香港映画の街角 | アジア読書

香港映画の街角

著者: 野崎 歓
タイトル: 香港映画の街角
著者は東大の仏文学の先生。でもなぜかこれは香港映画の評論集。本人が認めている様に映画館で香港映画を観た事はあまりなく、もっぱらVCD,DVDで観 賞したらしい。初めて香港に行ったのも返還後だとか。往時を知る者から見れば、もはや香港映画は壊滅状態の一歩手前なのだが、この著者は香港映画に希望を 見ている様だ。映画評論につきものの、こじつけ、深読みは、まあ仕方ないとしても、勘違いも多々。「香港映画」と「香港社会」は「インド映画」と「インド 社会」同様、全くの別物である事は、ちょっと考えれば分かると思うのに、どうしても日本映画やフランス映画と同じ視座で評論してしまうのだろうか。驚くほ ど膨大な本数の映画を引用している本なのだが、そうした香港映画で香港を語るという観点では、一番外せないフルーツ・チャンの作品を意図的としか思えない ほど、完全に無視したのはどういう理由なんだろう。単にキライだったのかな。