無知と教えと窓の外



ふと、耳に刺していたイヤホンから歌詞が頭に入ってきた。


「向かう場所はどこだろう」


その前に、一体ここはどこなんだ。


文字を追い、意味を咀嚼し、自分なりの解釈をするということに疲れを感じ始めていた私は開いていた本を閉じ、外の世界へと意識を戻した。


乗ったばかりの時の景色とは似ても似つかぬような、薄い、向こうが透けた雑木林の壁と雪の山。


果たして本当にこのまま乗っていて目的地へ辿り着くのだろうか?


母親と駅員さんにわざわざ調べて指定して貰った列車という事実と、電車が初心者すぎる故の無知が3分ほど戦い、目的地での用事には余裕を持って出てきたという事を思い出しもう少し乗っていてみることにした。


一駅、二駅、過ぎた頃に、目的地を告げるアナウンスが響いた。


さて、今日も夜までは帰れないな。


外の寒さに少し震えながらマップアプリを起動する。


今日も無事、辿り着くことを祈ろうか。



にじさんじユニット歌謡祭day3のライブビューイングを見に行った時、電車の中で書いた話です。


聴いていた音楽はアイカツ!の「Signalize!」、読んでいた本は「月の満ち欠け」。


道中あまりにも寒かったので着いてから喫茶店で紅茶をいただきました。

あの前回の、ですよ。