我に返る、って言葉凄いと思うんですよね。
我に、返るんですよ?
表現が的確すぎて泣ける。
そう、僕にも覚えがあります。
我に返る瞬間、というヤツです。
お客様 「一杯飲みなよ!」
僕 「いただきます!」
ビールをそっと持っていきます。
お客様 「小さいよね!」
僕 「ええ!?」
ビールが大盛りに変更されます。
当店の迷物。ピッチャービールです。
通常のビアグラスではなく、ウーロン茶とかをぶっ込む……言ってしまえば、水差し。
そいつにビールを注げばあら不思議。
初見の人は高確率で 「は!? それ飲むの!?」 と驚かれます。
注意・雪尋は特殊な訓練を積んでおります。よい大人はマネしないでください。いい大人なんだから。
よい子はそもそも酒を飲まないでください。
話しを戻してピッチャービール。
完全に雪尋専用です。
最近では僕専用の大型グラスまで仕入れられてしまいました。愛されてるんだと思います。
お客様 「で、それ何秒? 三秒?」
僕 「五秒でもキツイっすよ!!」
1杯飲みなよ → い~っぱい飲みなよ☆
ごぐごくごくごくごく。
僕 「ごちそうさまでした!」
最近になって、ようやく飲み終えた後で笑顔を浮かべることが出来るようになりました。
苦しそうな顔から、笑顔へ。
そう、雪尋はさらなる高みへ至ったのです。
だがそれがいけなかった。
以前
僕 「ご、ごちそうさまで、し……た……」
お客様 「おおぅ……すげぇな……」
なう
僕 「ごちそうさまでした☆」
お客様 「おかわりどーぞ! アンコール! アンコール! ご・ち・そ・う・さ・ま・が・聞こえない~!」
僕 「ごちそうさまって言ったよ! ちゃんと言ったよ!!」
余裕な態度を見せたのがいけなかったのでしょうか。
非情なる好意が僕に迫ります。
アンコール、という言葉が アルコール に自動変換される僕のおみみ。
僕 「……絶対無理! ごゆっくりどうぞ!! さよならっ!!!」
僕の胃袋は宇宙ではないのです。
しかし、追撃をかわしても。
別テーブルのお客様が 「いっぱい飲みなよ!」 と言ってきた日には。
嗚呼。
ちょっと時間もらっていいですかね……。
嗚呼。
今日はそんな感じの一日でした。
僕 (ふぅ……短時間で二回は、流石にこたえるのぉ…………)
もうお腹たぷたぷ。
水分いらないから、塩分ください。
お客様 「お。雪尋くん。久しぶりだね」
僕 「おおっと、お久し振りですね! あ、今日はお連れ様とご一緒ですか」
お客様 「ねーねー聞いてよ●●さん! この人、ビール飲むのめっちゃ速いんですよ!!」
●●様 「へー」
僕 「…………………………」 (そっとフェイドアウト)
お客様 「逃げるなwwwww」
僕 「やめてぇぇぇぇぇ!!」
女の子 「ピッチャー持ってこいYo!」
僕 「 」
普通のビアグラスで勘弁してもらいました。
僕 「ごくごく! はい、ごちそうさまでした!」
●●様 「速っ!!」
お客様 「でしょー!」
お客様 「というわけで、もう一回!!」
僕 「ちょっ待っ…………か……か……」
かかってこいやオラァァァァ!!
全てのビールを飲み干して、僕は思いました。
いつからだろう。
どうしてだろう。
なんで僕は、ビールをこんな風に飲むようになったのだろう。
僕 「今までの人生で……何リットルのビールを一気で飲んだんだろう……」
そう、僕は我に返ったのです。
そしてすぐにこう思ったのです。
僕 「でもまぁビール超美味いからいいやwww
ひゃっはー! wwwwww」