★北朝鮮の挑発の目的は在韓米軍の撤退では? | ☆杉野洋明 極東亜細亜研究所

★北朝鮮の挑発の目的は在韓米軍の撤退では?

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HEY!今すぐムスダン!~♪~飛んでいけムスダン、クネたんとムスダ~ン~♪…


替え歌作ってる場合じゃない…


こんにちは。杉野洋明です。



淡路島と三宅島の地震や米国ボストンでの爆破事件で、すっかり影が薄くなった北朝鮮の核問題。

しかし、金正恩体制になってから、過激な挑発が目立つようになっており、また何らかの挑発的発言を行う可能性は残っています。


マスコミは、「すわ、戦争か?!」と言わんばかりの報道をする所もありますが、一体、北朝鮮の目的は何なのでしょうか?

今回のブログは、日本時間4月17日06時30分に書いているので、数日後には、全く違う展開になっているかもしれないことを、先にお断りしておきますが、北朝鮮はミサイルを日本やアメリカに向けて発射したりはしないでしょうね。

もっとも、ヨンピョン島攻撃のような、局地的な攻撃はあるかも知れませんが。


日本のマスコミはあまり伝えていませんが、北朝鮮は威嚇的な発言だけでなく、対話を求めているともとれる発言をしているのです。



例えば、4月2日付の”労働新聞”で、北朝鮮は、「朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議法令 自衛的核保有国の地位をより強固にすることについて」 というタイトルで、以下のように主張(法令を制定)しています。



1.朝鮮民主主義人民共和国の核兵器は、わが国に対する米国の継続的に増大している敵視政策と核の脅威に対処し、やむを得ず備えるようにした正当な防衛手段である。


2.朝鮮民主主義人民共和国の核力は、世界の非核化が実現されるまで、我が国の侵略と攻撃を抑え、撃退し、侵略の本拠地者の殲滅的な報復打撃をするのに服務する。


3.朝鮮民主主義人民共和国は、増大する敵対勢力の侵略と攻撃のリスクの重大さに備えて、核抑止力と核報復打撃力を質量的に強化するための実際的な対策を立てる。


4.朝鮮民主主義人民共和国の核兵器は、敵対的な他の核保有国が、わが国を侵略したり、攻撃した場合、相手を撃退して報復打撃を与えるために、朝鮮人民軍最高司令官の最後の命令によってのみ、使用することができる。


5.朝鮮民主主義人民共和国は、敵対的な核保有国と結託し、わが国に反対する侵略や攻撃行為に加担しない限り、非核国に対して核兵器を使用したり、核兵器で威嚇しない。


6.朝鮮民主主義人民共和国は、核兵器の安全な保管管理、核実験の安全性確保に関する規定を厳格に遵守する。


7.朝鮮民主主義人民共和国は、核兵器やその技術、武器級核物質が不法に流出しないように徹底して担保するための保管管理システムと、秩序を確立する。


8.朝鮮民主主義人民共和国は、敵対的な核保有国との敵対関係が解消されるにつれて、相互尊重と平等の原則で、核拡散防止と核物質の安全管理のための国際的な努力に協力する。


9.朝鮮民主主義人民共和国は、核戦争の危険を解消し、最終的には核兵器のない世界を構築するために闘争し、核軍備競争に反対し、核軍縮のための国際的な努力を積極的に支持する。


10. この機関は、この法律を施行するための実務的な対策を徹底して向上する。


http://www.rodong.rep.kp/InterKo/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2013-04-02-0015




日本で報道されている内容になれていると、「平和」とか「相互尊重」等という表現に違和感を感じざるをえないですが、こうした平和的解決向けて、国際協力することを法律で明記していることを見ると、”戦争ではなく交渉する準備もある”というメッセージを送ってるようにも感じます。


また、最初の条文(1条)で米国を名指しにしつつ、5条では、(アメリカの協力しないのなら)非核国には核攻撃をしない、と言い、8-9条では、平和や核軍縮の尊重を述べています。


労働新聞は朝鮮労働党の機関紙でもあるわけで、これって「在韓米軍の撤退」を婉曲的に要求してるのじゃないでしょうか?


だって、


1.米国が北朝鮮を敵視しないのなら、戦争はしない。

2.韓国が米国と袂を分かれば、核攻撃をしない。

3.平和が担保されれば、核廃絶もありうる。


って言ってるわけだから。(信じられる、信じられないは別として)



まあ、在韓米軍の撤退要求なんて、今まで散々に出てきた目新しさのない主張ですが、なぜ、最近の北朝鮮は以前に増して挑発的なのでしょうか?


そりゃ、ミサイルと核実験が成功したからでしょ?というのは、非常に正しい。

しかし、その大元は「金正恩の神話(実績)作り」なんじゃないだろうか?と思う。


北朝鮮の歴史観でいえば、初代の金日成が”日帝からの解放”を行い、二代目の金正日が”革命の完成とチュチェ思想の発展”という実績がある(ということにして)最高指導者の資格がある、としてきたものの、三代目の金正恩には、まだこれといった実績が、無い。


核実験成功やミサイル打ち上げ成功があるじゃん…と言っても、どちらも父親の金正日の代には成功(したことになっているので)しており、焼き増しに過ぎないので、対内的には、イマイチぱっとしない。


そういう意味では、”何も実績の無い若造が、血筋だけで指導者になっている”という不満が増大していく可能性が高いわけです。

特に軍に対して、実績を示すことが出来ていないのは、金正恩にとっては非常にマズイ状況でしょう。


となると、祖父、父親に並ぶ実績、若しくは超えるような実績…となると、”在韓米軍の撤退”というのは、一番インパクトのある実績…むしろ父親を超える実績になります。


これ、必ずしも荒唐無稽とは言えないわけで、実際、韓国には在韓米軍の存在が朝鮮半島の平和を脅かしていると考えている層が少なからずおり、米軍だって自国の核攻撃のリスクを冒してまで在韓米軍を維持するメリットは少ないわけです。

いわば、台湾の台湾関係法のように、軍を駐留させずに牽制する、という選択肢もあるわけで、北朝鮮の最終的な狙いはそこではないのか、と思うわけです。


逆に言えば、それ位の実績を作らないと、何時権力基盤が揺るぐか、という非常に脆弱な状況で、”焦り”が現れているとも考えられます。従って、何らかの実績を作るまで、北朝鮮の挑発や、全面戦争には至らない程度のヨンピョン島の砲撃があるかもしれません。


そう言う意味では、暫くは予断を許さないでしょう。



P.S.

4月18日追記

CNNの報道では、北朝鮮が米韓に対して具体的な条件を提示したとのこと。

合同軍事演習放棄等が条件だとか…

結局、在韓米軍の撤退は無理そうなので、軍事演習放棄で手を打とうと言うことなんだろうか…?