録画していた対談。
ヤマザキマリさん、じつはテルマエロマエで大ヒットする前(もう何年も前のことだ)、なぜか北海道の地方局のラジオ番組に定期的に出ていた。
その時に、北海道出身でなぜかイタリアに住んでる漫画家がいるんだなあ、と番組最後に少し太い声で「フォルツァ!」と叫ぶマリさんの声を聴きながらぼんやり思っていた。
あれから10数年。
「テルマエ・ロマエ」は漫画も映画も大ヒットし、ハリウッドでのリメイクも決まり、今やスティーブ・ジョブスの伝記漫画まで書いちゃってるマリさんと、歌舞伎界の御曹司がなぜ対談するのかよくわからないまま、見ってみたくて録画しておいたわけで。
なんと、「テルマエ・ロマエ」の最初の読者は、勘九郎さんの亡き父君、勘三郎さんだったのだそうだ。
イタリアを訪問していた勘三郎さんご夫妻となぜか食事をすることになったマリさんは、名刺代わりに「テルマエ・ロマエ」を持参したという。
勘三郎さんは爆笑しつつ読み、主人公ルシウスを見て「アベちゃんに似てる」とのたまったそうな。
もちろん、その数年後に阿部寛主演で映画化されるとは知る由もない。
お、面白い。
ぐんぐん話に引き込まれる。
勘三郎さんとマリさん、島田雅彦さんの3人で歌舞伎を作る構想があったことを知り、本当は勘三郎さんがそれを新歌舞伎座のこけら落としに間に合わせたがっていたことを知った勘九郎さんは、番組収録中にも関わらず、マリさんと歌舞伎の打ち合わせに入ってしまう。
どうやら、この番組が新しい歌舞伎誕生のきっかけになったらしい。
印象的だったのは、マリさんが勘三郎さんに「わたしたちは、ノアの箱舟には乗れない職業」だといっていたこと。
漫画家も、役者も、人が生きていくために必須な存在ではない。
食べるものも作れなければ、家だって建てられない。
でも、マリさんと勘三郎さんは、「わたしたちは、箱舟に乗れる人たちを、元気にして送り出す存在」だという。
エンタテイメントって、そういうもんなんだな、と思う。
二人がコラボする歌舞伎、どんなんだんだろう。
みてみたいものだ。