなぁ。」
そう言って、キッチンに入っていくユノヒョンの後ろ姿を切なそうに見つめるジェジュヒョンを・・・
そうか、まだ、ジェジュヒョンの片思いなんだと、俺は確信した。
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「あれ~ユチョン。何してんの?こんなところで」
リビングのドアの前でで突っ立っていたところに、起きてきたジュンスに声を掛けられ我に帰った。
チャンミンも起きてきて、5人揃ってテーブルにつく。
宿舎での生活になり、「食事は5人揃ってから!」というユノヒョンの意見で5人顔を並べての朝食。昨日の事もあってか、少しだけ気まずい空気が漂う・・・
みんな黙々とご飯を食べる中、俺とユノヒョンの顔を交互に見つめるジュンスとチャンミン。
ユノヒョンは気にしてないようだったが、俺は、その視線に居た堪れなくなって口を開いた。
「あの・・・今日、レッスン終わってからみんなに聞いて欲しいことがあるんだ・・・いいかな?」
ホント言うと、自分がもう少しちゃんと出来るようになってから言いたかったんだけど・・・
「う、うん・・・分かった・・・」
ジュンスとチャンミンは怪訝な顔
ふと視線を感じて顔を上げると、ユノヒョンが心配そうな顔で俺を見ていた。
俺はその視線に笑顔で返し、「大丈夫」と心の中で呟いた。
そのやりとりをジェジュヒョンが見ていたのにも気付かなかった・・・
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「ほら!ユチョン!!またテンポがズレてる!!ちゃんと、曲のリズムに合わせなさい!!」
「ハイ!!」
レッスン室に先生の怒号が飛ぶ。
俺はダンスが苦手だった。だって、ここに来るまでやったことがなくて、(だって、歌だけ歌ってればいいと思ってたし)ましてや練習生になってまだ2ヶ月。できなくて当たり前なのだ。
「ユチョン!!また振り間違えてる!もう一回!!」
「ハイ!!」
昨日までの俺だったら、こんな状況にすぐ嫌気がさしてサボってしまっていたのだが、今日は何度怒られても諦めずに練習に取り組んだ。
そんな俺の変わりようにジュンスは戸惑い、一緒になって振りを間違えたりしていた。
チャンミンも最初こそ驚いていたようだったが、彼もダンスが苦手。やる気を出した俺に負けてられないと俺に競うように練習に取り組んでいた。
「一旦、休憩取りましょう!」
練習のキツさにみんな脱力。でも、俺は水を飲むジュンスに話し掛けた。
「ジュンス。ここの振り、俺まだちょっとわかんなくて・・・教えてくんない?」
「え!?あ・・・うん!!いいよ!!」
「あ、僕も!!僕もお願いします!!」
ジュンスを先生にして、俺とチャンミンは必死にダンスを覚えていった。
身体は疲れていたけど、休みたかったけど、みんなで一緒になってやるということが、面白くて楽しくてしょうがなかった。
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今日のスケジュールを終え、宿舎に戻ってケータリングでの食事をすました。
朝と同じようにテーブルを囲い、5人顔を合せ、俺の言葉を待つみんな。
「あの・・・まずは、御免なさい。俺、ずっとみんなのチームワークを乱すような行動とってた。本当にごめん。」
「自覚はあったんですねぇ。」
と、チャンミン・・・お前・・・天使な顔して結構キツイんだな。でも、
「チャンミン。チャチャいれんな。」
「スイマセン。」
ユノヒョンの言うことは聞くんだよなぁ。
「えっと・・・俺、アメリカでちょっとグレちゃったんだよね。周りがみんな敵だって思っちゃってて・・・一人で生きていくんだって、一人で頑張んなきゃって・・・」
全部話した。アメリカであったこと全部。
こんなこと話して、「可哀想に」って、「大変だったね」って同情されるのが嫌だった。
同情されても「俺の何がわかるんだ」って「俺の辛さなんて誰にもわかりゃしないんだ」って、痛みを自分で抱え込んで、一人で悲劇のヒーローを気取ってたんだと思う。
ドンドン痛みに引きずられて、深い水の底にいるような息苦しさを感じても、弱さを見せないことで、自分は強いんだって思ってた。
でも、それじゃ強くなれない。成長できないんだ。
みんな、黙って聞いててくれた。まだ、デビューしてないってのにこんなこと重いって思われるかなとも思ったけど、ジュンスもチャンミンも少し涙ぐんでて・・・真剣に聞いててくれた。
「昨日ユノヒョンに言われた。家族にならないかって。東方神起を家族みたいなチームにしたいんだって・・・俺、すごく嬉しかった。母さんも弟も大好きだけど、家族といてもどこか、しんどかったから・・・
辛さや悲しみは皆で分け合えば半分に、喜びは倍に・・・自分には縁のない言葉だと思ってきたけど、俺、ここでそれを感じたいんだ。
ユノヒョン、ジェジュヒョン、ジュンス、チャンミン・・・俺も家族に入れてもらっても・・・いいかな?」
「モチロン!」とユノヒョン
「俺、8人兄弟だから今更家族増えても問題ないし」とジェジュヒョン
(てか、そんなにいるの!?)
「僕、ずっと家族と一緒だったから、離れて寂しかったんだよ!家族!いいね!!楽しそう!!」とジュンス
「僕は・・・妹が二人いて、末っ子っていうポジション、一回味わってみたかったんですよねぇ。頼りにしてますよ。ヒョン達」とチャンミン
こうして、俺に東方神起という掛け替えのない家族が出来たのだった。