情熱 | 思い出の花

情熱


時は無情
昔 建てた碑に
しがみつく冷めた心
今更 何かに
燃える事も無く
しがらみの糸と
冷ややかな目で
編んだマフラーを首に巻き
老いた器に
魂を封印している

道筋は造られた
わざわざ藪の中を
歩く事もない
穏やかな景色を
足元だけ見詰めて歩き
双眼鏡は無用の長物

時は冷刻
一度たぎった炎は
いずれ灰となる定め
今更 火に
油を注ぐ事も無く
努力のレンガと
意志の繋ぎで
積み重ねた家に住み
温室に魂を安置する

ただ 情熱の火が
消えた訳では無い
灰の中で燻っているだけ

=補足=
冷刻《造語》:れいこく