聞いて驚け。
もうすぐワイな、彼女無い歴が九年の満期を迎えて、十年に突入するんやで。
これはもう奇跡のAnniversaryである。
男は、三十歳まで童貞だったら魔法が使えるようになるらしい。
人々はそんな彼を、尊敬と畏怖と侮蔑を込めて、魔法使いと呼ぶらしい。
つまりハリー・ポッターは童貞。
では、かつて、遠い昔に彼女がいた僕は何なのだろうか。
魔法使いにはなれない。
では、僕はいったい?
20代の全てを孤独に過ごした僕に与えられる称号とは、なんなのか?
人間の体は七年で全ての細胞が入れ替わるらしい。
つまり、セカンド童貞である。
これに至るには、相当の才能と覚悟とバッドラックが必要不可欠である。
そんな、人生における「希望」を知りながら「絶望」に身を浸す者を、
僕のような者を、
人は 「妖怪」 と呼ぶらしい。
他者に理解されない、不気味な生き様。
なるほどね。全くもって上手いネーミングセンスだよ。やれやれだ。
僕 「…………いやだあああああああ!!!」
妖怪なんてイヤだ!
愛されるよりも愛したいなんて嘘だ! 誰だって愛されたいに決まってる!
だから僕は!
最後の瞬間まで諦めずに!!
引かず、媚びず、顧みず!
名台詞の 「愛などいらぬ!」 と叫びながら、誰よりも愛を求め――――
そして死ぬのである。
あれ。
なんだこの展開。
とにかくですね、何が言いたいかっていうとですね。
妖怪と呼ばれて「なるほどなぁ」って納得しちゃってる時点で、人間として終わってるわけですよ。
だから僕は、いっそこの果てしない妖怪道を突き進み。
妖怪の王として、君臨してやろうと思います。
そしていつか、絵本に登場しようと思います。
「悪い子は、雪尋になっちゃうぞ」 って親御さんが脅せるレベルまで、俺はなってやるんだ。
ふっふっふ……はっはっは……あーっはっはっはっは!!! (錯乱)