ぶっちゃけ、僕は友人が少ないです。


知り合いならそれなりにいますけど、はっきりと友人と呼べるクラスは……10人ぐらいですかね。




んで、割とその友人達に共通しているのは 「夢がある」 ということ。



料理人、パテシエ、消防士、経営者、ミュージシャン、借金返済、嫁を幸せにする……等々。



「夢」 というよりも 「具体的な目標」 を抱いてる方々です。



そして僕も、無謀なドリーマー。小説家志望。


類は友を呼ぶということでしょうか。





ちなみに半分の人達は夢を叶えています。残りの半分は奮闘、もしくは修行中です。






そんな友人達ではなく、先日「知り合い」に遭遇しました。




僕   「うおっ、偶然だな」


知人 「ああ……雪尋。久しぶり」



「へー」とか「ふーん」とか、そういう薄い相づちを打ちながら会話してみたり。




知人 「雪尋はいま何してるの?」


僕   「中洲のクラブで主任の肩書きもらってる」




知人 「クラブ!? ……意外だし、似合わないね」


僕   「そりゃ、今は私服だからな。でも現場に立てばそれなりに人格が変わるよ。で、お前は?」




知人 「就職が決まったかな。東京に行くんだ」


僕   「おお。東京。首都だ首都。すげーな。なにするの?」




知人 「建築関係」


僕   「うわーお。エリートコース。そういう仕事につきたかったの? 知らなかったよ」




知人 「いや……違う。そうじゃないよ。建築に興味は無い」


僕   「……?」




興味がない? え、だったらなんでそれを仕事に選んだんだ?




知人 「建築に使う部品を造る、小さな工場に勤める予定」


僕   「あっ、そうなんだ」



知人 「しかも事務。工場とか関係ない場所」


僕   「……そうなんだ」




反射的に 「それ、楽しいのか?」 と思ってしまった。


そしてやっぱり反射的に 「それ、楽しいのか?」 と聞いてしまった。





知人 「そりゃ、楽しくはないだろうさ。でも仕事だし」


僕   「……? 仕事だろ? 楽しくないと、続けられないんじゃないのか?」




知人 「お前は分かってないよ」


僕   「…………」





え? 分かってないかな? そういうものなのかな?


仕事柄たくさんの人を見てきたけど、みんな仕事が(大変そうだけど)楽しそうだったよ?




僕  「えっと、将来の夢はなんですか?」


知人 「なんだろうね。わかんねーよ」




僕   「えぇ……? 何のために東京まで行くの?」


知人 「……ほんと、何でだろうね?」






ここで別れました。


僕は彼の背中を観ながら、なんとも言えない気分を味わいました。




もし彼が夢を持っていたら。


そうすれば、あんな顔して東京に行くことも無かったろうに。




別に同情したり哀れんだり、ぶっちゃけ「見下してる」わけじゃない。


ただ、何か言ってあげたかった。


だけどその時の僕には何も言えなかった。




夢もなく、好きでもない仕事をしに、東京へ行く。



……言葉に出来ない、このやるせなさ。





ひょっとしたら二度と会えないかもしれないけど。


もし、また会えたらもう一度、夢を尋ねてみようと思います。


そして彼が夢を持っていたら、応援してあげたいです。






どうせ僕の夢は変わらない。諦めるつもりなんて毛頭無い。


まだ若いから? そうかもしれない。でも今の気持ちは嘘じゃない。


30年経っても僕の夢が叶わなかったら、僕を指差して笑うといい。


負けねぇよ。頑張るよ。


だから、お前も一緒に頑張ろうぜ。




あの時、こんな言葉が言えたのなら。





さて。夢を追いかけますか。



執筆かいしー。