さ 冴えないわたしは
み 店では迷子で荷物。
し 死んだらあなたは
い 生きているのかな。
カシコが仕事をしている間、タネは暇だった。
「外は寒そうね」
ぼんやり呟くと、コートを羽織り、細い首に ストールをくるくる巻いた。
「タネさん、でかけるの?」
カシコが仕事場から顔を出した。
「うん。お散歩」
「じゃあ これ、郵便局に持ってって」カシコは、タネに薄い茶封筒を渡した。
「急ぐ?」タネが尋ねる。
「ううん」カシコが答えた。
「わかった」タネは、おおきなトートバックに、茶封筒を滑り込ませた。
「実は、どこに行くか決めていないの。郵便局の前を通ったら 出しとくね」
カシコの返事を待たずに、タネは ふらふらと出ていった。
「郵便局の前を通って、タネが忘れてなければね」
カシコは、そう呟いて 仕事場に戻った。
しばらくして、タネは 茶封筒と一緒に帰宅した。
さ 寂しがりやのわたしは
み 見開きの本の上に立つ。
し しがらみをなくしては
い 生きていけやしないわ。