僕の唯一の取り柄。


それは、ビールの一気飲みが速いこと。


(※ 雪尋は特殊な訓練を受けています。よい子のみんなはマネすんなよ!)



過去に何度も「ビール速飲み競争」と銘打たれた戦いをこなしてきましたが、


「これは完璧に負けたな」 と思ったのは、三人だけ。




一人目はウチのお店のお客様。


朝の5時まで平気で飲む人です。


この方には、本気で勝てませんでした。




二人目は、夜の街の住人。


ナイトと呼ばれる、私服の男性店員が接客するお店の店員さん。


僕がまだ駆け出しのころ勝負して、見事に負けた人です。


ちなみにリベンジして、勝ちました。




そして三人目。


は、おいておいて。






その「一人目」でもあるお客様に、こんなことを言われました。




お客様 「こんどパーティーがあってさ」


僕    「へぇ」



お客様 「その中で、ビールの一気飲み競争があるわけよ」


僕    「出来レースじゃないですか。○○さんに勝てる人とか、この世にいるんですか?」






お客様 「俺は出ないから、代わりに雪尋出ろよ」


僕    「 What? 」





冗談かと思ったら、マジでした。


え、マジなんですか?




お客様 「俺の弟子として紹介するから、勝ってこい」


僕    「いやいやいやいやいや! 無理ですって!」



僕はしょせんアマチュアレベル。


そこらへんの人が 「俺、腕ずもう超強いっすよ」 と言ってるのと同じレベルだ。



試合に出れば、予選で落ちるであろうタイプだ。



しかし 「出ろ」 と言われたのなら、出るしかない。








僕    「して、対戦相手はどんな感じの方なんでしょうか」


お客様 「相撲取り」





僕 「は」








相撲取り。


それは、いわゆる一つの国家公務員。


国技のプレーヤーにして、世界で最も重たい格闘家集団。




そして、僕が勝てなかった 「三人目」 の職業。




僕    「お、お相撲さんですか……あの人らに勝てるわけナイデショ……」


お客様 「あいつら速ぇぞー。それに俺、もうビールの速飲みとかしたくないし。だから代わりに頑張って!」





うわああああああああ!!


しかも、結局リベンジ成功しないまま「引退宣言」までされてしまったぁぁぁぁぁぁぁ!!



お相撲さんって、マジ尋常じゃない飲み方するんですよ。


もう見るだけで「うわぁ」ってなるくらい。


おうふ。勝てるわけがないというか、そもそも挑みたくない。




しかし、壁はブチ壊すために。過去は乗り越えるために。未来は僕らの手の中に。


栄光と違い、栄誉はチャレンジャー達にしか与えられない。



決戦は、金曜日。




やれるトコまで、やってきます。






店長 「ちなみに、金曜日はクソ忙しいことが既に確定しております」


僕   「知ってます」




店長 「酔って帰ってくるなよ」


僕   「……善処シマス」






速飲みに必要な五箇条。


1 体調

2 技術

3 飲む際の、リズム

4 自信

5 気合い




さて、どうなることやら。