テレビを用いた公開実験
この仮説について、1983年にテレビを用いた公開実験が行われている。
行ったのはイギリスのテレビ局。
だまし絵を2つ用意し、一方の解答は公開しないものとし、もう一方の解答はテレビによって視聴者200万人に公開する。
テレビ公開の前に、2つの絵を約1000人にテスト。
テレビ公開の後におなじように別の約800人にテストをする。
いずれも、この番組が放映されない遠隔地に住む住人を対象とした。
その結果、テレビ公開されなかった問題の正解率は放映前9.2%に対し放映後10.0%であり、もう一方のテレビ公開された問題は放映前3.9%に対し放映後6.8%となった(解答が公開されなかった問題の正解率の上昇に比べれば統計学的に意味のある数値の上昇である)。
これにより『公開されなかった問題では正解率は余り変化しなかったが、公開された問題は大幅に正解率が上昇した』とされた。
百匹目の猿現象との関係(芋洗い行為=TVで公開されただまし絵)
これが百匹目の猿現象とどういう関係があるのかというと、要はこの実験は人工的に百匹目の猿現象でいうところの「芋洗い」の行為を作りだしたことになる。
芋洗い行為=解答がTV公開されただまし絵
だまし絵の解答をテレビを使い広めた後で、そのテレビ番組とは接する機会のない遠隔地に住む人々(百匹目の猿現象でいえば、芋洗い行為を行う猿の集団とは何ら直接的な接触を持たない遠隔地に住む猿ということになる)に、そのだまし絵を見せた。その結果、その人たちはそのテレビ番組を見ていないにも関わらず、ただ接触を持たない他の人々(テレビを見ていた二百万人の視聴者)が解答を知っていたという理由だけで、有意に正答率が上がったということになる。
それが「直接的な接触が無くても、ある人や物に起きたことが他の人や物に伝播する」という説の根拠の一つになるのではないかと言うことである。
続く
- 世界を変える七つの実験―身近にひそむ大きな謎/ルパート シェルドレイク
- ¥2,310
- Amazon.co.jp