弟の動画がYoutubeに上がっていた。


なにしてんだコイツ。カナヅチだったくせに、フィン付けて泳いでやがる。ってかスキューバダイビングしてら。



生意気にもイルカと泳いでやがる。併走ならぬ併泳か。みちる気取りかテメー。


……すいません、「イルカに乗った少年」は観たことありません。



しかしまぁ、我が弟ながら似ていない。


全く似てない。



そういえば僕は兄とも似てない。(ちなみに男三兄弟で、僕は次男です)



兄は結婚して、子供も二人いる。


弟はハワイでなんかリア充やってる。(充実した生活をリアルに送っている、の意)



僕はなんだろう。


このブログの説明文を借りるなら 「夜の仕事をしながら小説家を目指している」……という……。




……我ながら、変なヤツだと結構真剣に悩む。



なんでこうなったかなぁ。


いつまで続けんのかなぁ。




あっ、たいへんだ。


鬱っぽい。






――――みんな逃げて!


はやく、はやくここから逃げて! 感染するぞ!






気分転換に小説書きます。



(※後述・ 書いたんですけど、ちょっと長いです。面白さは保証しません。

 つまり☆読 ま な く て い い よ☆)






「名前の無いかかし」



 とある畑に、一体のかかしが立っていました。


 名前はありません。――――そもそも、普通のかかしには名前なんてありません。


 かかしは、かかし。それ以外の何物でもないからです。


 でも“彼”は、かかしと呼ばれることを嫌っていました。




「やぁ、かかし君。今日は良い天気だね」


「僕をかかしと呼ばないでくれよ。……いったい何回同じことを言わせるつもりだい?」



 今日もテントウムシが話しかけてくる。この赤と黒の可愛い虫は、いつも同じことを繰り返す。

 僕は次の台詞が 「どうしてキミをかかしと呼んだらいけないの?」 であることを知りながら、今日も同じ台詞を繰り返した。


「どうしてキミをかかしと呼んだらいけないんだい?」


「僕は確かにかかしだよ。でも、その呼び名は“僕”じゃなくて“僕たち”のことを表している。例えるなら、この畑の持ち主の五郎さんが自分の息子に『おい、人間』って呼んでるのと同じさ。……かかしって名前は僕じゃなくて、この世界における僕の役割を表しているにすぎない」



