前回の続きで
新美南吉 作  いもとようこ 絵 の
「てぶくろをかいに」読み聞かせの感想後編です。

後半も美しい比喩で情景を繊細に描き出しています。

ところが…
比喩が通用しない(元ネタがわからない)6歳児
口頭説明も限界がありますよね…


神聖な??読み聞かせの場に電子機器なんて…という声もあるかもですが笑い泣き
私は積極的に持ち込む派。
ビジュアルに勝る説得力なし!!
特に対象年齢高めの本の時は、Siriちゃんは読み聞かせに欠かせなくなりました。(とはいうものの、上手くSiriとコミュニケーションを取ることが出来ず、手入力でやり直すことの方が多いですガーン)

読了後の感想…
片手が母親の魔法の力(?)の限界だったのかも…?
子ぎつねは緊張がピークだったのかも。
説明的過ぎない余韻のある書き方で、疑問や想像が膨らみます。

一見、この「ぼうし屋おじさん」は優しい人間のように印象を持ちますが…
最初は「きつねめ、葉っぱのお金で騙すつもりだな」と敵視しているんですよね。で、お金が本物と確認できて初めてお客さん扱いしてくれるんですよね笑い泣き
もし母きつねが偽のお金を渡していたらと思うと…ガーン
人間に追いかけられたという母きつねの友達も人間の家畜を襲おうとしたからやられたのであって、姿形にかかわらず誠意を持って接すれば誠意で返してもらえるということかもしれませんね。

最後に…
自分が子どもの時は「子どものはじめてのおつかいの話」、くらいにしか考えていませんでしたが…
今になって見ると、母親の個人的なトラウマ回避を優先させて、子どもを一人で危険な場所へ送り出すってすごい話だなぁと思いました。
母と子も、いつかは両者の間に境界があることを認めなければならない。母は自分の心の傷を守るために子どもを突き放すこともある。子どもは内に秘めた事情が母にもあることを受け止めなければならないばならない。
これまで「ほら穴」や「母親のお腹の下」で、いわばまだ胎内で守られたのも同然だったきつねの子が、外の世界に一人で出ることで、母と子どもは別の人間(きつねだけど)ということを自覚する「自他境界」の話かな…なんて考えました。

新美南吉の原文がそのままと、いもとようこさんあたたかい挿絵が楽しめる絵本です。