夜だと思っていた。
けれどそれは夜じゃなかった。
それはとても綺麗な、雲だった。
夜の黒と、空の青が混ざって、空いっぱいに広がる雲を藍色に染めている。
厚い群青。濁った黒と、輝く白。全てが混ざり合った、多色の空。
それがとても綺麗だと思えた。
思わずタクシーを降りて、街を歩いた。
疲れてるのにわざわざ歩くなんて、馬鹿みたいだ。
だから「酔いを覚ますため」なんて言い訳を用意して、空をながめた。
タバコを一本消費するごとに世界が汚れて、空の色が変化してく。
深い群青が輝きを増していく。
ふと、右手の空を見た。
視界の果ては、真っ赤に焼けていた。
雲が無ければ、美しい朝焼けが空いっぱいに広がっただろう。
だけど今日は曇天。快晴にはほど遠い。
それゆえに、ガラにもなく、「美しい」なんてフレーズを思い描いた。
空に果てはないけれど、雲に果てはある。
焼けた空が、心地よく演出されている。
都合20分歩いて。
こころ、しずか。
写真は上手に撮れなかったし、あの「美しい」って感覚もすでに曖昧。
けれど、あの景色を見て得られた心地はいまもここに。
塩梅よく酔いも覚めた。
今日はよく眠れそうです。

