① 日曜日である。

② 友達と一緒に飲んだ

③ 終わったのが、明け方四時ぐらい。





酔っていた僕は、少し歩いて帰ろうと思いました。


夜風が涼しく、いい気持ち。


月が無いのが残念な、静かな夜でした。





僕 「…………ん?」


女 「………………」




道ばたで体育座りをしている女性がいました。


ちょっと怖いです。雰囲気が。



人気の無い道でした。


街灯はあるんですが、なんだか薄暗い印象。



僕 (はて……酔っぱらいだろうか)




しかし、繁華街からちょっと離れた所である。


こんなところに女性が一人? 僕は瞬時に複数のストーリーを思い描きました。



彼氏とケンカ、とか。

僕と同じく酔いさましに夜道を歩いて力尽きた、とか。

体調不良で救急車が必要な状況、とか。

単純にナンパ待ちだ、とか。(しかし人気のない道で体育座りはどうだろう)



仮説その三、救急車が必要。


それが心にひっかった僕は、声をかけてみることにしました (酔)




僕 「おねぇさん。大丈夫っすか?」


女 「………………」 (むくり)



顔をあげました。


あら。可愛い人だ。




僕 「えーと、救急車とかいります?」


女 「……いらねーよ」



おおう。予想外にぶっきらぼう。


そして酔っている。うむ。顔つきが険しい。




僕 「そうですか。でも夜も遅いですから、帰った方がいいですよ」


女 「ナンパとか超うぜぇし」




僕 「はははは(マジ笑い)」 (酔)


女 「なに笑ってんの?」



僕 「いやいや。ナンパとかしたことないから、ちょっと驚きました」


女 「は?」



僕 「だから、ナンパとかしたことないんですよ」


女 「……あっそ。で、なに? なんか用?」




僕 「こんなところに座ってるから、病気かなーとか思いまして」


女 「病気じゃねーし。マジ。ちょっとブルー入ってるだけだし」





僕はこのへんで 「あ、やべ、面倒くさそうな人に関わってしまった」 とか思いました。


雰囲気がですね、面倒くさかったんですよ。悲劇的なヒロイックを演じてるみたいで。




女 「つーか、ちょっとそこに座れ」


僕 (やべぇ。真剣めんどくせぇ)




とりあえず、電柱を背もたれにして首をかしげてみます。




僕 「なにごとですか」


女 「彼氏がね、浮気してたわけよ」




僕 (唐突な身の上話きたーーーーー!!) 





女 「男ってなんなわけ? なに、浮気するのが当たり前なわけ?」


僕 「世間一般ではそうですね。僕はしませんけど」



女 「なに。あんたは彼女一筋なわけ?」


僕 「……………………ええ。まぁ」 (色々言いたいけど、黙ってスルー)




女 「嘘つけ。お前も浮気するんだろうが」


僕 「どうですかね。とりあえずしたことは無いです」 (いきなり「お前」か……)



女 「つーか、なんであたしが浮気されるわけ? 馬鹿にされてんの?」


僕 「すんません、よく分かんないから直球で聞きますけど、彼氏とどうしたいんですか?」




女 「どうって……………………どうなんだろうね…………」




おうふ。沈黙しやがった。


帰りたい。




僕 「二択ですよ。好きでい続けるか、嫌いになるか。どっちがいいです?」


女 「…………好きだけど、嫌いなんだなぁ」




僕 「そりゃ難儀ですね」


女 「難しい言葉使うな。馬鹿にしてんのか」



この人は「馬鹿にしてんのか」が口癖なのか。




僕 「えーと、とりあえず……帰って眠って、起きてご飯たべて、彼氏と話し合えばいいと思います」


女 「ごはん? なんでごはん」



僕 「腹が減ってたら、人は怒りやすくなりますから」


女 「やっべぇ、こいつ意味わかんねぇ」



出逢って五分で「こいつ」きました。




それから、二十分ほどでしょうか……。


僕は彼女の暴言めいた愚痴と、悩みを真摯に聞きました。


胸中は 「マッハで帰りたい」 だったのですが、迷える子羊を救うのが救世主の使命。




曰く。


彼氏のことはそれなりに好き。

裏切られたことがムカツク。

でも、ムカツクけど、どうしたらいいのか分かんない。

オレンジジュース飲みたい。

彼氏と飲んでたら、浮気相手から電話がかかってきた。

問いつめたら謝ってきた。

アイツマジぶっころす。

でも好きだからどうすればいいのか、何をすればいいのか、どうしたいのかが分からない。

オレンジジュース飲みたい。



僕はとりあえず三十メートル先のコンビニでオレンジジュースを買いました。




僕 「とりあえず、今日は帰れば? ここにいても、なーんも変わらんよ」


女 「……うぜぇし」



僕 「結構。でも、マジで帰った方がいい。世の中は怖い人ばっかだ」


女 「お前なんか怖くねーよ」



僕 「わからんよ。先日、友達に『ストーカーの素質がある』と言われたばかりだ」


女 「…………ふっw キモ(笑)」



笑えば可愛いじゃねぇか。




僕 「というわけで、帰りな。俺も帰る」


女 「んー…………分かった。帰る」




彼女はようやく立ち上がりました。




僕 「じゃ、さよなら。お気をつけて」


女 「……オレンジジュース。ありがと」




僕 「気にすんな。じゃ、お疲れ」


女 「うん」






そうして僕たちは別れました。互いの名前も知らないままに。




今回の収穫は三つ。




① 救急車がいらない状況なら、すぐに離脱すること。

② ああいうシチュエーションの人間がどういう動きをするのか、という小説的なネタ

③ 彼氏の名前は 「トシ君」で、浮気者で、優しくて、馬鹿であるという情報。




んで、家に帰って冷静に考えてみたんですが。




僕 「……よく考えたら、収穫は四つだったな」





④ ブログのネタ、ゲットだぜ。






そんな日曜日でした。


ちなみに、二日酔いで昼の十二時まで店で寝てました。


そして今日も酔っぱらいです。





世界中の恋人達が幸せでありますように。