親父 「くれてやろう」
僕 「コレなに?」
パイプをもらいました。
親父 「お前なら使いこなせるかと思って」
僕 「…………うん。まぁ、こういうアイテム嫌いじゃないけど」
二十七歳でパイプ煙草を愛用する男って、どうよ。
しかし、新たな出会いである。
僕はさっそく、もらった煙草(葉)の缶ケースを開けてみようとしました。
僕 「開きませんでした」
半ばケースを破壊する勢いで、ナイフを使ってこじ開ける。
すると 「ベコッ」 という、明らかに「空気圧が違いますよ~」と主張する音が。
紙に包まれたそれを開くと、何とも言えない柔らかく甘い香りが。
僕 「ほ、ほほう……なるほど……これは……これは……」
思わずニヤニヤ。
葉に触れてみると、しっとりしてました。
湿ってるんです。
僕 「んで、これをパイプに敷き詰めて……吸う、のか?」
ここで気がつく。
僕はパイプ煙草の作法を知らない。
というわけでさっそく調べてみた。インターネットって便利だなぁ。
僕 「なになに?」
結論。
今は、吸えない。
パイプ煙草に必要なのは、パイプでも葉でもフィルターでもなく。
パイプ煙草を吸うのだという心の準備と、正しい用意が必要だったのです。
まずこれ、果てしなく面倒です。
肺に入れるものではないので、葉巻と同様の吸い方をする必要があります。
しかし葉巻も湿ってるとはいえ、パイプほどではありません。
パイプ煙草は吸ってるとグズグズになるのです。
掃除道具が必要です。
それに、煙草みたいにお手軽に 「着火! 吸う! 終わり!」 とはいきません。
フィルターをセットし、葉を敷き詰め、着火を二回に分けて、紫煙をくゆらす。
――――そんな準備を。
時に火は消え、時に燃えすぎてオーバーヒートし、水分が嫌な音を立てる。
――――そんな悪戦苦闘を。
付着したカーボンをナイフで整えたり、パイプをクリーナーで掃除をしたり、乾かしたり。
――――そんなメンテナンスを。
全てを楽しむことが、パイプ煙草らしいです。
そう、好奇心から 「ちょっと吸ってみっか」 という簡単な気持ちではなく。
豊かな時間を演出するために、手間暇をかける。
これが、正しいパイプ煙草の作法のようです。
今度煙草屋さんで必要道具を揃えるとしましょうかね。
焦らず、ゆっくり。
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