今回はキャブのセッティングの基本。
 
 
キャブレターとは、空気と燃料を混合して混合気を作り、エンジンへと送り込む重要な役割を担っています。
 
ここで重要なのは、混合比と呼ばれるもので、最近の車もバイクもコンピュータ制御でインジェクション方式
 
という燃料噴射をしていますが、まだまだキャブ車が多く、また人気も高いバイクでは知っておいて損はないでしょう。
 
 
混合比は各エンジンの型で大体ベストと言われている比率が決まっていて、本来はいじる必要は無いんでが、
 
住んでいる地域気候気温、カスタムの具合でセッティングが合っているとは限らなくなってきます。
 
理屈を簡単に説明すると、空気。空気の中で主に燃焼に必要なものは酸素ですね。
 

酸素は空気中の約20%で、残りは窒素が80%弱。他にアルゴン二酸化炭素なんかがあるんですが、
 
それぞれ1%にも満たない量です。
 
これは常温で気圧が平地という、まさに通常の生活範囲での話し。
 
酸素の濃度をピックアップしてみると、通常の状態で、1立方メートルの箱の中に仮に20個の酸素があるとしましょう。
 
これを温めると、酸素は同じ大きさの箱の中に20個以下になり、冷やすと20こ以上になります。
 
酸素自体が熱で膨張して大きくなるから18個とか16個とかしか入らなくなり、冷えて収縮すると22個や24個
入ってしまうんです。(本当はちょっと違うけど噛み砕いて例えるなら)
 
 
 
つまり、同じセッティングでも、暑い夏暑い地域寒い冬寒い地域では酸素の量が変わってくるんです。
燃料はジェットで決められた量しか出ないのに、吸う空気の量は同じでもそこに入ってる酸素の量は違うんす。
 
 
 
燃料固定で酸素基準に考えると、暑いと酸素少ない寒いと酸素多い
酸素固定で燃料基準に考えると、暑いと燃料濃い寒いと燃料薄い
 
 
同じく高低差でも言えます。高いところに行くほど酸素は薄いんで、当然燃料は濃くなります。

 
 
天気でも、高気圧と低気圧、良く耳にしますよね。
 
気圧が高いということは、空気が沢山あるんで燃料は薄く、低いと燃料は濃く。
だから高いところに行くと気圧が低くなるから酸素薄い→燃料濃い。となります。
 
湿気が強い日は、空気中の水蒸気が多いため、酸素は少ない。燃料は濃い。と言う風になりますね。
 
 
これをみんなキャブセッティングのときに濃いだの薄いだの言ってるんですね。燃料基準です。
 
 
 
濃いとどうなるか、薄いとどうなるか。メリットデメリットがあります。
 
濃いと、メリットはパワーが出る壊れづらい。 デメリットはエンジンが回らないかぶる
薄いと、メリットはエンジンが良く回る デメリットはトルクが細くなるエンジン焼き付き
 
 
 
一般にプラグの焼けで判断といいますが、あくまで目安です。
使用しているオイルやプラグで焼けやススの付き方は変わってくるんで、目安と思ってください。
 
と言う事で、一般的にはレースでもしてガンガンの高回転でギリギリのセッティングを出したい
 
と言うわけじゃないのなら、ちょうどぴったりから気持ち濃い目にします。エンジン壊さない為にも。
 
 
で、どう合わせるかって言うと、プラグの焼けも参考にしつつ、やっぱり乗ってみることが一番です。
 
極端に薄いと、フルスロットルで回転が上がっていったときにガス欠症状が出ます。
 
 
車で言うリミッターかかったみたいな。
濃いと、アクセルワークに追従できず、ブスブス言って回転がスムーズに上がりません。
 
これを、低回転・中回転・高回転と三段階に分けてテストして、順にスロージェット・ニードル・メインジェットと調整します。
 
 
キャブを純正以外に交換する方もいますが、メリットは口径を大きくすることでより沢山の空気と燃料を
 
エンジンに送り込んだり、送り込む部分の形状がより効率よくなるように等といった理由があげられます。
デメリットは、セッティングを出すのが中々難しい。全体的に良くすることはほぼ不可能なので、
 
トルク重視馬力重視か、低回転型高回転型か。
 
大体はこのシーソーなんですよね。上を良くしたら下が使えないとか、街乗りきつくなったけど回せばパワーすごいとか。
 
でも、勘違いしがちなのが、そこをいじっても何をしても、エンジン本体がノーマルであり、
 
純正キャブがパワーを抑えていないのであれば、最高速に変化はありません。
 
エンジン最高回転数はエンジン固体で決まっていますから、あくまでエンジン特性が変わるだけ。
 
 
たとえば5千回転から8千回転にいたるまでが速くなるとか、よりスムーズに回るようになるとか。
 
そう言うチューニングですね。
 
 
あとはCRキャブとかFCRキャブとか、加速ポンプが付いていて、アイドリングや低回転から一気にガバッと
 
アクセル入れてもガボボボってならないとか、ベアリングを使ったシャッター式のとか・・・ベンチュリー形状が・・・
 
とかまた深くなりますね。やめましょ。
 
 
とにかく、燃調はどういう場合にどういうセッティングがいいのか。逆にどういう状況なのにどう不調なのか。
 
この記事で少しでも入り口が見つかればいいかなと思います。
 
 
次回は・・・考えときましょ。