2024年3月の公表データにおいて日本政府(財務省)の外貨準備高の総額は

およそ1兆1,500億ドルであり、その主体は米財務省証券(米国債)が9,950億ドルで

約87%、USドルキャッシュが1,550億ドルで約13%によって構成されています。

ご存知の通り、わが国は安全保障をUSに依存している関係で、現在のアメリカ政府の

予算が借金に依存することを支えています(米国歳入を上回る歳出をするために

不足額を財務省証券で埋め合わせて予算を成立させていますが、日本は累計額で

1兆USドルも買ってあげている上得意様です)

「守ってやってんだから、この花輪100万で買えや!」

どこかの世界で聞こえてきそうですが、やっていることは同じです。

用心棒代として膨大な財務省証券を購入させていただいております!

※シンプルに、ここではUSドルがほぼ、外貨準備高を占めるものと仮定。

 

 

 

さて、政府(財務省)・日銀のステルス介入があったと考えられますが、

彼らはどれくらいの規模で、ドルを放出したのでしょうか?

 

ドル売り円買いの規模は5兆ともいわれていますが、それは現時点では

不明です。しかし、そのうち財務省が「外貨準備等の状況」で明らかにします。

政府(財務省)日銀がドル売り円買いする目的は、彼らが考える(正確には

岸田首相が妄想している)過度な円安の阻止が目的と考えられますので、

現在のドル円マーケットにおける取引規模を知る必要があります。

すると、国際決済銀行(BIS)が3年に1回だけ、外国為替取引のデータを

公表しています。

 

 

それによりますと、2022年4月の公表データで

外国為替の全世界取引規模は7,5兆ドル。USドル/円の取引規模は

そのうち約13,5%ですので、

 

約1兆ドル

 

です。日本円では、約

 

160兆円です(換算レートは1USD=160円)。

 

これだけの市場規模がある中で、財務省財務官は外貨準備のUSドルキャッシュ

 

有高である1,550億ドルで市場を動かせるとは考えていないと考えられます。

 

現実には、パウエルFRB議長の「しばらく利下げしないよ」発言の後で予想

 

されるドル円マーケットでの円安急伸を防ぐ目的なのか、政府(財務省)・日銀の

 

ドル売り円買いが行われた模様です。USドルキャッシュ有高は

 

1,550億ドル

 

に過ぎません。

 

全てを放出すればドル円マーケット1兆ドルの中で15,5%がドル売り円買いになり、

 

ドル安円高方向に振れるでしょう。

 

しかし、全てのキャッシュを放出することは考えられないため、実際には

 

米財務省証券(米国債)を売却することでドルを取得し、そのドルを

 

ドル円市場で売る手法がとられているはずです。

 

市場にインパクトを与えるためには、外貨準備の中で米財務省証券(米国債)が

 

占めている9,950億ドルの一部を売却していくことになります。

 

一つ言えることは、

 

「当面は弾切れを起こさないが、そのうち弾薬庫はカラになる

 

ということです。

 

いずれにせよ、現物取引を焼くことはできません。為替換算損益は輸出勢なら円転時まで

 

表面化しないため、体力のある大企業ほど焼かれません。

 

とくに米国内で自動車などの製品を売却することで取得する米ドルは、十分円安が進んで

 

から円転(円に交換)すればいいので、円売りドル買いは政府(財務省)・日銀の一人

 

マラソンになる可能性もあります。

 

短期の投機筋が焼かれるだけでしょう。

 

日本の構造的な問題は、少子高齢化による生産年齢人口が長期的に減少することや

 

それに伴う、消費者の減少によるGDPの6割を占める消費支出の不可避的な減少にあり、

 

消費増税は消費低迷に拍車をかけています。

 

よって、日米の金利差を縮小させない限り、円安の根本的な解決にはなりません。

 

すなわち日銀がテーパリング(長期国債買い入れ額の縮小)から初めて、次に

 

短期金利の引き上げを行うしかないのです。その道はFRBがほんの数年前に

 

通った同じ道で、その道に続かなければならないことは日銀の植田総裁も

 

もちろん、御存知です。しかし、衆議院解散総選挙が近く、自民党総裁任期を

 

9月に控え、政治的に踏み切れないだけで、時期が来れば日銀も必ず同じ道を

 

歩き始めなければなりません。

 

介入は、点滴治療のようなものです。ずーっと続けることはできません。

 

自国通貨防衛的為替介入は当該売り通貨の外貨準備高が上限になります。

 

イングランド銀行がソロスファンドに負けてポンドの防衛に失敗した歴史が

 

物語っています。

 

FRBの利下げか、日銀が短期金利を上げなければ、日米の金利差は縮小せず、

 

このままでは日米の金利差は縮小しないため、構造的に金利が高い米ドルを買う

 

流れは止まらず、円売りドル買いが続くものと思われます。

 

政府(財務省)・日銀のステルス介入は、少しの間だけ、円安方向を抑える板に

 

なるだけで、強い川の流れに逆らうことはできず、時間がたてば、円安の方向に

 

押し戻されることになります。

 

そのような、理論的でない方法によって自国通貨を高くする(円高にする)のでなく、

 

アベノミクスを名実ともに完全に終了させて、日銀が短期金利を引き上げていく

 

しか方法はないのです。

 

介入している政府日銀さん、応援してますよ。連休中お疲れ様です。

 

でも、多分相手が悪いです。。。BOEの歴史が物語っています。

 

連休中の御介入には敬意を表します。

 

私は連休中はドル円なんて忘れて素敵な音楽を聞かせてもらいますよ。。。

 

 

 

 

niederhoffer