肉体には強度、というものがあります。
強い衝撃を受ければ、切れるか裂けるか折れるかします。
そのダメージは目で見て分かるので、重症だとすぐに救急車が登場します。
心にも強度というものがあります。
強い衝撃を受ければ、泣くか忘我か憤慨します。
そしてそれは目には見えない。
殴られたら、その方向に身体を流すことで衝撃を逃すことが出来ます。
受け身を取ったり、回避することも出来るでしょう。
しかし心のダメージというものは、受け身が取れません。
感情をシャットダウンするか、色々と諦めるか、とにかく衝撃の逃げ場というものはありません。
受け取り方次第です。
肉体のダメージ。
心のダメージ。
両者の衝撃は根本的に異なり、その属性は物理か化学反応。
ですが類似点は多いし、密接な関係にあります。
肉体を大きく損ねれば心は病むし、心が病めば体調が崩れるでしょう。
肉体の強度には限界があります。最悪の場合は死に至ります。
では、心の強度には限界があるのでしょうか?
創作物では、心の死を表現する際に 完全自己喪失 か 発狂 で描かれます。
心を失って人形のようになるか。
あるいは錯乱し、人間的精神活動が不能になるか。
肉体の損傷による入院には、手厚い看護が。
心の損害による入院には、分厚い檻を。
片手を失うのと、感情を失ってしまうのと。
さて不幸なのはどっち。
僕 「治療が必要だ」
友 「は?」
僕 「入院したい」
友 「いよいよ内臓でもやられたか痛風患者」
僕 「ちげぇよ。心だよ」
友 「ああ、頭か」
僕 「アタマとか言うなや。ハートだよハート」
友 「その脂肪の下にはポンプしか入ってねぇぞ」
僕 「あれ。お前ってそんなにリアリストというか、理系な感じだったっけ」
友 「……例えば首を切断されたとして」
僕 「やだなに。この子こわい」
友 「切断されたとして。頭と胴体。心はどっちにあると思う? 頭だろ」
僕 「んー」
友 「墓に入れるのは心臓じゃない。頭蓋骨だ」
僕 「名言のようにも聞こえるが、違うな。間違っている」
友 「ほう」
僕 「脳みそだけじゃ、心は成立しねぇんだよ」
友 「おぉ~。流石小説家。それっぽい事言うじゃねぇか」
僕 「入院したい」
友 「はい、お薬ですよー」 (どぶどぶどぶ)
僕 「こんなん飲んだら、入院するハメになるわ」
友 「アルコールってすげぇよな。消毒にも使えるし、心にゃ麻酔代わりだよな」
僕 「流石百薬の長。乾杯」
友 「俺はもうウーロン茶しか飲まない」
僕 「もう毒にしか見えない」
友 「毒をもって毒を制すると言うだろ」
僕 「なんかお前の方が小説家っぽい」
友 「ジムのインストラクターですがなにか」
居酒屋の飲み放題なんて考えたヤツは、たぶん僕たちが二日酔いになることなんて考慮してない。
みんな! お酒の飲み過ぎはだめだよ!!