時の魔術士 「なんだって?」
僕 「だから、今日を三分だけ 明日 にしてほしいんだ」
僕がそう言うと、彼……彼女? ……まぁどっちでもいい。
ロン毛の魔術士は 「珍しい」 と言いながら首をかしげた。
時 「いつもなら 『やっべー、更新してねぇ。まぁいいや。誤魔化せ』ってスタンスなのに」
僕 「こっちにも事情があるんだよ」
時 「ふぅん……まぁいいや」
そういって指をパチンと鳴らす時の魔術士。
珍しく、それが 「はい! 時間の流れ変わったよ!」という合図だった。
僕 「あとは更新ボタンを押すだけか」
時 「いやいやいや、ここで流れをブッたぎって更新しても何が何だか。せめて事情を説明したまえよ」
僕 「事情の説明? そんなのいるか? いつもの如く、一行で決着つくぞ?」
時 「そうかね? 更新の前倒しなんて、君にしては珍しいじゃないか」
僕 「オレ アシタ ゴルフ」
時 「…………あい、了解」
とても面白そうに、まるで学芸会に出てくる魔女のように。
「くっくっく」 という鼻につく演技的な笑い声。
時 「はて、いつから君はそんなにゴルフに熱心になったのかね」
僕 「さてね」
時 「ゴルフを始めて何年経ったのかね?」
僕 「……さぁ…………五年? そんなもんじゃないか?」
時 「月に二回程度と数えて、年間24回 × 5年 = およそ百回」
僕 「うわぁ。そう書くとなんか凄いな……」
時 「百回もラウンドしておきながら、君のベストスコアはいくつかね?」
僕 「言うな聞くなオレを見るな!」
時 「猿になれと? 酷い要求だ」
僕 「進歩の無い男で悪かったな」
時 「悪いのは、進歩が無いことではない。前に進む気の無さだ」
僕 「お耳がいたいの。せんせー、お薬ちょうだい?」
時 「グーとパーとチョキ、どれがいいかね?」
僕 「チョキは致命的な予感がするので、パーでお願いします」
バチン、と。
頬に来るかと思った衝撃は、意外なことに脳天に直撃した。
時 「ところで……既に三分は経ってしまっているのだが」
僕 「あ」
時 「なんてな。今の一発が本当の合図さ」
僕 「そうか。あと二分三十秒か」
時 「さて残り時間、何を語る?」
僕 「寝るに決まってんだろ」
こうして雪尋は、またしても月曜日にゴルフに出向くことになったのである。
「神との対話」ごっこで現実逃避をしてみたが、何の解決にもなっていない。
練習には行ったが。
行かなきゃ良かった、と軽く後悔中。
やればやるほど、間違っていく感覚。
引き返すためには、行き止まりに当たる必要があるのに。
グルグルと同じ所をループする様は、まさに犬が如く。
め、め、目指せベストスコアああああああ!!!