病院である。
検査目的の採血で三ヶ月ほど前に通院したことはあるが、調子が悪くて病院に行くのは何年ぶりだ。
僕 「痛い……痛いよぅ……」
眠れぬ夜を過ごし、なんとか病院にたどり着いた僕だがもう一歩も動けなかった。
僕 「す、すいません……車椅子貸してください…………」
重症である。
この時点で僕は色々と考えた。
・骨折していたとして、入院する必要があるのか。
・その場合、仕事はどの程度休まなくてはならないのか。
・治療費なんぼかかんねん……。
・ヒビ程度だから、きっとすぐによくなるぞ。
長い待ち時間を終えて、ようやく診察室に入る。
医者 「はい、今日はなんか足が痛いそうで」
僕 「歩行が困難なほどに痛むんですよ……これなんですが」
昨日よりも赤く腫れた足を見せる。
僕 「先生。これ、折れてますよね……」
医者 「えっと……ちょっと触りますね」
ここ痛い? いいえ。
ここは? 少し。
ここはどうだろう? 全く。
じゃぁ、ここ? あたたたたたた!!
医者 「ゴルフが原因かも、とおっしゃってましたが……お仕事はなにを?」
僕 「(説明が面倒だな……) えっと、ウェイターみたいな事を」
医者 「会社とかで健康診断とか受けました?」
僕 「何ヶ月か前に(自主的に)採血しましたっけ」
医者 「どんな感じでした?」
僕 「(なんだこの質問) えっと、尿酸値の値だけアウトでした」
医者 「ああ、じゃあ、やっぱり」
僕 「え」
医者 「痛風ですね」
僕 「 !? 」
つ、痛風……だと……?
僕 「う、嘘だ……いや先生、これ、骨折ですよね?」
医者 「いえ。恐らく痛風だと思われます。一応採血とレントゲンしますね」
説明しよう!
痛風とは、ぜいたく病とも呼ばれる健康疾患である!
三十代~四十代のオッサンに発症しやすく、要するに足等へ激痛を覚える病気だ!
プリン体、というものを過剰に摂取すると発動する地獄トラップである!
ほぼ全ての食材にプリン体は含まれるが、特にビールとかホルモンがアウトである!
風が吹くだけで痛む、という通説はあまりにも有名であろう!
なおも僕はしつこく食い下がった。
僕 「先生。痛風だなんて、嘘ですよね。だってこんなに痛い」
医者 「ほぼ間違いなく痛風ですね。ではまず採血からどうぞ」
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二時間後ぐらい。
医者 「はい、これがレントゲン」
僕 「……押忍」
医者 「で、ここが痛む箇所。関節ですね」
僕 「……ウス」
医者 「綺麗なもんでしょ」
僕 「傷一つ、いや、影一つ見えませんね」
医者 「続きまして、これが採血の結果」
僕 「見慣れた文字と数値が見えますね」
医者 「ガンマがちょ~っと高いかな。あとはやっぱり尿酸値。8.3」
僕 「あ……先日は8.5でした」
医者 「痛風発作が起きると、数値が少し下がるんですよ」
僕 「……ファック(小声で)」
逃げ場は無かった。
僕は痛風らしい。
頭の中で色々な思いがグルグルグルグル。
僕 「先生……僕ね、まだ二十代なんですよ……」
医者 「最近は若い人もたまになりますね。不摂生のたまものです」
僕 「先生……僕ね、この一ヶ月で三キロ落としたり、野菜も結構食べてたんですよ」
医者 「ビールはお好きですかな? あと痛風は昨日今日が原因でなる病気じゃないです」
僕 「……特技は一気飲みです。すごく速いんですよ」
医者 「だから発作も早くなったんですね」
僕 「……wwwwww」
医者 「 (苦笑い) 」
痛みのあまり保険証も忘れていた僕は、クソ高い治療費を払って病院を後にした。
そして報告の時間である。
僕 「あ、おかん? なんか痛風って診断されたんだけど」
母 『つ!? ……あははははははは! あんたいくつよ! 情けねぇwwww』
僕 「あ、店長? 俺さぁ、骨折…………じゃなくて痛風だったわ」
店長 『はぁ!? ……そりゃ痛かったろう。……痛風てwwwwマジかお前wwww』
僕 「兄よ。心配かけたな。アンタんトコの次男は痛風と診断されたぜ」 (メール)
兄 『お茶吹いたwww』 (メール)
みんな笑ってくれた。
よかった。これは面白いネタを得たものだ。(超ポジティブ)
とりあえず、痛み止めはもらったけど全く効かない。
やむを得ず松葉杖を借りて、ぎくしゃくしながら歩くことにした。
リハビリテーションのおねぇさんに使い方をレクチャーしてもらったんですが、すごい美人でした。
美人 「痛そうですね……ヒビでも入ってました?」
僕 「つう……いえ、まぁ、そんな感じで……」
言えない。こんな綺麗な人に「痛風です」なんて言えない。かっこ悪すぎるwwwwwwwクソがwwww
僕 「はぁ……」
とりあえず仕事にならない。
だって歩けない。
いや、まぁ、結局仕事しに行ったんですけどね。
後日談に続く。