「ふむ」


「それがイヤなんだ。まるで僕がどこにもいないような、そんな気持ちになる」



これも昨日と同じ台詞。


だからテントウムシ君はきっと「そうなんだー」と呟いて飛んでいくんだろう。


そう、思っていたのだが。



「じゃあ、なんて呼べばいいの?」



テントウムシはそんなことを尋ねてきた。



「……待って。きみは、誰? いつものテントウムシ君じゃないね」


「わたし? わたしは、わたし。テントウムシだよ。ちなみにキミと話すのは今回が初めてだ」



僕は「そうかぁ」と納得して、テントウムシに聞き返しました。



「ところで、キミはいま、僕の名前を聞いてくれたのかい?」


「そうだよ。かかし、って呼ばれるのはイヤなんでしょう? じゃあなんて呼べばいい?」



「………………僕は………」


「名前が無いの?」



まさかそれを指摘されるとは。


僕は何だか恥ずかしくなって、風と共に身体を揺らした。



「そうなんだ。僕には名前がない。……誰も付けてくれなかったんだ」


「名前がない。でも、かかしと呼ばれるのはイヤ。……ねぇ、もしそうなら、キミはいったい誰なの?」



「――――誰なんだろう」



僕は空を仰いで、次自分が突き刺さっている大地を眺めて、最後にテントウムシに視線を合わせました。



「ねぇ、よかったらキミが僕に名前をつけてくれない?」


「どうして?」



「こんなに長く話したのは、キミが初めてだから。キミなら、僕を知っているかもしれないから」


「わたしはキミのことをよく知らないよ。知っていることと言えば、かかしと呼ばれるのがイヤってことくらい」



「それだけで十分だよ。ねぇ、僕に名前をくれないかな」



テントウムシは「うーん」とうなりました。



「じゃあ、スケアクロウ」


「すけ、あくろう……助悪朗? なんだかチンピラみたいな名前だね……」



「じゃあ、Плашило」


「ごめん、いまなんて発音したの?」



「あるいはStrašák」


「……僕をからかってるの?」



「――――とんでもない。わたしは真剣だよ」


「……ごめんね。でもどの名前もピンと来ないんだ」



「そっか。じゃあLinnunpelätinもمترسکもダメだね」


「……う、うん。ごめんね」



「だったら、案山子は?」


「あんさんし?」



「そう。誰かを正しく案内する、山の子、って意味」


「意味は素敵だけど……」



「キミはワガママだなぁ」


「……ごめん」



テントウムシは笑いながら、少しだけ僕を非難した。


僕はその笑いに答えることが出来ず、ただうなだれる。


するとテントウムシもバツが悪かったのか、おどけた感じでこう言ってくれた。



「だったらさ、自分で名前をつけたらどう?」



それは今までに無い発想だった。



「自分で? でも、名前って誰かが付けてくれるものなんじゃあ……」


「誰も“誰か”になってくれないのなら、自分がその“誰か”になればいい」



「そういうものなのかな」


「そうだよ。さぁ、よく考えてもいいし、パッと閃いたモノでもいい。キミが自分で自分に名前を付けるんだ」



「僕の名前……」



僕は悩んだ。


自分の名前なんて、今まで考えたこともない。


ただ、ただ、ひたすらに「誰も名前をつけてくれない」とイジケていた僕にとって、それはとても難しい事だった。



「……ダメだ。やっぱり思いつきそうにない」



結局僕はイジケたまま。苦々しい思いで、素直な答えを口にした。


するとテントウムシは真剣な表情を作った。



「……そう。じゃあ、わたしがつけてあげる。だけどコレが最後だよ?」



「最後って?」


「次にわたしが口にする名前が、キミの名前になる。変更も出来ないし、拒否することも出来ない。いいかい、これが最後のチャンス」


テントウムシは、静かに問いかけます。



「わたしに名前をつけてほしい?」



それは突然に訪れた、決断の瞬間。


僕の胸中は「どうしてこうなったんだろう」という思いでいっぱいだった。


コレはチャンスか? それとも、取り返しの付かない愚行か?


分からない。その判断は「名前を聞いたあと」でないと分からない。



「後悔しない?」



畳みかけるようにテントウムシが尋ねてきます。


後悔。


後で悔やむこと。


それは今の僕がかかえている不安事項。



僕はてんびんを用意した。


片方の皿には 「名前がない苦悩」 を。


そしてもう片方には 「どんな名前を付けられるか分からない不安」 を。



秤は左右に振れて、やがて、勝敗が決した。





「――――お願いです。僕に名前をつけてください」


「……いちおう、理由を聞いておこうかな」



「だってキミはたぶん、僕よりも僕を知っているだろうから」


「そうだね。たくさんお話ししたもんね。さっきよりはだいぶキミのことが分かったつもりさ」



「そう。だから……お願いします」


「でもいいの? キミは、私を知らない。わたしがどんな底意地の悪いヤツなのか、どれだけ悪意がてんこもりなのか、キミはそれを全然知らない」


「えっ……」


テントウムシは、ずっと真剣な表情のまま。



「例えば、さっき色々な名前を口にしたよね? あれは外国語で、意味は全部『かかし』なのさ」


「そんな……」



「ところで、キミは『名前を付けてください』って言ったよね。分かった。付けてあげる」


「まっ、待っ――――」



僕はかかしって呼ばれたくないんだ! 


例え音が違えど、かかしという意味の名前なんて呼ばれたくないんだ!



「待った無し。キミの名前は」



強い風が吹いた。


それは程よく「間」をつくり、とっさに僕の覚悟を固めてしまった。


次に聞こえてくるのが、僕の名前なんだと。



テントウムシはニッコリと笑いました。



「Straw……ストローだ」


「すとろう……素斗朗……」



意外と、普通の名前だった。



「ね、ねぇ。それってどういう意味なの?」


「かかしって意味じゃないよ。Strawはキミを形作るモノさ。つまり、キミ自身、という意味かな」



「僕自身……」


「そうだよ。キミは、キミ。どんな名前だろうと、何を考えようと、いかなる役割だろうとも。キミはキミだ」



素斗朗。それは僕の名前。


何度も胸の中で繰り返した。それは繰り返すたびに定着していき、僕は素斗朗になっていった。



「満足してくれたかな」


「……うん。気に入ったよ。ありがとうテントウムシさん」



「そりゃ良かった。じゃあ、私は行くね。ここにいたら鳥に食べられてしまう」


「あははは。それは大丈夫だよ。だって僕がここにいるんだから」




「あれれ。おかしいな。だってキミはかかしじゃないんだろう?」


「…………いいや、そうでもないよ」



僕は空を仰いで、次自分が突き刺さっている大地を眺めて、最後にテントウムシに視線を合わせました。



「僕は素斗朗で、役割はかかしなんだ」


「そうかい。……じゃあ、キミのことを『かかし』と呼んでもいいのかな?」



「うん。いいよ。だって僕は『かかし』なんだから」






こうして、僕は自分の名前と、大切なモノを手に入れた。



僕は僕でいたいという、存在動機。


僕がかかしであるという、存在理由。



自分自身が確定してしまえば、他から何と呼ばれようとも気にはならない。


テントウムシの言った通りだ。



つまるところ、僕は素斗朗であり、かかしであり、結局は 「僕」 。



僕は、僕なんだ。




今日は良い天気。鳥は自由に空を飛び回って、僕の畑に近づかない。




おわり。







……これ書くのに一時間かかったんですけど。


ちなみに かかしを漢字変換すると、案山子ですね。


そしてストローとは、麦わらという意味です。かかしの原材料ですね。


途中の「外国語のかかしシリーズ」は携帯だと文字化けするみたいですね。????って。


アラビア語とか使ってますが、マニアックすぎたか。




しかしそれにしても、自己言及だなんて。


勢いで書いたんだけど、我ながら青臭いモン書いちまった。反省しよっと。





じゃ、また来週。