僕 「清し孤の夜」




孤独であるがゆえに、清廉。今日も俺は一人だ。


そんなフレーズを想いながら、サンタクロースはヘルメットをかぶった。


夜の帳が下りて、幕が明けるまでのつかの間。


だが彼はその短いはずの夜が「とても長い一日になる」と知っていた。




「さぁて……体は温まったか? 相棒」


『きゅーん』



トナカイ……によく似たモンスター。


ソニック・アニマルとも呼ばれる徒那怪が、厳つい見た目とは裏腹にかわいらしい駆動音を奏でる。



「どうせすぐに凍りつくが、なに、たった一日だけだ。お互い頑張ろう」


『きゅーん』




百トンの質量にも耐えうる合金製のソリに手をかけて、それに飛び乗る。


シートベルトを装着し、準備は完了。彼は備え付けられたスイッチをいくつか操作して、ソリを変形させた。


対音速モードである。その鋭角なシルエットは「サンタクロース」というより「兵器」を彷彿とさせた。




「さぁて……行くか!」


『きゅーん……ステンバーイ ステンバーイ ……リフト・オフ ……ぐがああああああああ!!!』




暴音。


それとともにサンタクロースは雄たけびを上げる。



「行くぞオラァァァァ!! 道をふさぐヤツは、死にたい奴だ! すべてなぎ払い、粉砕しろ!」



永い夜が、始まる。


明けるまでのつかの間が、彼のリアリティ。



いつからだろう。いつからこんな存在になったのだろう。彼はそう自問する。


金貨を窓から入れた時だろうか。


その噂が広まったころからだろうか。


誰かが自分の行いをマネした時からだろうか。


それとも、肉体を失った時だろうか。


いいや。やはり、こんな存在に……概念になったのは、それが必要とされていたからだろう。


人間は与えられるのが大好きだ。その性質の根底では「与える者」の存在なんて観測できるはずもない。


だから彼は。すなわち彼は。


人々の「希望」とか「祈り」という言葉でラッピングされた、人々の欲望を満たす装置でしかなかった。



しかしまぁ、いくぶん悲観的なニュアンスを含ませてしまったとはいえ、彼は自分のあり方が嫌いではなかった。


でなければ毎年律儀に音速を超えたりはしない。



ふっ、とこぼした笑みが髭ごと凍り付く。

すべての音を置き去りにする速度領域にいながら、彼は世界中の煙突めがけてプレゼントを投げまくった。


それはまさに超絶のコントロール。彼の投げたものは全て、見事に、綺麗に、煙突の中に吸い込まれていった。



(しかし……最近は煙突の数が減ったな。新しい煙突が造られることも少なくなった)


(人間が減っているのか? まぁいい。仕事が楽だ)


(楽といえば、昔は一件ずつ枕元にプレゼントを置いてたっけ。今じゃそんなこと出来ないけれど)


(いかんせん数が多いからな。煙突に投げ入れるだけなんて手抜きかもしれないが、無理なものは無理だ)




サンタクロースは数瞬だけ思考にふけったが、すぐに意識は煙突へと戻された。



「おらおら、ガンガン行くぞ! 次はあの集落だ!!」



☆☆☆☆☆――――★★★★★



子供達が寒い思いをしないように。正確に言うなら妻を不機嫌にさせないために私は今日も一番に起床する。



「あー、寒い寒い」


私はぼやきながら暖炉に火を入れた。


昨日のパーティーで使った包装紙などが押し込まれているため、火はすぐに燃え広がった。



ふと視線を窓の外にやると、見えた光景は雪であった。


その向こうには高層マンションが。煙突のない、近代住居郡。



「くそ、うちも床暖房にしたい」


私はぼやきながら、暖炉に火を入れた。


包装紙と、なぜかセルロイドが溶ける臭いを感じた。











どうも今晩は雪尋です。



メリークリスマス。仕事です。


女の子からメールが来ました。 「いま何してますかぁ?」 って。


珍しいな、と思いながら返信したら 「お店開いてます☆」 ってメールでした。



でも僕は忙しかったので 「はっはー!」 って返して携帯を閉じました。


閉じました。





今年は暖かいですね、って書こうとしたら今日は超寒いですね。


そろそろ雪が降るのかもしれません。


でも僕が住まう地域で「ホワイトクリスマス」なんて現象は発生しえないので、まだ降りません。



今年もみんなが幸せなクリスマスを送れますように……。


幸せじゃない人は、来年幸せなクリスマスを送れますように……。





僕は家から絶対に一歩も外に出ないつもりですけどね☆




クリスマス・イヴたる本日は仕事じゃん!!



ひゃっはー! 寝る!!!