口の中を噛んじゃう癖がある。

 

ほっぺや唇の裏側の、やわらかいとこ。肉じゃなくて、1番外側の薄い皮だから痛くない。

 

それでもやりすぎると口の中に血の味がしてくるんだけど、辞められない。

ストレスがたまった時にしているんだろうなっていうのは大人になってから何となくわかったけど、辞められない。

 

 

小学生の頃に母と話していてこの癖が出ると、

 

「おばあちゃん(母にとっての義母)と一緒だからやめて!やっぱり孫だね!性格も似てるんじゃない!見るだけで気持ち悪い!変な顔!痩せてるしそっくり!やっぱりあいつの孫だ!」

 

とひたすらに罵倒され、数時間は母の機嫌が悪かった。

 

それでハッとして辞めて、絶対に2度としないと強く誓うのだけど、どうしてもまたやってしまう。癖っていうのはそういうものだ。

 

 

大人になった今、わたしが口の中を噛みまくっていても、誰も否定しない。

それってほんとに自由なことだよなあと、噛みながらゆっくりと母を思い出す。